第18話「朝倉さん VS 委員長」



「…………」

「じーー」


(なんだろう……何故かさっきから学校一の美少女の朝倉さんがクラス委員長の私をずっと凝視してる……)


(全く予想外だわ。まさか、私以外で安藤くんに仲の良い女の子がいたなんて……それが委員長とは)


(わ、私……何かしでかした? 女子の中でもトップカーストの朝倉さんを敵に回すとか、今後女子の中での私の人生が終りかねないんだけど!)


(こうなったら、ウジウジ考えても仕方ないわ! 女は当たって敵を砕けよ!)


「委員長……少し、二人で話せるかしら?」

「え、あ、朝倉さん! うん! わ、私でよければ……」


(ヒィイイイ! まさかの朝倉さんからの呼び出し!? 今まで委員長ってポジションで穏便に過ごしてきた私の学校生活が突然のピンチになってる!?)


「な、何? 朝倉さん」

「その……い、委員長は安藤くんとは仲がいいのかしら?」

「え? 安藤くん……? 別にそんなに仲良くは無いよ」


(『仲良くない』!? う、ウソ……あれで!? 委員長はあそこまで安藤くんと親しげに話しておいて『仲良くない』の! だって、あの時、私が見た二人はどう見ても仲の良い友達だったじゃない!)*違います


(え? 朝倉さん、何で急に安藤くんのことなんか聞いてきたんだろう? 別に私と安藤くんは図書室で少し話すだけでそのまで親しい関係ではないし……『友達』と言うよりは『クラスメイト』と言った方があっているよね?)


「委員長、誤魔化したって無駄よ! だって、私は見たんだからね。委員長が図書室で安藤くんと仲良く談笑をしているのを!」


(そう! あの時の二人は本当に楽しそうにおしゃべりをしていたわ!)*違います


(図書室って……昨日の? ああ、あれを朝倉さんが見てたのね。でも、それを何で朝倉さんが気にするんだろう?)


(あの時、私は気づいた……安藤くんと親しげに話す委員長の顔は『笑顔』だった! つまり、委員長は安藤くんに『恋』しているに違いないわ!)*違います


(え……? も、もしかして、朝倉さんって安藤くんのことが!? はぁああ? ありえないでしょ! てか、それどんな『美女と野獣』ならぬ『美女とぼっち』よ。はぁ~~安藤くんも隅に置けないわねー……って、ちょっと待って!)


「……っ!」ぐぬぬぬ

「…………」ゾクゾク


(委員長! 私、負けないわよ!)


(も、もしかして……私、朝倉さんに恋のライバルだって疑われてるぅうううううううううううう!?)








【おまけss】「挿絵」



「朝倉さんはラノベの挿絵って最低何枚は欲しいと思う?」

「そうね。私は最低でも四、五枚は欲しいわ。安藤くんは?」

「うーん、俺は少なくても三枚は欲しいかな。でも、欲を言えば六枚くらいあると嬉しいね」

「まぁ、そうよね。ライトノベルの魅力って言ったら扉絵のカラーページはもちろんその先にある本文を読んでいる最中にある挿絵も魅力の一つですもの」

「まぁ、ライト文芸だと挿絵は無いんだけどね」

「それはもう『そういうもの』って認識だからいいのよ。安藤くんだってライト文芸系のラノベを買う時に表紙以外の挿絵なんて無いと思っているでしょ?」

「そうだね」

「その分、ライトノベルは買う時の表紙意外にも扉絵に挿絵まであるからやっぱりイラストへのワクワクなんかが楽しみでもあるのよね♪」

「うん、そうだね。じゃあ、朝倉さん。ここで一度、俺達が発売を楽しみにしていたこのなろう作品の挿絵の数を数えてみよう」

「そうね。安藤くん♪」


 挿絵0枚


「「嘘でしょ!?」」


「あああ、安藤くん、私は何か悪い夢でも見ているのかしら……一、二枚と言うのならまだ分かるのだけど……『0』!? 挿絵が無いってどう言う事よ! これ本当にラノベよね?」

「朝倉さん、まるで『ライト文芸』みたいでしょ? 残念だけど、これ『ラノベ』なんだぜ……

 うーん、出版はちゃんとしたラノベレーベルだけどイラストは表紙と裏表紙だけで、まさかの扉絵ですら表紙イラストの使いまわしで挿絵は無しとか……」

「でも、表紙のイラストはメチャクチャ可愛いのよっ! そ、そこがまた……」

「分かる! 表紙がメチャクチャいいのに挿絵が少ない! これぞラノベあるある!」

「確かにこのレーベルはラノベの割りに挿絵が少ないのは知っていたけど、今回のゼロは本当に驚いたわ……」

「でも、採用するイラストレーターさんは毎回レベルが高いよね」

「そうなのよぉおおおおおおおお! 私はこのイラストがもっと見たいのに何でいつも挿絵が少ないのよオオオオオ!」

「そんな朝倉さんにこのラノベのイラストをもっと見る方法があるよ!」

「安藤くん! それは何!?」

「俺達がこのラノベの新刊が出るたびに書店で買い続ければいいのさ! このラノベのファンがそれをすれば、また続刊が発売されて新しいイラストが見れるよ!」

「安藤くん……貴方、天才のそれね!」


(そして、俺達はまたこうしてラノベにお金を費やしていくのだった)



「あ……安藤くん、このレーベル来月の発売リストが全て発売中止になってるんだけど……」

「マジで!?」


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