第55節 メッセージ・イン・ア・ボトル
もう少しで
バルコニーにつながるリビングの大きな窓からは、このビルの南の方に広がる
姉ちゃんだけでなく、
姉ちゃんもその飲み友達三人も、ソファーやコタツで
年末の仕事を終えた
今頃は、布団を並べて
では俺は何をしているかというと、毛布をかけられた姉ちゃんが寝っ転がっているソファーを
実は先ほど、父さんの携帯から俺に電話がかかってきたのだ。
もちろん、すぐ
そして、ここ
そのまま
そして
今の俺の手にあるスマホ画面には、先ほど父さんのスマートフォンからSMSの画像転送機能で送られてきた、俺たち家族が特に仲の良い
そこには、右におかっぱ黒髪でなんとなく色っぽい
二人とも四十を過ぎているというのに
右にいる、おかっぱ黒髪の四十を超えているようにはとても見えないどこか
そして左にいる、四十過ぎだというのに髪を明るく茶色に染めているきりっと表情が引き締まったこの男性は
そしてもちろん、その高学歴で優秀な
なお
そんなことを思い返しながら、俺はスマホ画面に表示された写真を見ていた。
――
――間違いなく、
――
――くわばら、くわばら。
俺は
そして薄暗がりの中で俺が
そのやり取りに
――俺も、あんな
――よかったな、
ただ、
だから、
俺はそんな
そんな数日前の何気ないラインのやり取りをざっと流し見た俺は、そのコミュニケーションアプリを閉じる。
そして、手元のスマートフォン画面にはデジタル時計の数字としての大きな時刻表示が浮かび上がる。
『23:59』
ひと呼吸の後、そのデジタルクロックの表示が変わる。
『00:00』
――新年だ。
薄暗がりの中、女子大生四人が寝息を立てる広いリビングで、俺はただそんなことを
リビングの
足にスリッパを
はるかはるか
だが、その
――あれは、
ここから
俺は、自分が数百億円の資産を持つ大金持ちだということを
そして、テーマパークの年間パスポート代だけでなく、食事代も交通費も全て出すことができた。
――だが、俺は
俺はどこかで、こんな
『
危険を
だが、俺はその
俺は
――
――
バルコニーにて俺は、遠く遠くに打ちあがるとても手の届きそうにない新年を祝う地平線近くの
俺の心の中に、思いが沸き起こる。
――きっと、
――いろいろあって、二十万円以上かかっちまったけど。
――おそらくは、あそこまで俺が色々と計画して行動して。
――俺の出した、年間パスポート代とかの色々とかかった費用以上の
そこまで考えた所で、俺の頭の中で
「第二問。この世の中にはお金持ちになれる人と、お金持ちになれない人がいますが、その一番の違いは何でしょうか?」
おそらくはその
「……そうか、それが答えか」
――
――
――本当に、生まれながらの大金持ちって見えている世界が違うんだな。
俺がそんなことをバルコニーの寒い空気の中で思っていると、後ろの方から窓が開く音がした。
振り向くとそこには、まだ普段着のままの服装にスリッパを履いた、長いツインテール髪の妹の
「……お兄ちゃん、あけおめ」
「ああ、
俺が
「……
「え?
「……いいから替わって」
俺が妹のスマホ画面を見ると、どうやら国際展示場で出会った中国人のコスプレイヤーさん、
俺はスマートフォンを耳に当てて、その電話に出る。
「もしもし」
『
スマホスピーカーから
「ええ、
『相変わらず硬いな、
「いや、一応年上ですからね」
そう電話口の向こうに返すと、
『そうか?
「あーっと……まあ、
俺がそう返すと、
『
俺は息を飲む。
『
ごくり。
俺は唾を飲み込んだ。
そして、俺は頭の中で考えを巡らせていた。
――ごまかすことも、できる。
――とぼけることも、できる。
――だが。
俺は腹をくくり、電話口の向こうにいる
「……よくわかりましたね」
すると、
『まーな、実は昨日の晩に既にネット上にあった過去のニュース動画で声を確かめてたね。確信したのは今日コミマで
俺は返す。
「そーですよ。
すると、一拍の間を置いて
『
俺が何も言わないでいると、
『るゅ、てぃえんゆぅ』
「……え? なんですか?」
尋ねるも、沈黙。
ブブブブブブブ
俺の手の中にあるスマートフォンが振動した。
そのライン電話をかけている最中のスマートフォンの画面には、こんな文字がラインメッセージとして新たに表示されていた。
『呂 天羽』
漢字が、ただ三文字送られていた。
再びそのスマートフォンを耳につけると、
『
「ええ、届きました
『一応、
電話口の向こうにいる
俺は返す。
「俺も、実力じゃなくて運だけで何百億円も手に入れたなんて言えませんでしたから」
すると、
『何言ってるか?
そんなことを言ってくれる
「……はい、なんで俺なんかが宝くじに当たることになったかはまだわかりませんが、いつか見つけてみせます」
俺が応えると、
『それよりもう
「ああ、はい。妹に替わります」
『
「はい、また機会があれば」
俺はそんな簡単な
開いた窓越しに中で待機していた
俺が
――あの、
そんなことを、
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