紅茶を一杯飲みませう

セイロンの葉は香り高く

ミルクはほの甘い


茶色い角砂糖を一粒

ほろほろと ほろほろと 崩れて

舌の上でもう一度現れたのも束の間

胃の中へと滑り落ちていく


良き午後とはこれだ

穏やかでほの甘い

しかし切なくて

どこかへと落ちていく


紅茶を一杯 飲みませう


これが感傷というものか

私の感傷は穏やかにほの甘い


ミルク入りの紅茶に角砂糖をひとつ

ほろほろと崩れるそれを

銀色のスプーンでかき混ぜて

今ひと息に飲み干すのだ


いともたやすく胃の中に滑り落ちたそれは

内側からじわりと私を温めていく

そして同じようにじわりと冷めていつて

いつもの私に戻るのだ


紅茶を一杯 飲みませう


カップの中の角砂糖は

ほろほろと ほろほろと 崩れていく

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