第22話「嫉妬」




「あ、安藤くん!」

「ん、何? 朝倉さん」


(今は三時間目の休み時間。お昼休みまで時間が無いわ! 安藤くんはお昼休みになった瞬間に何処か行っちゃうから……今、安藤くんを誘っておかないと!)


「その――」

「さーく~ら! ねぇ、聞いてよ!」

「きゃぁあ! って、モモ!?」


(いきなり抱き着くから誰かと思ったら、なんだ……モモじゃない。まったく! 今は安藤くんを誘う大事なところなんだから邪魔しないでよね!)


(あ、彼女は校内美少女ランキングで第二位の桃井さんじゃないか。朝倉さんが見た目だけはスレンダーでクールビューティー系な美少女だとすると、桃井さんは活発なポニーテールのスポーツ系美少女だよな。だって、女子の割には背が高くて胸も大きいし……)


「さっきの授業さ! 中西先生のカツラが取れかけてたんだけど、超面白くない?」

「ハイハイ、面白い、面白い。だから、早くどいてくれる?」

「何よもーつれないな~って、何? サクラ……安藤くんと話してたの? そういえば最近、二人ってよく話してるよね……ねぇ、どんな話してるの!」

「べ、別に、ただ(ラノベ)の世間話よ! 特に言うような会話でもないわ!」

「ふーん、教えてくれないんだ……なら!」

「「え」」


「安藤くんに聞いちゃうもんね!」


「「ちょ!」」


(うゎあああああああああああ! いきなり桃井さんが俺に抱き着いてきたぁあああああ! え、何コレ! どういう状況! 胸が! 桃井さんの胸が俺の右腕に! もしかして俺今日で死ぬの!?)


(ぎゃぁああああああああああああああああ! ちょっとモモ、私の安藤くんに何してくれてるのよ!!! 離れなさいよこの泥棒猫! ムキィイイイイイイイイ!!)


「ねぇねぇ、安藤くん。サクラとはどんな話してるの?」

「え、えっと……」

「ちょっと、モモ!」


(な、なんて答えるのが正解だ!? ラノベの話って言わない方がいいよな? てか、胸デカい……えーと、えーと……本はダメだ! そして、胸の感触がヤバイ! 他にはー……)


(安藤くん! 私がラノベ好きなのは安藤くんと私だけの秘密だからね! 言わないでよ!? てか、安藤くんさっきから視線がモモの胸に行ってない? やっぱり、安藤くんも巨乳が好きなのね! フケツよ! 安藤くんフケツだわ!)


「と、トイレの話……とか?」

「へ……と、トイレ? ププーッ! 安藤くん何それ面白ーい!」

「え、そ、そうかな……?」

「…………」ムカムカ


(私はちっとも面白く無いわよ!)


「あははは~! はぁー、安藤くんって話すと意外と面白いんだね! いやーサクラが最近、安藤くんと休み時間に話してる理由が少し分かったよー。じゃあ、私は授業始まるから席に戻るよ。安藤くん、またお話ししようね?」

「え、あ、はい……」


(なんか、桃井さんって嵐のような人だな……)


「あ! それで、朝倉さん話って――」

「無いもん」

「え……でも――」

「無い!」

「いや――」

「無いったら無いわよ!」

「…………はい、おっしゃる通りでございます!」


(何だ!? ラノベのことは言わなかったのに、朝倉さんは何で怒っているんだ!?)


(フン! 安藤くんの事なんか知らないんだからね!!)プンプン





「…………」


(何やってるのかしら? あの二人……)


「委員長、何してるの? 次の授業始まるよ」

「あ、うん、黒板の準備するわね」







【おまけss】「嫉妬」



「うーーん……」


(最近、サクラの様子がおかしい)



「…………」 チラチラ

「…………」 ぼけー



「うーん……」


(その原因は明らかだ。サクラは何故か隣の席の……えーと、そう!『安藤くん』に固執している。サクラは私の一番の親友で、学校でも一番可愛いと評判だけど、あれで意外とサクラは抜けているところがある。だから、私はサクラが安藤くんに何か騙されているんじゃないかと不安だ)



「あ、安藤くん!」

「ん、何? 朝倉さん」



「………」 じー


(だって、じゃなきゃ『あのサクラ』が『あの安藤くん』にあんなに毎日話しかけるのはおかしいもん。だから最近はこうしてあの二人を監視していたけど、見ている感じではあの二人にどんな関係があるかなんて分からない。だから、次は行動してみる!)


「その――」

「さーく~ら! ねぇ、聞いてよ!」

「きゃぁあ! って、モモ!?」

「さっきの授業さ! 中西先生のカツラが取れかけてたんだけど、超面白くない?」

「ハイハイ、面白い、面白い。だから、早くどいてくれる?」

「何よもーつれないな~って、何? サクラ……安藤くんと話してたの? そういえば最近、二人ってよく話してるよね……ねぇ、どんな話してるの!」

「べ、別に、ただ(ラノベ)の世間話よ! 特に言うような会話でもないわ!」

「ふーん、教えてくれないんだ……なら!」

「「え」」


(ねぇ、安藤くん……キミって一体どんな子なのかなー?)


「安藤くんに聞いちゃうもんね!」


「「ちょ!」」


(うゎあああああああああああ! いきなり桃井さんが俺に抱き着いてきたぁあああああ! え、何コレ! どういう状況! 胸が! 桃井さんの胸が俺の右腕に! もしかして俺今日で死ぬの!?)


(ぎゃぁああああああああああああああああ! ちょっとモモ、私の安藤くんに何してくれてるのよ!!! 離れなさいよこの泥棒猫! ムキィイイイイイイイイ!!)


「ねぇねぇ、安藤くん。サクラとはどんな話してるの?」


(ねぇ? 一体キミは何の目的があって私のサクラに近づいてるのかなー……?

 もし、くだらない不純な動機があるのなら――)


「え、えっと……」

「ちょっと、モモ!」


「と、トイレの話……とか?」


(は……トイレ?)


「へ……と、トイレ? ププーッ! 安藤くん何それ面白ーい!」

「え、そ、そうかな……?」

「あははは~! はぁー、安藤くんって話すと意外と面白いんだね! いやーサクラが最近、安藤くんと休み時間に話してる理由が少し分かったよー。じゃあ、私は授業始まるから席に戻るよ。安藤くん、またお話ししようね?」

「え、あ、はい……」


(なんか、安藤くんって不思議な人だねー♪ うん、特に悪い子じゃなさそうだし、これはもう少し様子見かな?)


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