第24話「期間限定メニュー」
「いただきます♪」
「いただきます」
「……いただきます」
(右から、朝倉さん『和風スパゲッティー』 委員長『うどんとお稲荷さんセット』 そして、俺が『あんかけチャーハン』……)
「誰も期間限定メニュー頼んで無いじゃん!」
「何よ。安藤くん……いきなり騒いだら食堂の皆に迷惑よ」
「いや、だって委員長が『期間限定メニューが食べたいから一緒に学食いこ♪』みたいなことを言ったんじゃん! なのに何で、うどん食ってんの?」
「別に私はただ『期間限定メニューが出るから食べに行かない?』っと言っただけで『期間限定メニューを食べる』とは一言も言って無いわ!」
「そうだけど!」
「まぁ、まぁ、安藤くん。落ち着いてね?」
「『ね?』じゃないよ! 朝倉さんも何で『期間限定メニュー』じゃなくてスパゲッティー頼んでるのさ!? 朝倉さんも『期間限定メニュー』があるから学食に来たんでしょ?」
「そ、それは――……」
(ま、マズイわ……私が学食に来たのは『期間限定メニュー』が食べたかったわけじゃなくて『安藤くん』を食べ――って、違う違う! 『安藤くん』と一緒に食べるのが目的なのよね……それにいざご飯を一緒に食べるとなると期間限定メニューの『春ロールキャベツの春キャベツ詰め&春キャベツの出汁スープ定食』は汁とかが飛び跳ねてはしたなく思われそうだし、だからといって私の大好物のハンバーグやカレーも子供っぽいとか安藤くんに思われたら嫌だなって考えた結果、食べ方が上品に見えそうなスパゲッティーにしちゃったとか絶対に言えないわ)
「安藤くん、朝倉さんの気持ちも分かってあげなさいよ」
「委員長?」
「ちょ! い、委員長!?」
「ほら、あそこに山田くんが丁度期間限定メニューの『春ロールキャベツの春キャベツ詰め&春キャベツの出汁スープ定食』を食べてるから良く見てみなさい」
「…………」じー
「…………」じー
「おっほーっ! これが噂の『春ロールキャベツの春キャベツ詰め&春キャベツの出汁スープ定食』か! いただきまーす! うんうん……ほのかに感じるキャベツの味に、中に詰められたキャベツがあふれ出して口の中がキャベツまみれ……スープは…………キャベツに白湯を注いだような薄いキャベツの味…………何で俺これ頼んだんだろう」
「ね? あれを見て食べたいと思う?」
「じゃあ、何で俺を誘ったの!?」
「それはアレよ。安藤くんが『ぼっち』だから、私がクラス委員長として安藤くんにお似合いの『友達』を作ってあげようとしているんじゃない」
「よけいなお世話だし……てか、お似合いの『友達』って誰?」
「何言っているの? ここにいるじゃない。朝倉さんの事よ」
「「は!?」」
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