第53節 マグノリア
さて、俺が
コミマ三日目、12月31日つまり
最終日である今日のコミマ三日目は、かなり多くのスペースが
そこで、自身のコスプレ写真集を売っていた
一緒に写真集の売り子を手伝ってくれていたというその中国人留学生の友達は、髪がショートカットのボーイッシュヘアーで目がぱっちりとした、
なんとなく
そして、小売ブースの机の上に置いてあった、昨日探した
スイッチを入れているはずなのに、再生しているはずの音楽が聞こえなかったので不思議がった俺に、
で、俺が正面に立ってそのオーディオプレイヤーを見下げると、その場所だけで音楽が俺の耳に
俺が
俺は中国のテクノロジーに感心し、
そんなことを思い返しながら、三日目のイベントを
昨日と同じく、一万円以上使ってのタクシーでの
隣に座っているツインテールをシートまで垂らしている妹が、
「……ふー、
俺は妹に返す。
「来年こそはしっかりと、学校に行けよ?」
「……ぷー、いまここでそれを言う? せっかく
面白くなさそうな妹の文句に、俺は兄の立場でしっかりと
「そもそもお兄ちゃんが
すると、妹は表情を
「……それもそうだね、いーあるチャイナ
そんなことを言って、
しばらく指先で操作を繰り返して、何か面白いものを発見した猫みたいな表情になる。
「……おお。お兄ちゃんの昨日の
「えっ? マジ?」
俺が尋ねると、
「……マジ、ほらほら」
そんな
「マジかよ……同じ学校の奴らにバレたりしねーだろーな」
「……バレたらバレたで、いっそのことコスプレイヤーデビューしちゃえば? 名前は
「
「……そう? もったいないなー、お兄ちゃんの
「
「……はいはい、わかってるって。
妹の
そして妹は、俺から視線を外してタクシーの窓の外に流れる街の風景に目線を移す。
「……もう、今日で今年も終わりだね。今年は本当に、いろんなことがあったなぁ」
そんなしみじみとした言葉を
「そうだな。アメリカの宝くじに当たって、億万長者になって……色々なことがあったな」
妹が窓の外を向いたまま俺に尋ねる。
「……えーっと、お兄ちゃん。
「
俺が
「……六年かぁ、もう
「そんなもんだろ。うかうかしてると
すると、妹が一言。
「……
「なんだそれ?」
「……いま思いついた言葉。
そんな
「
そして妹が、再び
「……せっかくだから、トゥイッターにトゥイートしとこ」
そんなことを呟く
「そういや
「……そうだよ、これ」
もしかしたら妹が
「『うぐうぐ』ってどういう意味だ? なんかのゲームキャラの愛称とかか?」
「……ううん、
「ああ、なるほどな」
――ウグイスって春先にホーホケキョって鳴く鳥だよな、確か。
そんなことを思っていると、ポケットに閉まっている俺のスマホが振動した。
ブルルルルル ブルルルル
スマホを取り出して画面を確かめてみると、『姉ちゃん』からSMSでのメッセージが来ているらしかった。
「お、姉ちゃんからだ」
そんなことを言って暗証番号を入力してスマートフォンの画面を開き、姉ちゃんからのメッセージを確認する。
『今夜はカニパーティーだよ。もう始めてるから楽しみにしてて』
――ん? もう始めてるって?
姉ちゃんからのメッセージを受け取った俺は、頭の中に疑問符を浮かべる。
「……お姉ちゃんから、なんて?」
「今夜は
すると、
「……おお、やった」
「もう、パーティー始めてるって」
俺がそう告げると、
「……ああ、そうか。お姉ちゃん、そういうことか」
「そういうことってなんだ?」
俺が尋ねると、
「……お姉ちゃんも大学の友達を家に呼んだんだよ。
「あー……なるほどな。ってことは姉ちゃんの友達も、宝くじで俺たち家族が億万長者になったってことを信じざるを得なくなったってことか」
「……そうだね、お兄ちゃんもある
「
すると、
「……お姉ちゃんがいつも一緒に呑んでる飲み友達って三人いるらしいんだけど、三人が三人とも彼氏がいないソロの女子大生……らしい。だから、十中八九その
「え? 俺に?」
「……他に誰かいるとでも?」
そんなことを言いつつ、
俺はたどたどしく返す。
「いやー……仮に
すると、
「……ぷふー。ま、そこに限っては
その言葉に、俺は改めて妹の顔を見る。
――こいつ、俺が
その小悪魔のような妹のドヤ顔に、俺は正面を向いて息を大きく吐き出す。
――やっぱり
――本当に、兄としてどうしてやるべきなんだろうな。
そんな俺の
で、家に帰ってきてから俺は今、リビングに置かれているコタツにてテレビのある方向を背にして、姉ちゃんの呑み友達だという魅力的な大学生のお姉さん方三人とでコタツテーブルの四方を囲んで、黙々と
どっちの方向を向いてもお姉さんしかいないのでハーレムといえなくもないが、そんなことより全員が全員とも
すっかり日が沈んでから
そして俺が大広間であるリビングに入って直面したのは、床暖房のフローリングの上にカーペットを敷き、朝には無かったコタツを乗せて
姉ちゃんはこの前のクリスマスイブ以来、日本酒にすっかりはまってしまったらしく、今日はいつもの呑み友達三人を初めて自宅の
そして、帰宅した俺と
そして必然的に、フローリングの床に敷かれたカーペットの上に
俺がコタツに座って
「いや~カニってほんどに
この、東北から来た人っぽい
頭に丸い膨らみが三つある緑色のヘアバンドを着けていて、なんとなく
ただ、
なんでも大学では弓道部に所属しているらしく、レスリングで進学した
俺が「ああ、はい」と軽く
「ちょっとちょっと、
俺の正面に座っている、長いサラサラの髪を茶色に明るく染めて二つのお下げにして前側に垂らしている、
大学生なのに随分とフラットなお姉さんである、特に胸が。
頭に二つの円を合わせたような紫色のヘアアクセサリーをつけたこの女性は、やはり姉ちゃんと同じくスポーツ
そして左隣には、ふわっとそれぞれ
「そんなことよりぃー、弟くんって超がつくほどの大金持ちなんだよねぇー?
すると正面に座って日本酒を呑んでいた
「こらこら、未成年を
「はいはい、冗談なのー。
この、あどけなさの残る幼い顔つきの黒髪女性は
この中では唯一スポーツ
ただ、同じツインテールで低身長という
――ロリ
ちなみに姉ちゃんとは、大学の
俺は
そして俺は、
――
そんな言ってはいけないことを胸に秘めながら、俺は
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