第96節 フェアリーテイル
地下駐車場に車を
俺がふかふかなレザーブラックのソファーに座って
「おかえり、
そんなことを言って、
「ああ、ただいま。菓子ありがと」
俺が
それは、青い色をしたソーダ味の『ガリゴリ君』と呼ばれる、コンビニでよく売られているスティックアイスであった。
俺は
「アイスか、しかもガリゴリ君」
「
ソファーの前側に回り込みながら、
「いや? 夏には必ずと言っていいほど食べてるし、普通にアイスは好きだけど」
「なら良かったわ! ウチの分も買ってきてん。一緒に食べよや!」
そんなやり取りをしてから
なんとなくだが、隣に座っている
そう考えもしたが、せっかく気を遣ってくれた
首周りに青いマフラーを巻いた俺と、頭に青い宝石の髪飾りをつけた
シャクリ
シャク
――うん、
そう感じた俺は素直に口に出す。
「やっぱり
すると、すぐ隣に座った
「
俺は理由を説明する。
「
シャクリ
シャク
俺と
「ふー、
食べ終わった俺が気を遣って
「知っとる?
「へ? 一本70円だろガリゴリ君って? 何でだ?」
すると、
「それは今が21世紀だからや。
「あー、そっか、昔は冷凍技術がないからな。そう簡単にアイスなんて作れねーのか」
俺が納得していると、
「せやね、
「へー、そうなんだな。じゃあ、昔は
「まあ、昔でも
そんな風に
「そういう歴史とかの知識、よく知ってるな。
すると、
「いや、中学時代の
「その事実はあんまり知りたくなかったな」
俺が
ブブブブブブ
スマートフォンのロックを解除して画面を確認してみると、どうやら
俺がちゃっちゃとコミュニケーションアプリである
『すまねー、ケータ 明日いっしょに風呂入ってくんね?』
「へ!?」
そんな
「
なんだか怒りのこもったようにも思える、その
「っちょ、
「まさか
ソファーの背後を取っているそんな
「愛人とかいるわけねーだろ……というか俺、それ以前にまだ高校生で結婚なんかしてねーし。
「ホンマぁ? ただの女友達が一緒にお風呂入ってくれとか言わへんやろ。
「本当だっつーの……そもそも
――
――もしかして、お
――だとしたら、
俺はそんなことを考えながらスマホを改めて持ち直して、
で、翌日のお昼前。
とはいっても、ラブホテルとかそういう
俺はその
どうやら、アパートの風呂を
「広いお風呂って気持ちいいねー、
すぐ隣にいる
「ああ、気持ちいいな。さっきみたいに体を洗った後は
すると、男湯と女湯を
「
俺は大声を出して、壁の向こうにいる
「ああー! 大丈夫だと思うよー!」
「そうかー! ならいいんだけどよー!」
首まで湯船に浸かって頭だけ出した
「
「あはは……どうだろうな。俺、
――俺は、わがままな
そんなことを考えていると、肩までお湯に浸かった
「ねーちゃん、東京
胸上までお湯に浸かった俺は、
「いや……
――嘘はついてない。
――
――つまり、あの
そんなこんなで充分に体を湯船で温めて、特に大きな問題もなく、
お風呂から脱衣所に上がって体をタオルで
「あっ! この本よくお父さんが買ってくるやつだ!」
俺は年上の高校生として
「こらこら、子供がそんなの見るんじゃありません」
「えー? 女の人が裸でへんな格好してて面白いのに?」
「だからこそだ、小学二年生の
「もっと子供だったら女湯にも入れるのに、本にのってる写真だったら女の人の裸を見ちゃダメとか、へんなのー」
――小学二年生のこの子はまだ、性に目覚めてないんだな。
――まあ、男に生まれたらそのうち嫌でもわかるようになるんだけどな。
――俺にだって、普通に女の裸に対する性欲とかあるからな。度胸がないだけで。
そんな風に俺は自分自身のヘタレぶりをしみじみと実感し、
「わりーな、
頭頂部が黒くなったプリン頭の、金色に染められた髪を長く伸ばしたピュアなヤンキー少女である
「ああ、たまにはこういう所で銭湯もいいよな。さっぱりしたよ」
すると、
「ねーちゃん、おなかすいた。そろそろお昼だよ。いつもみたいに食堂に行こうよ」
「でもよー、今日は
「あ、じゃあ昼ご飯として一緒に
すると、
「いいのかよ!?
「
――え、何この食いつき。
ちょっとそんなことを考えもしたが、
「ああ、それくらい別にいいよ。銭湯代奢ってもらったお返しってことにしてくれると、わりと助かるかな」
なんか、銭湯代は大家さんから支給されたお金だったという説明を受けたが、俺は気にせず
で、三人で昼マックということで、俺の
ビッグマックセットを頼んだ俺は、
――うん、
――いくら、
――マックのハンバーガーの
そんなことを思ってハンバーガーを食べてたが、それと同時に目の前での
そして、昨日の姉ちゃんの初運転で何回も死にそうな目にあったということと、
俺はそれらを
――きっと。
――
――
――いま、この
――だからこそ、いまここにあるものに
そんなことを俺は、
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