第67節 未来の食卓




 それは、一月いちがつ最後さいご日曜日にちようびばんであった。


 俺と美登里みどり兄妹きょうだい池袋いけぶくろ開催かいさいされた声優せいゆう握手あくしゅ会場かいじょうおとずれ、そこで俺がアニメショップの階段かいだんにて出会であっていたゴスロリ姉弟きょうだい再会さいかいてからのつい翌日よくじつことである。


 その夕食ゆうしょくメニューは、老舗しにせ温泉おんせん旅館りょかん元女将もとおかみさんであり、日本中にほんじゅう生産者せいさんしゃ交流こうりゅうをしてきた幸代さちよさんがはるばる東海とうかい地方ちほうからせてくれた高級こうきゅうブランドもの霜降しもふ国産こくさん牛肉ぎゅうにくや、一級品いっきゅうひん白菜はくさい椎茸しいたけ豆腐とうふなどをもちいた豪勢ごうせいなすききであった。


 大窓おおまどにして上座かみざすわっている俺からて、テーブルかどはさんでのすぐちかくにはいもうと美登里みどり、そしてそのこうにはまるみのついたグラスにて日本酒にほんしゅんでいる明日香あすかねえちゃんがメイドのかなでさんにおしゃくをしてもらいつつ、それぞれ大広間リビングにあるダイニングテーブルの椅子いすすわって夕食ゆうしょくっている。


 もちろん、テーブルの中央ちゅうおう付近ふきんには卓上たくじょうIH調理器ちょうりきあたためられている、贅沢ぜいたく食材しょくざい使つかったすきなべかれている。


 といた生卵なまたまご各々おのおの小皿こざらに入れ、お茶碗ちゃわん白飯しろめしって、それぞれがおたまですききの具材ぐざい銘々めいめいに取り分けて食べていく、メイドさんがいることをのぞけばよくあるめずらしくないような家族かぞく夕食ゆうしょく風景ふうけいであった。


 テーブルづくえうえにスマートフォンをいたままのいもうと美登里みどりは、その大理石だいりせきのような霜降しもふりがふんだんにはいった味付あじつけされたすきにくを、おのれはしたまごにからめてべてはつぶやく。


「……うん、美味おいしい美味おいしい。流石さすが松阪牛まつさかぎゅう


 さきほどからにくばかりをおのれ小皿こざらけているながいツインテールがみのわがままないもうとに、あにである俺はいもうと健康けんこう気遣きづかって注意ちゅういける。


たしかに霜降しもふりの松阪牛まつさかうし牛肉ぎゅうにく美味うまいけれど、ちゃんと白菜はくさいとか椎茸しいたけとかの野菜やさいえよな。どれも一級品いっきゅうひんなんだから、美味うまいぞ」


「……はいはい、わかってるって」


 いもうと美登里みどりはそんなふうにいつものような淡白たんぱくかんじであにである俺の要求ようきゅうこたえて、おたまでおなべなか白菜はくさいなどの野菜やさい小皿こざらに取り分ける。


 俺たち三人さんにん姉兄妹きょうだい夕食ゆうしょくっているテーブルのすぐかたわらでは、あたまにカチューシャをけたロングスカートメイドふく姿すがたかなでさんがっていて、おましがおでいつでも俺たちの給仕きゅうじをできるように待機たいきしてくれている。


 美登里みどり野菜やさいをもぐもぐとべて、感心かんしんしたようにつぶやく。


「……おお、このネギあまくてちょう美味おいしい。スーパーのと全然ぜんぜんちがう」


 すると、うしろになが亜麻色あまいろかみらして両脇りょうわきみをっているかなでさんが、その美登里みどりこえいてつかったような反応はんのうかえしてくる。


美登里みどり嬢様じょうさま……そのねぎはお祖母ばあちゃんと懇意こんいにしてくださっている埼玉県さいたまけん農家のうかさんが今朝けさ収穫しゅうかくしたものでして……特別とくべつ有機ゆうき栽培さいばい特級品とっきゅうひんけてもらったものらしいです……」


