第7章 相手にどこまで付き合えばいいのだろうか?

第43節 長ぐつをはいたネコ




 十二月、別名師走しわすの土曜日に降りしきっていた冷たい冬の通り雨は、天気予報の示した通りに二時間半ほどでんだ。


 そして今俺はスニーカーの入ったふくろからげ、池袋いけぶくろ駅から大宮おおみや駅へと向かう電車内にて窓際に立ち、窓の外で北から南へと流れるビルが立ち並ぶ風景ふうけいながめていた。


 あめっていた二時間半ほどの間、俺は百合ゆりさんの家にて雨宿あまやどりをしていた。


 そんなおり百合ゆりさんの弟である竜人たつひとくんとも、色々なことを話した。


 また、百合ゆりさんと RINEライン も交換した。


 俺たち家族がアメリカの宝くじで数百億円を当てたことは話していないが、親がそこそこお金持ちであるということになっていたので、億万長者であるというボロを出すことはなかった。


 竜人たつひとくんは「啓太けーたにーちゃんの声、なーんかどっかで聞いたことあるんだけどなー?」と言っていたが、さいわいなことに結局どこで聞いた声なのかを気付きづかれることはなかった。


 俺がプレゼントをおく相手あいてである親友しんゆう可憐かれんもまた、かなりのお金持かねもちであることを伝えると、百合ゆりさんは不満ふまんげな表情ひょうじょうを見せた。


 百合ゆりさんは不機嫌ふきげんそうに「ちきしょー、やっぱ金持かねもちは金持かねもち同士でつるむんだなー」と面白おもしろくなさそうな声をらしていた。


 そんな中、百合ゆりさんが俺に言ったアドバイスというか忠告ちゅうこくというか、提言ていげんが耳に残っている。




 「おめーがボンボンで、相手もおじょーだったらよー、バイトでかせいだ金で気持ちハラしめしたほうがいーんじゃね?」




 俺がきっちりと自分の力でかせいだ金で、可憐かれん相手あいてのプレゼントを買ってはどうか、という提案ていあんであった。


 可憐かれんの家は、さいたま市近辺に広い広い土地を持つ大地主で大金持ちだ。


 それもただの大金持ちではなくて、何百年も昔からの脈々みゃくみゃくとした伝統を受け継ぐれっきとした名家めいかであり、つい先々月に大金持ちになったばかりの成金なりきんな俺とは色々とかくが違う。


――おそらく「どれだけお金をかけたか」だけではうれしがったりなんかしないだろう。


 それに確かに、子供のころからの親友しんゆうおくるせっかくのはじめての誕生日プレゼントは、俺が努力どりょくなしに幸運こううんのみで手に入れたお金ではなくて、俺が自分の力でかせいで手に入れたお金で購入こうにゅうするほうが喜んでくれそうだ。


――だが、億万長者である俺をえてやとってくれるところなんて、そう簡単かんたんに見つかるのだろうか?


――下手へたしたら、かなでさんみたいに個人情報こじんじょうほうれるリスクだってあるし。


 また、話している中で、百合ゆりさんは今年高校生になってからアルバイトをはじめたことを俺におしえてくれた。


 聞くところによると、池袋いけぶくろまちにある例のゲームセンターで、学校帰りにアルバイトをしているとのことだった。


 百合ゆりさんは、おやから定期的ていきてきにまとまった小遣こづかいらしい小遣こづかいというのはもらったことがなく、高校生になってからはしいものをうおかねすべて自分がかせいだバイト代でまかなっているとのことらしい。


 スマホの支払いとかがわりとカツカツで、もう少しシフトを増やせばもっと金銭的な余裕よゆうが生まれるかもしれないのだが、バイトを多めに入れるのはなんとなく気が乗らないらしい。


