第37節 マイノリティ・リポート
俺が
その懐かしい顔ぶれとはもちろん、俺の
そしてもちろん、姉ちゃんとも
とは言っても、あのころは
そんなことを考えながら、俺は高層タワーマンションの上昇する高速エレベーターに乗っていた。
しかし――
いつものように、一人ではない――
「いやー! ほんっとすっげーよなー! コンシェルジュさんなんて初めて
と、
「プールにジムもあるのであろう!? ムチムチのお姉さんやナイスバディな人妻なぞもじっくりと
と、
「コンビニもあるんだよね? レストランとかはないの?」
と、
この上昇中のエレベーターには、俺だけではなくて私服姿の悪友三人も一緒に乗っている。
俺は、
ちなみに
俺は
「あーっとな。下の方の階は商業施設だから、レストランとかも確かあったと思う」
そんなやり取りを交わしていると、エレベーターがチーンと音を立てて、四十階以上の自宅がある階に到着したことを知らせてくれる。
そして四人してぞろぞろとエレベーターを出て、ひとつだけあるドア近くにある指紋検知器にて、俺は
ピッという音と共に
ロングスカートメイド服を着た
「
その
「どーもどーも、お久しぶりです! お
そして、俺たち全員がきっちり
「では、わたしは
「ああはい、お願いします」
俺はそう言って軽く
広い廊下を悪友三人組と一緒に抜けている最中で、
「いやー、こーれぞまさに本物のメイドさんだよなー!
「いいや、ありゃ妹の
俺がそう返すと、
「
「あー、まーな。かなり……ってゆーかガチのオタクだ。最初は
すると、
「
俺が
「セクハラになんねーよーに、いろいろ
俺がそう返すと、
「しかし、あの
「
「限りなく A に近いがギリ B だな。
小声だが即答だった。
――
そんなことを心の
すると悪友三人組が、新しい遊園地に連れてこられた子供のような三者三様な歓声を上げる。
「すっげー!
「おお、部屋の中に二階まであるのか! マンションとはいえ一戸建てと変わらぬではないか!」
「うわー! こんな豪華なキッチン、見たことないよ! 冷蔵庫大きいねー!!」
そしてバルコニーに出てから、人が落ちないように高くまで設置されている色のついた透明な強化ガラスを通して、遥か向こうまでを見渡してから振り返り、嬉しそうに叫ぶ。
「
そんな離れたバルコニーからの
「いや、
すると、
「なんだ
――あー、やっぱそれ叫んじゃうんだな。
そんなことを考えながら、窓の外のバルコニーではしゃいでる
振り返ると、当然そこには三つ編みお下げを垂らしているメイド服姿の
そこにいたのは、茶髪ショートカットの髪型で筋肉質なムキムキの体をしている、体育会系女子である俺の姉ちゃんであった。
しかも、もうそろそろ冬だというのに大きく胸を膨らませた短めのタンクトップに運動用のショートパンツという、
体がなんとなく汗っぽい水滴で濡れているのは、いつもの休日の午前中のように、このビルにあるジムでトレーニングをしてきたからなのであろう。
姉ちゃんがあっけらかんと口を開く。
「あー、
俺は隣にいる
「ああ、姉ちゃんに紹介するよ。こいつは
「初めまして、よろしくお願いします」
「んー、よろしくねー」
姉ちゃんが、いつものように脳天気な明るい笑顔を見せる。
そして、あと二人――
俺がバルコニーにいる
――ん?
俺が一瞬だけ戸惑って再び姉ちゃんの方を向くと、素早く忍者のように近づいていたヒョロ長ノッポの
「初めまして、美しいお姉さん。当方、
――おいおい。
姉ちゃんは、俺からは下心が見え見えの
「そっかー、いつも
「いえいえ、また用事があれば、いつでもお呼びください」
そんな
「で、そっちのカワイイ子はー?」
「ありがとーございます!
「そっかー、じゃーあたしはこれからシャワー浴びてくるからさー、ゆっくりしていってねー」
「友達来てるんだから、そこ考えろよ」
俺がそう返すと、姉ちゃんは「はいはーい、わーってるってー」と言いながら後ろ手を振って、リビングから出て行ってしまった。
そして、
「いまの人が
俺は、息を大きく吐き出しながら応える。
「まーな、だらしねーとこ見せてすまねーな」
すると、
「何をいうか
「呼ぶかっつーの。ってゆーか、姉ちゃん気に入ったのか?
俺が呆れた感じでそう返すと、
「そうだな、あの…… F カップ、おそらくは93の F だろうが、あんなセックスィーなお
――おいおい、こいつガチだ。
――姉ちゃんのカップサイズどころか、バストサイズまで当ててきやがった。
「でもよー、
「だぁーれがエロゲー主人公だ、誰が」
俺がその
「
「あやつはまだ、自分の置かれた立場がいかに
「
そんなことを言って不満を隠そうともしない三人の背中に、俺は焦って返す。
「だー! わかったわかった! 俺が悪かった! とりあえずピザ
すると、三人がそれぞれの
――まったく。
――本当に、
俺は、一週間前に再会したあの
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