「……ほうほう、ってことは深谷ふかやネギか。どうりで美味おいしいわけだ」


 美登里みどり美食家びしょくか気取きどりでそんなことをうと、日本酒にほんしゅようまるみのついたグラスで日本酒にほんしゅんでいるねえちゃんがこたえる。


「みどりってさー、子供こどもころからネギにかんしてはうるさいってゆーか、よーくくよねー」


 そんなことをグラスを持って言う姉ちゃんの近くには、俺たちと同じくすき焼きの取り分け小皿と白飯しろめしられたお茶碗ちゃわんの他に、おかんにされた日本酒にほんしゅの入った少し大きめの徳利とっくり、そしてもう一品なにやらクリーム色っぽいどろどろしたおつまみが入った小皿こざら机上きじょうに置かれている。


 そして、美登里みどりと同じくねえちゃんも座っているすぐ近く、机の上にスマートフォンを置いてある。


 なお、美登里みどりのスマートフォンカバーの色はブルーグリーン、姉ちゃんのスマートフォンカバーの色は赤である。


 美登里みどりが、となりすわっている明日香あすかねえちゃんにたずねかける。


「……そういえばおねえちゃん、さっきからおつまみで何食べてるの?」


 すると、茶髪ちゃぱつショートカットの明日香あすかねえちゃんがこたえる。


「んー、コノワター」


「……コノワタ? なにそれ?」


 美登里みどりていした疑問ぎもんに、ねえちゃんがかえす。


「なんかねー、ナマコのハラワタを塩漬しおづけにして熟成じゅくせいさせて塩辛しおからにしたものなんだってー。日本酒にほんしゅによくさかなになるって幸代さちよさんにおしえてもらったんだー」


 すると、美登里みどりがどことなくいたかんじで反応はんのうかえす。


「……うぇぇ……ナマコのハラワタ? おねえちゃん……おさけのおつまみとはいえ、よくそんなゲテモノべられるね」


「いやー、すーっごく美味おいしいよー? みどりも一口ひとくちべてみるー?」


 ねえちゃんが、そのコノワタとかいう名前なまえのクリームいろのどろりとした食材しょくざいはいった小皿こざらち、美登里みどりのいるがわかかげる。


 すると、美登里みどりはし小皿こざらったままくびかるよこる。


「……いや、遠慮えんりょしとく。わたしはお姉ちゃんほどの悪食あくじきじゃないから」


 そんな美登里みどりの反応に、俺は姉ちゃんに皮肉ひにくじりに伝える。


ねえちゃん、おさけがからむとナマコの内臓ないぞうなんかの下手物げてもの料理りょうりとかも普通ふつうべられるんだな」


 すると、ねえちゃんが小皿こざらふたたおのれ手元てもとせて言葉ことばはっする。


「いやー? 幸代さちよさんのはなしによるとコノワタって酒呑さけのみのあいだでは結構けっこう有名ゆうめい高級こうきゅう珍味ちんみらしいよー? それにあたしは、悪食娘あくじきむすめだのなんだのとわれようが、おさけえばなんでもべられるしー」


 ねえちゃんはそんなことを言って、海鼠なまこはらわたしおけて熟成じゅくせいさせたというそのおつまみを、グラスで日本酒にほんしゅみながら食べる。


 そして、ねえちゃんが少しだけほほあからめて、そのグラスをったままほうけたようなこえを出す。


「おとうさんもおかあさんも、日本中にほんじゅうをドライブしてまわって、日本中にほんじゅう美味おいしいもの沢山たーっくさん食べたんだってー。それも夫婦ふうふ水入みずいらずで仲良なかよくさー、あーもーうらやましいなー」


おや同士どうしなかいのは、子供こどもにとってもいいことなんじゃね?」


 俺がすききの霜降しもふ牛肉ぎゅうにくはしはさみつつそうかえすと、ねえちゃんが愚痴ぐちる。


「まーそりゃそうだけどねー。幸代さちよさんのはなしによると、日本にほんにはまだまだおさけ地元じもとでしかべられないような美味おいしいものがいーっぱいあるんだってー。あたしも日本中にほんじゅうドライブしてめぐりしたいなー、できれば気心きごころれた彼氏かれしとー」