 つまり、百合ゆりさんもかつてのかなでさんほどではないにせよ、かなりまずしい生活を送っているということが実情じつじょうとしてかんれた。


 ガタンゴトンと電車にられる俺は、頭の中で考える。


――この世界には、いろいろな経済状態けいざいじょうたいの人がいる。


――生まれたときからずっとお金持かねもちの人もいれば、ずっと貧乏びんぼうなままの人もいる。


――お金持ちだったのに突然とつぜんちぶれた人もいれば、何らかのきっかけでいきなりお金持ちになった人もいる。


 そんなことを考えている俺の頭の中に、可憐かれんが出したクイズとしてのいが再び浮かぶ。




 「この世の中にはお金持ちになれる人と、お金持ちになれない人がいますが、その一番の違いは何でしょうか?」




 おそらくこのいは、金持ちになってしまった俺だけじゃなくて、色々な人が考えなければいけない問題だ。


 これはえれば「お金持かねもちになる方法ほうほう」そのものにかんするいだからだ。


――だが。


 俺は電車にられながら大きく息をす。


「……そんなんが簡単かんたんにわかれば、誰も苦労くろうしねーっつーの」


 そうつぶやいた俺は、流れる車窓しゃそう風景ふうけいに視線を戻す。


 そして頭の中では、先ほどまで降っていた雨がんでから、俺が百合ゆりさんの家から帰るさいの、竜人たつひとくんと俺との間だけでわしたやりとりが思い起こされていた。



 ◇



 池袋いけぶくろにある住宅街に降りしきっていた雨はみ、れるのを気にしなくてもいいくらいの小雨こさめになったタイミングで、俺は百合ゆりさんの住むアパートからおいとました。


 靴が入ったプラスチック袋を持って鉄製の階段を一人降りて建物から離れてちょっとだけ歩いていたところ、竜人たつひとくんだけがアパートから出てきて声を上げて、俺に駆け寄って来た。


啓太けーたにーちゃん!」


「ああ、どうしたの?」


 俺がいてひるがえすと、竜人たつひとくんは息も切らさずに俺に伝える。


「おれいうのわすれてた! ゲームセンターでったぬいぐるみをねーちゃんにプレゼントしてくれてありがとうね!! ねーちゃん、すっごくよろこんでたよ!」


 俺は疑問の声を返す。


「え? あれって君が欲しがってたんじゃないの?」


「えー、ちがうよ! ねーちゃん、あー見えてぬいぐるみとか可愛かわいいもの大好きだからさー! 本当ほんとーはね、バイト先でずーっと前から欲しがってたみたいだよ?」


 そんな竜人たつひとくんの言葉に、俺はドライヤーに貼ってあった人魚姫にんぎょひめのステッカーを思い出す。


「そういや、ドライヤーに Wisneyウィズニー っぽいアニメキャラ貼ってあったけど……あれもやっぱり、百合ゆりさんの趣味?」


 俺がそう尋ねると、竜人たつひとくんが元気に答える。


「そうだよ! ねーちゃんねー……そーだ!! 啓太けーたにーちゃん! お願いがあるんですがいいですか!?」


 いきなりの竜人たつひとくんの敬語けいごに、どことなく気の抜けた感じで俺がこたえる


「え? 何?」

 

 すると、竜人たつひとくんが俺の目の前で両手を合わせておねがいのポーズを取る。


啓太けーたにーちゃん、お金持かねもちなんでしょ!? だったら、どうかねーちゃんを、東京とうきょう Wisneyウィズニー ランドに連れて行ってください!!」


 俺は漫然まんぜんと返す。


Wisneyウィズニー ランド? 浦安うらやすの? あー、やっぱ百合ゆりさんって……あーいうのがきなの?」


「そーだよ! 本当ほんとーはねーちゃん、すっご乙女おとめチックで……あっ! これボクが教えたって言わないでね! 怒られちゃうから!!」


「あー、はいはい。言ったりなんかしないよ」


「ねーちゃんねー、あーんなゆめくにに行くのが子供の頃からのゆめなんだって!! で、もし二人っきりだと行きにくいんだったら、ボクをダシにしてもらってもいいから!! お願いです!!」


