第54節 イヴの総て
カニというものは食べている最中は
それはある意味自然の
コタツの上にある大皿に乗せられたカニたちは、
俺の右隣に座っている東北出身っぽい黒髪ロングのお姉さん、
「いや~弟ぐん、カニ
すると正面のモミアゲお下げ髪の女性、
「だから
「あー気が
――いや、わりと
俺がそんなことを考えていると、左隣に座っているふんわりツインテールのロリ顔女性、
「すっごく美味しかったのー! えーっとぉーえーっとぉー……弟くん、ありがとうなのー!」
「あーっと……
「そっかそっかー!
「
俺がそんなことを言って軽く
なお、離された手を鼻の近くに持っていって
そして、正面に座っていた
「いやはや、
そこに、ロングスカートメイド服で頭にカチューシャを着けた両三つ編みお下げ髪の
「では、
そして、
「メイドさんのコスチューム、あれ弟さんの趣味ですかね?」
「妹の趣味です」
俺は即答した。
すると、その言葉を聞いた
「可愛すぎますね、
と、そこで
「
そして、
「それにしても本物のメイドさんがいるとは思わなかったのー! さすが七百億円当てた億万長者! スケールが違うのー!」
「いや、税金とかで引かれてだいたい三百億円ですからね? 手元にあるのは」
俺が苦笑いをしつつ応えると、
「それでも全然超大金持ちなのー! 弟くん、もし良かったらお姉さんがいろいろといいこと教えてあげるのー!」
そんな
「だから、
その言葉を聞いて、俺に誘惑の目線を向けてきた
「はいはい、ゆいかりんは
俺は
――見たところ、全員が全員とも顔立ちも体型も整った普通に
――姉ちゃん
――なんか信じられねーな。
そんなことを考えていると、ダイニングテーブルで姉ちゃんと共にカニを食べ終わっていた
「……そうだ! ドラゑもん! ドラゑもん!」
そしてテレビの画面スイッチがオンになり、日本を代表する国民的アニメキャラクターである未来から来た青い丸みのあるロボットとその
「こらこら、お客さんがきているのに勝手なことしちゃいけません」
俺がそんな感じで
「……ぷー、
「単なる一般常識だ、一般常識。一応はこの場にいるみんなに
そう妹に言ってから、俺は振り返って姉ちゃんが呼んだ大学の友達の
「なんか、みなさんは
すると、コタツやダイニングテーブルの近くに座っている姉ちゃん達が
「
と、
「
と、
「
と、
「あたしは、『King-
と、姉ちゃん。
見事にバラバラであった。
「バラッバラですね」
俺がそんな
「
「いや、俺はあまりテレビ見ないので」
そう応えると、姉ちゃんが明るく大きな声を発する。
「じゃーさー! あみだくじやろうよ、あみだくじー!」
「……えー? お姉ちゃん、
ソファーに座っている
「じゃ、俺の部屋から紙と
そんな俺の申し込みを聞いて、
「弟さん、礼儀正しいですね。きっと出世しますよ」
すると、
「もー、ゆいかりん。弟くんはもう億万長者さんなんだから、出世する必要なんてないのー」
そんな女子達のやり取りを背に、俺はリモコンを
――三人ともみんながみんな彼氏がいないっていうけど。
――全員わりと
――それとも、ぱっと見だとわからない
そんなことを考えながら、俺は自分の部屋へと向かった。
俺が自分の部屋から紙とペンを持ってきて、
で、姉ちゃんは
俺は妹の
そんな状況を
姉ちゃんは慣れない日本酒を
と、いうわけで弟である俺が姉ちゃんの代わりに呑み友達三人を相手取り、空になった
ちなみに
もちろん俺がグラスで飲んでいるドリンクとはお酒なんかではなく、下で買ってきたゼロカロリーのダイエットコーラである。高校生なので。
俺は、目の前にいる
右隣にいる、酔っ払った
「んでな、んでな、いもどにおらいではるときいってやったっちゃ。
――何いってんのか、全然わからん。
どうやら
俺は
正面にいる、酔っ払った
「
どうやら
しかも、それが
――そして――
俺は覚悟と共に、左隣を見る。
目の
俺の視線に気づいた
「なんの?
そんな瀬戸内海の方言っぽい言葉遣いに、俺は身を
そして、おそるおそる伝える。
「えーっと……酔うとなんか、イメージ変わるんですねー……って思ったり」
「イメージっていうかのー、こっちが
すると、
「
「オタサーの
そんな
「うう……
――あー、ガチでめんどくせー。
そんなことを
俺はテレビに出ているアイドルにはわりと
再び
「ほら、紅白に
まず、
「
「うーんと……
最後に、
「
俺は口を開く。
「みなさん、好みとかバラバラですね」
すると、メイド服姿の
「では、お
と、そこに
「メイドちゃん、メイドちゃんは
すると
「おー……ぞら?
そこに、
「
そして、
「ま、知らないなら知らないでかまいません。
きっと漫画的に表現したとすれば、俺の耳は今まさにゾウのように大きくなっていることだろう。
そして、俺の正面脇に座っている
「えーっと……わたしは……そうですね……
――お
その言葉に、俺の心の中にいろいろな
「ってことはー、しょうゆ
――え、だとすると俺は
俺がそんなことを考えながら
「えーっと……えーっと……外見というよりは内面がお
そんな
――えーっと……
――
――ってゆーか、俺であって欲しいんだけど。
――いや、むしろ
俺が高校生男子らしくそんなことを思いつつ
「ですが……正直よくわかりません。わたしは、初恋すらまだですので……」
そんな
――つまり、現時点では好きな男はいないってことか。
――うーん、まあ他に好きな人がいるとかより、ましかな?
俺がそんなことを思っていると、背中の方面にある大画面のテレビモニター近くのサウンドスピーカーから発していた男性アイドルグループの歌声が終わったのがわかる。
そして、紅白の女性司会者の声が部屋に
「
俺が振り返ると、大画面のテレビモニターの中には十代半ばでトップアイドルに登りつめた期待の大型超新星、
その大きなバストの谷間が見えそうなくらいに胸元が大きく開いたドレスを着て、頭には
俺が再び正面を向くと、
そして、
「……
――え?
――
その疑問に関して、
「
その質問に
「
すると、
「お
俺も、
「なんか、紅白に出ているアイドルのこと、
すると、
「あらまあ。ええ、確かに昔から
その言葉に、俺は
「紅白に出るようなトップアイドルのこと、昔から知っているんですか?」
「
そんな
大画面のテレビモニターには、トップアイドルが
その画面に大迫力で映し出された姿はまさに、ファンの
「すごい……
そして
そんな様子を見て、
「
それだけ言って、
「
すると、指で軽く涙を拭いた
「えーっと……それは、
俺は返す。
「俺は別にいいよ、一緒に行っておいで」
すると、
「ありがとうございます、
「よかったのー、メイドちゃん。優しいご主人様やったけんのー」
「んだんだ、おどどぐん、えらいきはしまわるっちゃ」
――だから、何いってるのかわからねーっつーの。
すると、
「ちょっとまってください。
「え……? 来年の二月に十六ですけど……」
「
「ああ、こうですか?」
俺は
すると、
「
俺も叫び返す。
「なんでですか!」
「
「ちゃんと
「
右隣の
左隣の
そして、ソファーでは姉ちゃんがいびきをかいて眠りこけていた。
――ったく。
――でもまあ。
――
そのなによりの
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