第35節 パルプ・フィクション
そして翌日の日曜日の昼過ぎ、俺は
俺は濃い色のデニムジーンズを
目的地はもちろん、声優握手券の当たるコミック CD が売っているであろう、
愛用していた東京駅百周年記念の
しかし、それだけでは心もとないので、あらかじめ駅近くにあったATMにて五万円の現金を引き落とし、しっかりと財布の中に入れておいた。
電車に乗って出入り口
――なんか、以前とはずいぶんと、見え方が違うな。
俺が金持ちでもなんでもなかった、そこらへんにいる
先月に、
――おそらくは、
――それでも
――
――この
おおよそ
それは、
――
そして、それらの
そして、それと
――俺も。
――俺も、宝くじが当たらなければ。
――
今の俺は、たまたま超ラッキーによって三百億円以上の大金を持っている高校生になっているが、それはあくまで
――俺は。
――この
――いったいどう
俺の答えの出せそうにないこの
俺は、
日曜日での都会の街にある大型書店だけあって、書店のフロアには
かつて、大型書店や小型書店は
その理由も、いくつかある。
まず、
例えば
そして、スマートフォンでの
その他にも、本を読みながらゆったりと
そんなことを考えながら、漫画コミック類が売ってある二階にエスカレーターで上がろうとすると、近くに実用書フェアという名目で、様々な本がいくつも平積みされている棚が目に入った。
どんな本が売られているのか少しだけ気になった俺は、そのフェアが行われている本棚に近寄る。
そこには、
つまり、お金に関する
するとスマートフォンの画面には、レンズを通して
『ウォール街でのランダム・ウォーカー』
――ランダム・ウォーカー?
――つまり、『
リストの
一番上の右端にある本だということを
その本は、どうやら
パラパラと紙をめくってみた俺は、学校の
――ずいぶんと、
――もっと、
そう考えつつ
しかし、最初の
そして、妹の誕生日プレゼントのために、二階にあるコミック売り場に向かって歩き出す。
――ま、今日はいいか。
――先に、妹への誕生日プレゼントを買わないとな。
俺は大型書店のエスカレーターで上昇しながら、妹に頼まれたコミックCDのタイトルが書かれたメモ書きを見ていた。
その大型書店の二階にて、妹に頼まれたコミック CD を探したのだが、どうしても見つけられなかった俺は店員さんにその CD の所在を尋ねることになった。
どうやら、かなりの人気作品らしくて、もうその大型書店では売り切れてしまったのだという。
と、いう訳で他店の
あからさまに、
――これが
――いや、落ち着け、落ち着け。
――俺は妹のために、大切な妹の
――つまり、
全ては、あのわがままな妹のため。
そう考えないわけにはいかなかった。
そこは、
かつて俺は、妹にそう
大型書店で案内された同じ
『センス・オブ・ワンダーワールド ~破局後世界の魔法術士~』
聞いたことのないタイトルの
おそらくはマイナーな
そして、俺がこんな風に人のあまりこない階段の下で待機しているのには、立派な訳がある。
――間違って、
一般の少年・青年コミックの新刊が売っているフロアは二階、
つまり、
――そう、オタクでもなんでもない、一般の男子高校生である俺が。
――ちょっとばかり
そんなことを考えながら、階段を一歩一歩踏みしめ、登っていく。
そして、無事二階へと到着したところ、新刊漫画のコーナーへと
そこでしばらくうろうろとフロアを歩き回り、その
しかたなく店員さんに尋ねてみたところ、どうやら二階では紙でできた書籍しか扱っておらず、コミック CD などのオーディオプレミアムグッズはずっと上の七階で取り扱っていることがわかった。
五階分の階段を上がらなければならなかったが、エレベーターは使わないことにした。
十代の男子だったら、これくらいは大丈夫。
そう考えて階段に向かい、そして階を上がり、三階から四階へと昇る階段の踊り場を抜けたところで、俺はその
――ひらひらの、フリルがついたロングスカートの――
――白いゴシックロリータドレスに身を包んだボブカットヘアーの
それは、
まるで、ひと昔前のラブコメ主人公の、くだらない物語のプロローグのような――
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