『宝くじが当たったら』『億男』など、貧乏人が宝くじを当てて一気に富豪へ……という小説は枚挙にいとまがありませんが、アメリカの破格なくじを一等で当てるのはなかなか見ませんね。
日本の数億円でも高いのに、アメリカは数百億円ですから。文字通り桁が違います。
海外のくじを当てた場合の税金徴収や、さらに日本国内での贈与にかかる税金などでごっそり差し引かれても、それでも手元に二百億円が残るというのが、もう想像すら付きません。
面白いのは、アメリカの場合は当選者の氏名が公表されるということ。
なのでマスコミに顔と名前が知れ渡り、全国に報道されるわけですね。
宝くじ小説の場合、得てして金目当てに親族や友人が群がってパニックに……という展開が常ですが、本作はその規模がデカすぎます。
悪い虫が寄り付かぬよう、転居や雲隠れを余儀なくされる主人公一家。
犯罪目的の人間だって寄ってくるでしょう。
文字通り「人生が変わってしまう」宝くじ……当てたいような、欲しくないような。
主人公の妹ちゃんや、コンビニ勤務の貧乏アルバイトちゃんなど、可愛い脇役も目白押しです。