第51節 エデンの東
オタクのための
助けを求めてきた
つまり、俺と
あともう一人、明日のコミマ三日目にブースにて写真集を一緒に売ってくれる日本で知り合った中国人留学生の友達もあのプレイヤーの外観を知っているらしいが、その友達は今日は用事があって来ていないとのことだ。
俺と
幸いなことに妹が昨日あのオーディオプレイヤーの写真をちゃっかりと高級なカメラで撮影していたので、その写真をデジタル一眼レフカメラに
妹はオーディオプレイヤーの
なんでも
妹は「……確かに、
色々な売り子の人にも尋ね回ったが結局は見つからず、このまま徒労に終わるんだろうなとかそんなことを考えていたところ、高い天井の下での人行き交う会場の人の流れの隙間で、一緒に歩いていた
人のざわめくコミマ会場の中で、俺と
「やっぱり無理だな。うぐうぐに
すると、
「……でも、
俺も、その
「俺たちは別に構わないからさ、悪いなんて思わなくていいよ」
すると、合わせていた手を離した
「
昼飯も食べずに会場中を歩き回って探していたので、正午を一時間半ほど過ぎたこの時間に至って、まだ三人とも昼食を食べていなかったのだ。
「せめて、
そんなことを言う
で、国際展示場の内部にある洋食屋さんに訪れていた俺たち三人は、レストランの行列に並んでいた。
正午を一時間半くらい過ぎている時間帯だというのに、かなり並ばなければならないようであった。
並んでいる最中、中国出身のコスプレイヤーである
まず、
去年の七月、日本での高等学校に相当する中国の高級中学を卒業し、今年の四月に日本の東京にある私立大学に入学したとのことだ。
なんでも中国の学校は欧米と同じく、秋に年度が始まって夏に終わる制度であるらしい。
一緒に並んでいる妹が「……ひょっとして、お金持ち?」と尋ねたら、
その中で
そんな
妹が「……
で、日本の衣料品販売会社から投資話を持ちかけられたとき、
周囲の人や一族の仲間は「
そして、ミシンが四台しかなかったその小さな
その日本の衣料品販売会社は成長に成長を重ね、
その結果、青年になっていた
そして、四人の年配の女工さんのうちの一人の、その人の娘さんが、
その四人の女工さんの孫世代である
そんなことを教えてくれた
「だからな、
そんなことを言う
「……うん、そうだね。作品としては深いテーマで描かれた凄くいいものもあるんだけど……日本ではそういうのはいまいちパッとしない文化で……アニメや漫画が好きなオタクはとことん残念な目でしか見られていない」
すると、
「心配いらないね。日本の文化で優れたものはみんな、初めは身内の間では劣ったものだったけど、ちゃんと世界では評価されて素晴らしいものと認められてきたよ。だからいつかきっと、オタク文化が日本の伝統的で高尚な文化だと認められる日が来るね」
そんな
「……うん、ありがと。
そして、レストランの待機列が進んだので、俺たち三人はトレイを手に手に取って台に並べられた料理を乗せる段取りになった。
このレストランの注文はカフェテリア形式らしく、コミックマーケティアの開催中だけなのかはわからないが、大量に用意されている出来合いの料理皿をそれぞれが手に持つトレイに
手にトレイを持っていた
俺も、置いてあったカレーライスをトレイに乗せる。
そして最後に、
その光景に、俺は
同じく固まった
「……
「ん?
そんな
――マジ?
――確実に、
太っちょで大食漢である悪友の姿を頭の中で思い返し、目の前にいる
で、
四角いテーブル席を囲むように、俺と
「こら
「……はいはい、お兄ちゃんは厳しいなぁ」
妹はそんなことを言いながらスプーンを置き、オムライスを前に軽く手を合わせる。
俺もカレーを前に手を合わせて、妹と二人で声を合わせる。
「……「いただきます」」
すると、俺の向かい側に座っていた
そして彼女が口を開く。
「それよ、
そんな
「……それって何が?」
「その
そんなことを言う
「……え? もしかして、
「
「……
「あー、それはな
「……おお、なるほど」
「お
「……ま、
すると、
「
そして、その感謝を捧げるような中国人っぽいジェスチャーと共に、胸の奥から響くような声を発する。
「いただきます」
そんなことを言って、
「……
「いや、気にするな。これは
「……なにそれ?」
「
「……ああ、聞いたことある」
そして、ご満悦の表情になって可愛らしい声で告げる。
「
「……そんなに違う?」
「そうね。
そして、オムライスを食べ始めた
「……本当に好きなんだね。食べることが」
すると、
「もちろんそうよ。
その
少なくとも俺は、そう思っていた。
しばらくして、俺も
テーブル席には、空になった皿が五つ乗っかっている。
そう、
「ふーぅ、食べた食べた。
そんなことを言って
――そんな細い身体のどこに、あんな大量の飯が入るんだろうな。
俺がそんなことを考えていると、
「……そんなに食べて、よく太らないね。
「安心するよろし。太ったとしてもコス
「ま、いままでサイズが変わったことなんてないけどな。
「……おお、それは
そして再び、
「……ねえ、その話が本当なら、ちょっと
「
俺の目の前で、
当然のごとく、俺は
「できるぞ。でも、いいのか?」
「……うん、せっかくコミマに来てるんだからね。もちろんお兄ちゃんにとっても、いい思い出になると思うし」
俺の兄としての直感は、そのわがままで自分勝手な
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