 すると、美登里みどりねえちゃんに提案ていあんする。


「……とりあえずおねえちゃん、運転うんてん免許めんきょってみたら? 地下ちか駐車場ちゅうしゃじょういたままでしょ、おとうさんのしろいトヨダのくるま


「そーだねー、おとうさんはあのくるまきに使つかっていいってってたけど、まずは普通ふつう乗用じょうよう自動車じどうしゃ免許めんきょらないとねー。春休はるやすみに免許めんきょるの挑戦ちょうせんしてみよっかなー」



 もといえんでいた時期じきからっていた、いかにも一般いっぱん家庭かていけな大衆たいしゅう国産車こくさんしゃであるトヨダTOYODAせいしろ普通ふつう乗用じょうよう自動車じどうしゃは、このマンションビルの地下ちか駐車場ちゅうしゃじょうきっぱなしなのである。


 ちなみに、俺たちが住んでいるこの富裕層セレブけタワーマンションビル最上階さいじょうかい部屋へや住民じゅうみんけにてられた駐車ちゅうしゃスペースは、あとふたつある。


 マンションビル管理かんり業者ぎょうしゃあらためて契約けいやくをすることで、月額げつがく追加ついか料金りょうきんはらって駐車場ちゅうしゃじょうスペースをやすことも駐車場ちゅうしゃじょうきがあれば不可能ふかのうではない。


 とはいっても、このいえんでいる俺と美登里みどり明日香あすかねえちゃんの三人さんにん姉兄妹きょうだい現時点げんじてんだれ一人ひとり運転うんてん免許めんきょすらっていないので、いまのところ心配しんぱい無用むようである。


 ねえちゃんの発案はつあんいた俺は、白飯しろめしられたお茶碗ちゃわんにしつつこたえる。


「ま、飲酒いんしゅ運転うんてんとかさえしなけりゃいいんじゃねーの? 大学だいがく三年生さんねんせいになるまでに自動車じどうしゃ運転うんてん免許めんきょるの目指めざして、どこか近場ちかば自動車じどうしゃ教習所きょうしゅうじょもうんでみたら?」


啓太郎けいたろうさー、教習所きょうしゅうじょ費用ひようのおかねしてくれるー? いたはなしじゃ30万円まんえんくらいするみたいだけどー」


「そりゃもちろんすよ」


 ねえちゃんの要望ようぼうに俺がこたえると、明日香あすかねえちゃんは笑顔えがおになる。


 そんな感じで俺たち三人さんにん姉兄妹きょうだい晩餐ばんさん風景ふうけいにてやりりをわしていると、テーブルの上に置いてある姉ちゃんのスマホが音を立てて振動しんどうした。


 ねえちゃんはその赤いスマートフォンをり、操作そうさする。


「あー、まーたイタズラだー」


 ねえちゃんがスマートフォンの画面がめんて、そんな言葉ことばはなつ。


 どうやら、ねえちゃんがこのまえにさいたま主催しゅさいの20さいいわ成人せいじん式典しきてん、いわゆる成人式せいじんしきさいに、電話でんわ番号ばんごう漏洩ろうえいしてしまったとのことらしい。


 それからというもの、あやしげな投資話とうしばなしをもちかけてくる業者ぎょうしゃや、胡散うさんくさそうな会合かいごうへの出席しゅっせきさそ女性じょせいや、中学ちゅうがく高校こうこうときおなじクラスだっただけなのにいきなりデートにさそってくる男性だんせい連絡れんらくなどがたびたびるらしい。


 俺はねえちゃんにはなしかける。


ねえちゃん、スマートフォンあたらしくなおして番号ばんごうえたらどう? 幼馴染おさななじみとかのなかのいい友達ともだちだけにあたらしい番号ばんごうおしなおすことにして」