 そんな竜人たつひとくんの姉思あねおもいな言葉に、俺は曖昧あいまい返事へんじをする。


「えーっと……じゃあ、考えとく」


 そんな俺の言葉を聞いて、竜人たつひとくんは「約束だよ!」と言って笑顔で手を振りつつアパートに帰っていった。



 ◇



 大宮駅おおみやえき到着とうちゃくした電車をり、俺は家に帰るために駅ビルの東口ひがしぐちから街路がいろへと出るための階段を降りていた。


 階段を降りたところすぐ近くにはバス停留所があり、多くの人が屋根の下でバスを待っている。


 今、目の前のバス乗り場に一台のバスが停まった。


 なんとなくその光景こうけいながめていた俺は、黒色くろいろのファッションレインブーツをいていてバッグをかたからげた、見覚えのある私服女性がバスからったことに気付いた。


 その女性じょせいとは、赤茶色あかちゃいろめられたながかみあたまりょうサイドからけて、かたちかくまでくるくるとたてロールをかけた、俺のクラスの担任たんにん古典こてん教師きょうしであった。


 その二十八歳の女性教師がバス停に降り立ってから体勢たいせい調ととのえたところで、少しはなれた場所ばしょにいた俺に気付き声を上げる


「あれ? たちばなくん!?」


「こんにちは、佐久間さくま先生」


 俺が会釈えしゃくとも一応いちおう礼儀れいぎとして担任教師への挨拶あいさつを返すと、アラサー干物ひもの教師きょうしである佐久間さくま雫音しずね先生は何を勘違いしたのか、少し照れ気味な顔になる。


「えー、やだー!? もしかして待っててくれたとか?」

「なわけないでしょう、偶然ぐうぜんですよ偶然グウゼン


 俺が軽くあしらおうとすると、まるでへび獲物えもの見定みさだめたかのように、先生が俺の方に近寄ってきて身をくねらせる。


「えー、先生はぁー、優しい優しいたちばなくんとだったら運命うんめいの方を信じたいんだけどなぁー」


運命うんめいって……そういうおもひびきの言葉を軽々しく使わないでください。それより先生はこれからどこか行くんですか? 誰か待たせてるんだったら急いだ方がいいですよ?」


 だが、先生はなんか俺のかたわらに立ったまま身をくねらせ、ぶりっ子みたいな声を続ける。


「えーっとねー、これからいつもかよっているお店に行こうかと思ってぇー。でも一人だとちょっーとさびしいからぁー、たちばなくんも一緒に付き合ってくれないかなぁー?」


「一回り年下の男子に、そういったぶりぶりした態度はやめてください」


「もー、そんなこと言わないでよー。そのお店にはたちばなくんが好きそうな可愛かわいたちが、いぃーっぱいいるわよぉー?」


――ん? どういう意味いみだ?


 気になった俺は、先生にその意味を尋ねる。


「そのお店ってどんなお店ですか?」


「この駅のすぐ近くにある、ねこカフェなんだけどぉー」


――ねこカフェか。


――可愛かわいたちって、ねこたちのことか。


 少し考えた俺は、佐久間さくま先生に自分じぶん意思いしげる。


「……わかりました、付き合います」


「えっ!? うそっ!? なんならそのあとのホテルとかの予約よやくも入れる!?」


「それは断固だんことしておことわりします」


 俺はしっかりと、女教師おんなきょうし誘惑ゆうわくった。




 で、俺は佐久間さくま先生に案内されて、大宮駅おおみやえきから少し歩いたところにあるビルにて営業しているねこカフェの店舗内てんぽないに、教師きょうし生徒せいとで二人しておとずれていた。


 お店の名前は『ねこねこJam』といい、佐久間さくま先生の話によれば今年の九月にできたばかりの、大宮駅おおみやえき近辺では新規参入しんきさんにゅうねこカフェなのだという。


