第31節 時計じかけのオレンジ
幸いなことに、翌日の土曜日にはさいたま市の上空にはよく
そんな
しかし俺は、自分自身の
――このままでは、今はほっそりしている
俺が、こんな風にわざわざ少し離れた公園まで来ているのは、
なお、この公園は以前に
公園を反時計回りに回りながら登っていくウォーキングコースのゆるやかな坂道を上がって高台に到着した俺は、色々と物思いに
――それにしても
この公園の高台を渦巻きのように登るウォーキングコースにはサイクリングコースも並走してあり、坂道を登っている最中に、ロードバイクに乗った少年少女を何人も見かけることができた。
俺はさいたま市全域を
そして暗証番号を入力してロックを解除してから、スマートフォンに組み込まれているヴァーチャルアシスタントに質問する。
「
すると
『ハイ、 ”さいたま
――
――って、もしかして。
思うところがあった俺は、スマートフォンを口に近づけて再びヴァーチャルアシスタントに尋ねる。
「
するとまた
『ハイ、次のページを参照してください』
すると、どこかのウェブページへのリンクが現れたので、俺はスマホ上に表示されたそのリンク先をタップする。
スマートフォン上に流したウェブページの上には、こんな文章が内容として書かれていた。
『……
――やっぱり。
そこで俺は再び、この高台から一望することができる、さいたま市の全域を
――ここはあいつにとって、
――あいつ、
そんなことを
――
――そういえば一学期とかに、俺は
俺は立ち尽くしたまま、半年近く前のまだ
◇
掃除当番だった俺と悪友三人組は、モップを使って
カードを数枚持ったままの俺は、目の前にいる悪友三人に対して
「そーいやさー、まーた、
すると、左に座っている
「またか? そりゃおめー、多分
「なわけねーだろ。ありゃー、ぜってーゴミとか
俺がそう言って
「ふぅむ、あーいうギャルというのは、性にだらしなくても意外と正義感が強かったりするからな。おおかた、貴様が
「だから、もう後を追っかけまわすのはやめたろ? いつまでも言うなよ」
俺がそう応えると、右に座っている
「でもさー、
すると、
「
そして、
「やっぱ
「うーむ、
俺は
「ってことは、
すると、
「はっ! 違うのだよそーいうのとはな!
その言葉に、俺が返す。
「
すると、
「そうだな、
――あー、やっぱその方向性か。
俺がそんな感じで心の中で呆れていると、左に座っている
「よし! ウノ! でもさー、
俺が
「具体的にはどんな感じの女の子?」
「そーだなー、ピュアで
――あれ、いつのまにか男子高校生の恋バナになってる。
そして
「
すると、
「そーそー! まさにそんな感じ! で、
すると、
「
すると
「うーんと、
「いっぱい食べる女だとぉ!? つまりデブってことかぁ?」
「そりゃ、
すると、
「
そして
「あ、でも性格だったらもうひとつタイプがあるね。あんまり人前に出るのが好きじゃない女の人がいい」
すると、
「つーと、目立ちたがり屋は
「そうだね。こう、ひっそりとした所で目立たずに生きている女の人って、
――人の好みは、
俺がそんなことを思っていると、悪友三人組の視線が全て、こっちの方を向いていることに気付いた。
「へ?」
間抜けな声を出してしまった俺に、真正面から
「で、貴様はどうなのだ
左隣から
「好みのタイプ言ってねーの、おめーだけだぞ」
右手の方から
「一人だけ言わないのは、公平じゃないよね」
そんな悪友三人組の詰め寄り気味だった呼びかけに、俺は
手元には、色も数字も同じカードが二枚あり、その数字は一番上の
俺は、ごまかすように手元にあるカードを二枚とも場に捨てる。
「はい! あーがり! 二枚
すると、悪友三人が三人とも俺に人差し指を突き付ける。
「「「はい、ダウトー!」」」
――あ、ウノって言ってなかった。
自分の失敗に気付いた俺は、口をあんぐりと開ける。
で、結局その
◇
そんな半年近く前のか細い記憶を
――あれ? 確か俺も、好みのタイプを悪友三人に話したはずだけど。
――俺は、好みのタイプを何て言ったっけか?
そんな、あまり遠くない日常を思い返していた俺は、石の階段を下りながら
ざりっとした、石の感触であった。
俺が視線をすぐ左横に移すと、そこには相当昔に組まれたのであろう、巨石がいくつも積み重なった、階段を形作るために切り取られた石垣の様子が目に入った。
――あー、やっぱりここ、
――それも、
そんなことを考えつつ、俺は石階段の反対側、向かって右の方に目を移す。
石階段の反対側の壁も、やはり石垣が切り取られたような感じになっていた。
――ずーっと向こうまで、続いてんのかな?
そんなことを思いながら、俺は向かって右の少し離れたところにある石垣の跡を見ながら、急勾配の石段を最後まで
しかし、それがいけなかった。
俺は完全に左の方向確認を
「どいてどいてー!!!!」
大きなかん高い声が耳の後ろから聞こえてきた。
俺が振り向くと、流線型のヘルメットを
――ロードバイクだっ!!
俺は、立ち尽くす。
それは一秒かそこらの、ひと呼吸をする
――ぶつかる!!
動くこともできず
その少女は、色を抜いているかのような明るい髪色をした、外ハネシャギーショートの髪にいくつもヘアピンを付けていて、どこかで見たことのある元気そうな少女であった。
――あ、俺死んだ。
――やっぱ、超ラッキーの
俺はそんな
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