 すると、ねえちゃんがかえす。


「そーだよねー、できるかぎりはやえないとだめだよねー。いまはまだロミオメールとかのイタズラだけでんでるけど、へんなところに電話でんわ番号ばんごうながれたりなんかしたら悪用あくようされちゃうかもしんないしー」


 明日香あすかねえちゃんはそんなことをってスマホを置き、メイドのかなでさんに入れてもらっていたグラスの日本酒にほんしゅす。


 そして言葉ことばつづける。


「このまえ成人式せいじんしきではすっごくおとこにモテたんだけどさー、ほら変装へんそうもさせてもらってたからってのもありそうなんだけどー。中学ちゅうがく高校こうこうときにはあたしのこと筋肉質きんにくしつのメスゴリラだのなんだのってさんざんっておいて、いざ大金持おおがねもちになったらのひらかえしてちやほやしはじめるっての、なーんかいやんなっちゃうなー」


 そんなねえちゃんのなげごえに、俺は若干じゃっかん薄笑うすわらいしながらかえす。


「それはしょうがねーって、俺も高校こうこうとおったみちだよ」


 俺がそんな風に、明日香あすかねえちゃんに金持ちになってしまったがゆえ苦労くろうかたっていると、今度こんどはテーブルづくえうえにもうひとつかれていた、ブルーグリーンいろ美登里みどりほうのスマートフォンに着信ちゃくしんがあったらしく、そのバイブレーションの振動音しんどうおんひびいた。


 ブブブブブブブブ


 スマートフォンととも振動しんどうして、そのつくえ近辺きんぺんちいさくれる。


 いもうと美登里みどりがそのおのれのブルーグリーンいろのスマートフォンをってなにやら操作そうさしたところで、小声こごえつぶやく。


「……あ、すももちゃんからだ」


「おい、ちょっとて」


 美登里みどり不用意ふよういつぶやきに、俺は即座そくざ反応はんのうする。


美登里みどり、すももちゃんってあの新人しんじん声優せいゆうさんだよな? いつの連絡先れんらくさき交換こうかんしたんだ?」


 俺の脳裡のうりには、あの焼肉店やきにくてんはたらいていたすこいろいたながいウェーブがみわか女性じょせいである、美登里みどりきだとっていたキャラクターのこえをコミックCDでえんじていたらしい新人しんじん声優せいゆうさんの姿すがたかぶ。


 すると、美登里みどりがまごついたかんじで弁明べんめいする。


「……えーっと……じつ昨日きのう握手あくしゅ会場かいじょうでサイン色紙しきしにサインをいてもらったときに……『みんなにはナイショよ』ってわれて……すももちゃんの RINEライン のプライベートアカウントをサイン色紙しきしいておしえてもらってて……」


 歯切はぎれのわるかんじで説明せつめいをする美登里みどりに、俺はあきれてかえす。


「で、連絡れんらくったのか。あの声優せいゆうさんとラインで」


 俺がそこまでうと、美登里みどりはスマートフォンをったままコクリとうなずく。


「……うん。わるひと邪魔じゃまされちゃうといけないから家族かぞく以外いがいには秘密ひみつにしててしいっておくってきた」


 そんないもうと言葉ことばに、俺はあにとして心中しんじゅうあきてる。


――美登里みどり美登里みどりだけど。


――あの声優せいゆうさんも声優せいゆうさんだ。


――あの新人しんじん声優せいゆうさん、さりげないでとんだわせものだ。


 そんなことをこころなかおもっていると、スマートフォンをふたた机上きじょういた美登里みどりが俺のほういて真剣しんけんかおになってそのくちひらき、すこしばかり早口はやくちしゃべる。


「……おにいちゃんのいたいことはわかるけど、わたしにはきな漫画まんがきなキャラクターをえんじている声優せいゆうさんのさそいをことわることなんてできなかった……収録しゅうろくのいろんな裏話うらばなしなんかもおしえてくれるっておくってくれたし……きな漫画まんがについてらないことがあるのならば、りたいとおもうのが普通ふつうでしょ? おにいちゃん?」


