第9話 さあ、帰ろう!
見事、魔人エルゲムを倒した勇者
「やった…これで帰れるぞおぉぉ!!っっ」
勇者が歓喜したのもつかの間。エルゲムが入っていたドームから魔力が溢れていた
「これは…まさかぁ」
エルゲムと言う受け皿を無くした魔力は行き場を無くして…今にも爆発しようとしていた
「爆発落ちかよおおおおおお!!」
勇者は全力で脱出する
「皆の者、準備は良いな!」
「おう!囚われの身になってはいたが、我ら王国の騎士!」
「いざ、勇者と友にエルゲムを打ち取ってくれよう!」
「よしッ!勇者の進んだ道に続けぇ!!」
囚われていた囚人は装備を取り戻し、勇者のもとに向かおうとしていたのだが
「どけどぉけえぇええ!」
「ビュウウゥゥゥゥウン・・・・」
勇者は彼らの前を通り過ぎて行った。訳が分からず呆然としている囚人の中から一人、リーダ格の男に発言した
「隊長、どうします?」
「え、えっと・・・勇者に続けぇ!!!」
「了解!!」
囚人は取りあえず、勇者についていく事にした
「あああ!なんで最後は城が崩れたり沈んだり爆発すんだよおおお!!・・・見えた!」
出口を視認して勇者は喜んだがよく見ると…
「もふっ!もぐうっ!」
出口でミノタウロスが詰まっていた
「邪魔だどけぇ!!」
「もぶううう!?」
勇者はドロップキックでミノタウロスを蹴り飛ばした。その後を囚人たちが踏み越えていく
「流石勇者殿!あのミノタウロスを一撃で・・・」
勇者は話しかけてくる来る囚人に叫んだ
「バカ!早くダンジョンから離れろおお!!」
そして、背後から強い光が勇者達を包み込み――――
「うわわわぁぁぁあああぁぁ!」
――――ダンジョンは爆発した
「!!!ドオオオオオオオオオオン!!!」
・
・
・
エルゲムのダンジョンの爆発は城でも確認され。その知らせはで王は危機が去った事を確信した
「おお、勇者よ…、こんなにも早くエルゲムを倒すとは」
城内に勇者の声が響き
「うわあああああ!」
勇者は女神像の前まで走った
「勇者よ!よくぞこの国を救ってくれ・・・」
王が勇者を歓迎しようとした瞬間女神像の前に光の扉が現れた
「これだああああ!!」
勇者が扉の中に飛び込もうとした瞬間
「ビタンッ!」
扉は細くなり閉まってしまった
「痛ッ!なんでだ!?」
細くなった扉にぶつかって悪態をつく勇者に、扉の中から女神言った
「申し訳ありません勇者よ。いま立て込んでまして、少し待ってもらえ・・・」
「ふざけんな!役目は果たしたろ!意地でも帰らせてもらうっ」
勇者は光の扉に剣を差し込んで無理矢理広げた
「え!?ちょっと本気で待ってください!今デリケートな作業をしてる真っ最中ですから!!!」
勇者は身体をねじ込み光の扉に入ってしまう
「やったぞ!」
勇者は光に包まれ、光が収まるとそこは
「ここは…即売会会場?でも、これは・・・?」
勇者のよく知る即売会の会場の様な場所だった。だが本来ならサークルがある場所に異質な者達が立っている
「これは異世界の人間…か、魔物までいやがる」
「ブオン」
人形の様にたたずむ、それらを見渡していた勇者の背後からまた光の扉が現れた
「よし、アレに入れば! 帰れるまで何度も潜って…」
扉に入ろうとしたその時、よく知った声が勇者に語り掛けて来た
「あれ、モフニャンさん?」
勇者が振り返ると、そこには自分をゲーム名で呼ぶ彼が居た
「ゆうと!?何でここに…死んだんじゃ!?」
「はい、それで異世界に召喚されて…また死にかけちゃいました」
「と言う事はお前も女神に!?」
「はい、まさかモフニャンさんも…」
その時モフニャンの頭の中で ”また死にかけた” と言う言葉が引っ掛かりエルゲムとの戦いが脳裏をよぎる。そしてモフニャンはゆうとの手を掴んだ
「ゆうと、一緒に帰ろう!」
「え、モフニャンさん?」
「一緒に帰ってゲームしよう。リーサル・ファンタジーの発売日だぞ明日!」
「おお!明日なんですか!」
「そうだ、今からひとっ走りして店に並ぼ・・・・」
「お断りします」
ゆうとは興奮するモフニャンの言葉をさえぎって、ハッキリ言った。動揺するモフニャンは声を荒げて問いただす
「どうして!? お前がゲームに食いつかないわけないだろ!!」
「まあ、自分でもびっくりしてるんですが・・・その」
「お前死にかけたって言ったよな!? そんな危険な場所に居たいのか!」
ゆうとは気まずそうに周りの人物に視線をうつして語る
「僕、異世界に飛ばされてから色んな人達に会って。冒険する前に結婚しそうになったり、警備隊やメイドさんにいっぱい迷惑かけちゃったり、さらわれたり、その誘拐犯と人を追いかけている中に仲良くなっちゃったり。色んな事が有って…」
「何言って…」
ゆうとはモフニャンを真っ直ぐ見て言った
「もし、本当に帰れちゃったら、きっとこの世界には戻れません。やり残した事はいっぱいありますけど、この世界でもやりたい事は有るんです。だから帰れません。転売された戦利品は戻ってこないでしょうしね・・・。とほほ」
「そう・・・か」
モフニャンはゆうとの手を離し扉へ1人で歩て行った
「じゃあ、発売日に間に合わなきゃだし、俺行ってくるわ」
「はい、おつですモフニャンさん」
モフニャンが扉に入り光に包まれる中、ゆうとの独り言が薄っすらと聞こえる
「ジョージアさんに召喚されてから色々あったんだなぁ・・・」
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