第38節 太陽のめざめ
悪友三人組が俺の家に来た翌日のこと。
月曜日の夕方、高校から帰ってきて私服に着替えた俺はスマートフォンを片手に、豪邸があるタワーマンション近くの駅前商店街近辺の大通りを歩いていた。
昨日の昼、俺はパーティーの手伝いを頼むために、家にやって来てくれた三人のためにスマートフォンで L サイズのピザを注文した。
そして、二枚のピザは
数年前に
つまり、高層タワーマンションや大規模マンションなどでは、
と、いうわけで、5キログラムくらいまでの荷物なら、わざわざ下の宅配ボックスまで行かなくてもいい
バルコニーに舞い降りた空飛ぶドローンによる宅配の現場を実際に目の前で見て、三人ともいたくはしゃいでいた。まあ男の子なんで
そんな昨日のことを思い出しながら、俺の足取りは
そこで俺は人の
――あれ? なんか子供が多くないか?
見るからに小学校就学前のずいぶんと幼い子供が多く、親らしきスーツ姿の大人と一緒に手を繋いで歩いていた。
――もしかして、幼稚園か保育園が近くにあるのか?
アーケード街に入った俺は、スマートフォンのアプリを開いてライン内容、
昨日の日曜日の午後、妹の誕生日パーティーを火曜日に開くので、当日に
なんでも
――あいつが
そんなことを考えながら、スマートフォンに表示された食材の文字列とその数量を眺める。
――共用パーティールームにはキッチンもあって、食器や調理器具とかもレンタルできるらしいけど。
――本当に、こんな量の食材使って料理作れんのか?
そんな感じでアーケード商店街にて俺は、目的の食材を売っている店を探す。
――
――肉屋や八百屋もあるはずだ。
しかし、そんなものはどこにも見当たらない。
しばらく複数のアーケード街をうろうろと探し回ったが、あるのは、靴屋、居酒屋、外食店、外食店、薬屋、外食店、服屋、居酒屋――
そして、この前知ったケーキとパンを扱っている喫茶店つきの洋菓子店。
この商店街にあるはずの、食材を扱っている専門店を見つけられなくて戸惑っていると、洋菓子店の近くにあるアルミサッシのドアがガチャリと開く。
「あれっ!??
色を抜いたかのような明るい外ハネシャギーショートの髪にヘアピンをいくつも取り付けている、元気いっぱいのスポーツ少女、
その太陽のように明るい少女は、予期してなかったのであろう俺の顔を見て、アーモンドのような形の良い目を見開いている。
「……とりあえずその言葉だけは、全力で否定させてもらおうか」
俺は口元をピクピクさせながら、どこか引きつった顔で返すことしかできなかった。
たまたま出会った
俺が「この駅前に商店街があって、そこで食材を買ってるって
そう、駅の
地下一階の生鮮食料品などが売られているショッピングブースの入り口近くには、こんなポップが天井からぶら下がって掲げられていた。
『ようこそ、とごう
――
そんな感じで、かつて不幸だった少女のことを思い返しながら二段のカゴを乗せたカートを押し歩いていると、隣を歩いている
「それでさー、
俺は乾いた笑い顔を見せながら返す。
「あーははは、まあね。色々あってね」
「ロシアンマフィアに追われてる
――
「いや、そんなことはないけど……まあ、
「ふーん? でもさー、
「ほら、
「
すると
「そーそー!! この
その
「あー……そうなんだ、
「そーだよっ、そーだよっ!! 中学三年生初めの
ちなみに
なお俺は、
そんな、髪を染めたくないがために成績を急上昇させたという
「へー、そりゃーすごいな」
「ま、高校入ってからはけっこうサボっちゃって赤点ギリギリなんだけどっ!!」
そんな、高校生らしいやり取りを
「
俺の言葉に、
「あははーっ!! 別にいいよ!! どーせ今の季節は部活ないから
「あー、うん。俺も友達に指示されたものをカゴに入れてるだけなんだけどね。それにしても部活ってどこ?」
すると
「
――
――ああそうか、もう十一月の終わりだからな。
――以前どことなく日焼けしてたのは、まだ部活をしてた名残があったってことか。
「パパもママも、
そんな
四日前の祝日、俺は
急な注文なので心配だったが、
そして、
そんなこんなの、つい先日までの行動を思い返しながら、
レジカウンターにはレジ係の人にバーコードを読み取ってもらう有人レジカウンターと、自分の手で決済ができる無人レジカウンターの二種類があるのだが、有人レジカウンターには明らかに年配の方が多い。
高校生の俺は迷うことなく、無人レジカウンターの列に並ぶ。
有人レジカウンターは、たいていの人が現金で決済するだけあってわりと時間をくってしまうのである。
レジカウンターの列にて並んでいる最中で、隣にいる
「妹さんの誕生日って、どんな所でするのっ!!??」
俺は返す。
「ああ、マンションに共用パーティールームってのがあって、そこで妹の誕生日パーティーを開く予定なんだよ。キッチンだけじゃなくって映画なんかを見るためのシネマ設備とか、あと電子オルガンとかもあるんだって」
その俺の言葉に、
「だったらさー、オルガンで誕生日のための曲を演奏するとかいーんじゃないっ!!?」
「いや……オルガンを弾ける人は招待客の中には……」
リアル世界に友達のいない妹の誕生日パーティーの参加者としては、俺と姉ちゃん、いつもお世話をしてくれている
――
――
俺はそこで、確実にピアノが
腰元まで
――確か、音楽室で『シューベルトのアヴェ・マリア』を
そんな学校でのひとコマを思い出した俺は、
――
――女子では、
――だったら、彼女を妹の誕生日会に誘ってみるってのもアリかもしれない。
そんなことを考えつつレジに到達した俺は、色を抜いているかのような明るい
「明日学校で、ピアノが
すると、
「
俺は、カゴに積んだ
「え? なんで?」
「だって、
そんな
――うーん。
――そもそも
――隣のクラスだったから、今まで特に関わってもなかったし。
俺が答えを出せないままでいると、
「お願いっ!!
その言葉に
――ま、あの公園で事故を起こさせてしまったのをかばってもらった
――こうやって知り合ったのも、なにかの
――なにげない
「ああ、別にいいよ」
「ホントっ!? やったあっ!! 言ってみるもんだね!!」
そんな、俺のご
――
――むやみやたらに
――まあ、本当に
そんな
4桁の暗証番号をタッチパネルで入力し、デビットカードで支払いを完了させたので、提示された金額が銀行口座から引き落とされるはずである。
軽く数万円ほどが引き落とされるはずだが、それは別にかまわない。
それよりも明日の火曜日はいよいよ、
さてさて、
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