 そんな美登里みどりあせりをつくろおうとしているかのような、いかにも真面目まじめぶったもうひらきをき、俺のこころなかおもいがかぶ。


――そうだよな。


――美登里みどりって、むかしっからこんなタイプのいもうとだったんだよな。


――やりたいこと、しいっておもったことには後先あとさきかんがえずにすすむタイプなんだよな。


 あにとして、幼稚園ようちえんくらいのむかしからわらないいもうと性格せいかく再認識さいにんしきした俺は、卓上たくじょう調理器ちょうりきうえかれたすきなべからけた白菜はくさいはしはさみながら、こうずな行動こうどうをしかねないいもうと美登里みどり注意ちゅういうながす。


衝動的しょうどうてき迂闊うかつ行動こうどうをするのだけはやめてくれよな」


 すると、いもうと小声こごえ自信じしんがなさそうにぼそっと一言ひとこと


「……善処ぜんしょします」


――信用しんようならねぇー。


 俺はそんなことをかんがえつつ、すきあじいたあまみのある白菜はくさいをもぐもぐと咀嚼そしゃくする。


 そしておさけんでいるねえちゃんが、美登里みどりつたえる。


「みどりぃー、啓太郎けいたろううことはちゃんといとかないとだめだよー。啓太郎けいたろうはおにいちゃんとして、いもうとであるあんたのためおもってってくれてるんだからねー」


 すると、美登里みどりこたえる。


「……うん、それはわかってる」


 そんなかんじでねえちゃんと美登里みどり姉妹しまい会話かいわわしていると、どうやらねえちゃんがかなでさんにいでもらっていた徳利とっくり日本酒にほんしゅからになったようだ。


 ねえちゃんが、ったまま待機たいきをしているロングスカートメイドふく美少女びしょうじょの、まるで継母ままははつかえる灰被り姫サンドリヨンのように甲斐甲斐かいがいしく給仕きゅうじをしてくれているかなでさんにつたえる。


かなでちゃん、徳利とっくりのおさけからになっちゃったからさー、もう一本いっぽんかんつけてよー」


「はい、わかりました……明日香あすか嬢様じょうさま……」


 はかなげな美少女びしょうじょであるかなでさんはそんな様子ようす明日香あすかねえちゃんにたいし、おしろ高貴こうきあてなる赤光しゃっこう女王様じょうおうさまつかえるメイドさんであるかのような従順じゅうじゅんこたえをして、あたらしい徳利とっくりりにパタパタとスリッパをらしてキッチンへとかう。


ねえちゃんも、二十歳はたちになったからってあんまりおさけぎんなよ。いくら美味うまいおさけだからって、際限さいげんなくぎたら下手へたしたら依存症いぞんしょうになって肝臓かんぞうこわすぞ」


 俺がそう注意ちゅうい喚起かんきすると、ねえちゃんがすこっぱらったかんじでかえす。


「ちゃーんとアルコールのりょう休肝日きゅうかんびはあたしなりに設定せっていしてるし、それ以上いじょうみたくなってもおさえられてるから、それにかんしては平気へーき平気へーきー」


――本当ほんとうかよ。


 そんなふうこころなかみをれていた俺であるが、もうひとつの懸念けねん事項じこう相変あいかわらず残存ざんぞんしていた。


――美登里みどりやつ自分じぶん一人ひとり声優せいゆうさんにいにったりとかしねーだろーなー。


――なかには、親切しんせつそうな善人ぜんにんかわをかぶった貪欲どんよく悪人あくにんとかがいっぱいいることを、まだいまいちわかってなさそーだし。


――あにとしてできるなんらかの対策たいさくとか、っておかねーとな。


 俺は、一級品いっきゅうひんばかりの豪華ごうか食材しょくざいにより調理ちょうりされたすきなべかこ家族かぞく晩餐ばんさんにて、そんなことをおもっていた。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る