 店舗内てんぽないは透明なガラスのまった大きなまど部屋へやふたつに分けられ、キャットタワーやクッションが置いてあるゆったりした感じの部屋へやには白黒トラミケさまざまな模様もようねこたちが何匹もくつろいでいる。


 そして、ガラス窓で区切られている俺と先生が現在いる方のこっちの部屋は、フードやドリンクなど食事しょくじるためにしつらえられた、ねこがいないほうの部屋へやとなっている。


 一応、ねこたちがいる部屋にも入れるようにはなっているらしいが、ねこアレルギーを持っている人たちもねこカフェを楽しめるようにと、ふたつの部屋は入り口から完全に分けられているとのことだ。


 俺は今、ねこたちのいる部屋を真正面に見ることができる大きな窓近くのカウンターのような場所に備え付けてある椅子に座っていて、すぐ隣には佐久間さくま先生が腰を落ち着けている。


 従業員じゅうぎょういんの若い女の人が、木製もくせいのトレイにマグカップを二つ乗せてやってきて、俺たちの目の前にそれらのマグカップを静かに置く。


「どうぞ。カプチーノと、抹茶ラテです」


「あ、どうも」


 俺が返すと、その黒髪ショートカットの女の人は軽く会釈えしゃくをする。


「ごゆっくり、おくつろぎください」


 そんな丁寧ていねいな言葉を受け取ってから、俺が注文したカプチーノの表面ひょうめんを見ると、ラテアートでねこえがかれているのがわかる。


「ラテアート、ってますね」


 俺のそんな感心の声のかたわら抹茶まっちゃラテの入ったマグカップを手に取った佐久間さくま先生が、教育者っぽく落ち着いた感じで俺に告げる。


上手じょうずなもんでしょ?」


 先生は、定期的に通っているねこカフェにおいて、どうやら人の目を気にして態度を改めたようであった。


 佐久間さくま先生せんせいは、その赤茶色あかちゃいろめられたながかみりょうサイドでくるくるしたふたつのたてロールをらしもせず、背筋せすじばして優雅ゆうが抹茶まっちゃラテをむ。


――本当に、何もしゃべらずにだまっていたらお嬢様じょうさまっぽいんだけど。

 

――中身なかみ残念ざんねんすぎるんだよな。


 俺がそんなことを思っていると、隣に座っている佐久間さくま先生が俺の方に向いて口を開く。


「ここのねこカフェはね、ちょっと面白いサービスをしてるのよ」


 そんな佐久間さくま先生の言葉に、俺は返す。


「面白いサービス? どんなのですか?」


 すると、佐久間さくま先生がマグカップを机上きじょうに置き、自分のバッグから赤色のスマートフォンを取り出し操作をし始めた。


 しばらく操作してから、画面を俺に見せてくる。


 そのスマートフォンの画面には、クッションなどが置いてある部屋空間を下のアングルからのぞむような格好かっこうで、ねこたちが何匹も映っていた。


「これがどうかしたんですか?」


 俺の疑問に、先生がこたえる。


「あら、わからない? よく見てみて」


 先生はそう言うと、スマートフォンの画面を俺に向けたまま、反対の手を大きく上げてかるる。


 すると、画面がめんの中にあるねこが何匹もいる部屋の向こう側にある大きなガラス窓の向こうで、同じように誰かが手を上げて振っている様子が一拍いっぱく遅れてうつされた。


 そのことに気付いた俺は、先生にたずねる。


「あっ……これってもしかして……ここのねこカフェを中継ちゅうけいしているんですか?」


 すると、手を下ろした先生が笑顔になってげる。


「そうよ、面白おもしろいでしょ? ここのねこカフェのプレミアム会員になっておけばね、いつでもどこでもスマートフォンでここのねこちゃんたちの様子ようすたりごえいたりできるのよ」


 そこまで聞いた俺は、頭の中で考える。


――ここなら、美登里みどりよろこんでてくれるかもしれない。


 俺が佐久間さくま先生のさそいに乗ったのは、ねこカフェが美登里みどりが外出するきっかけにならないかと考えたからであった。


 佐久間さくま先生は言葉を続ける。


「先生も、本当は部屋へやねこちゃんをいたいんだけど……ほら、最近さいきんねこアレルギーの生徒せいとおおいじゃない? だから、せめてこうやって週一しゅういちねこちゃんにいにこころいやしているのよ」


「先生も、先生なりに生徒のことを考えてるんですね」


 俺が感心して返すと、先生が表情をゆるめてこたえる。


「そりゃそーよ、こう見えてもいちおー教育者なんだから」


 そんなことを言ってから先生は、再び抹茶ラテを口にふくむ。


 そんな様子を見ながら俺は、心の中に安心感が生まれる。


――先生も、なんだかんだで先生なんだな。


 そう思った俺は、自分が今直面している考え事を先生に尋ねようと決心する。


「先生、実は生徒として先生にちょっと相談があるんですが……」


 すると、マグカップから口を離した先生が応える。


「なにかしら?」


 そして、俺は先生に相談をもちかけた。


 子供のころからの親友である可憐かれんに誕生日プレゼントを買うために、どこかでアルバイトをしようかと考えていること。


 しかし、俺が億万長者であることが日本全国に放送ほうそうされらされている以上、そう簡単かんたんやとってくれるところなんかないだろうということ。


 それに、住所じゅうしょ顔写真かおじゃしん履歴書りれきしょせるのは色々とリスクがあるだろうということ。


 俺の相談をそのみみいた先生は、マグカップに入っていた抹茶まっちゃラテをすと、俺の方を見ずに正面しょうめんまど向こうで猫たちがくつろいでる様子ようす視線しせんけたまま口を開く。


「不安なのね。たちばなくんは」


 その大人っぽい先生の言葉に、俺は返す。


「ええ、そうですね」


 すると、先生はそのくるくるしたたてロール髪を揺らして隣にいる俺の方に目線めせんを移し、教育者きょういくしゃらしく俺の目を見据みすえてしっかりとした口調くちょうつたえる。


「これからの人生、長く生きていれば色々いろいろ人生じんせいかれみちがあるでしょうけど、どんなことだってどんなときだって、さき最終的さいしゅうてきめるのはたちばなくんよ」

 

 俺は、その先生の進言に口ごもる。


――どんなことだって、最終的に決めるのは俺自身か。


――だけど、いまいち勇気がな――


――本当にヘタレだよな、俺――


 そして、先生は俺の本心を見抜いたかのようにその言葉にかさねてさとす。


「でも、もしたちばなくんが本当に大切に思うことのためだったら、ためらわずにやっちゃいなさい」


「……やったほうが、いいんですかね。やっぱり」


 俺がどことなく気弱きよわかえすと、先生が堂々どうどうとした態度たいどべる。


「そりゃそうよ。なんせ人生のありとあらゆるチャンスは、どんなことだってなんだって、例外れいがいなくたったの一度いちどきりなんだから」


 そう毅然きぜんとして伝えた先生の顔は、いつもの残念なアラサー干物ひもの女性じょせいかおではなく、確かに若者をおしみちび教育者きょういくしゃかおであった。


 そんな、いかにも教師らしい先生の言葉により、俺の心の中で何かが切り替わったような気がした。


――そうだよな。


――せっかくの、再会さいかいできた親友しんゆうへのはじめての誕生日たんじょうびプレゼントだ。


――大切たいせつなもののためだったら、とりあえずやってみるか。


――はたらかせてくれる場所ばしょなんて、色々と考えてみたらいいだけだもんな。


 そこまで考えた俺は、あのぶっきらぼうだが情に厚いヤンキー少女、前田まえだ百合ゆりさんにしめされた通りにはらめることにした。


 それは、生徒せいとはなしみみはたら女性じょせいいやすための、ねこたちがまどろむ場所ばしょでの、とある休日きゅうじつでの出来事であった。



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