第23節 トータル・リコール
しかし小学五年生の冬に、お別れの言葉も言えずにレンと二度と会えないことになってしまった結果、
そして
でも、
ただし、
でも
レンに何も言えず別れることになってしまった結果、
だから、俺の好意に応えることは、レンを裏切るような気がしてしまったらしい。
そして
いくら俺が
大好きだったレンに、自分の想いを伝えることができなかった自分に、
だから
しかし俺は、高校に入学する前日に
でも、ずっと友達でいたかったから――
レンへの想いを裏切りたくなかったから――
そして何より、自分にこれっぽっちも自信がなかったから――
『無視』を選んで、何もなかったことにすれば、ずっと友達でいられると思った。
それが
しかし、俺が予想以上に
告白をなかったことにしたかった
そしてその内、やっと友達になれそうだったクラスメイトに『ストーカー』の被害にあっていると勘違いされ――
勇気もなく臆病で弱虫で自信がなくて自分が大嫌いだったから――
自分が動くと、何もかもが悪い結果になると
ますます何もすることができなくなって、俺の顔をまともに見ることもできずに、ずっとずっと
ラインも別にブロックしてたわけではなくて、ただ単に俺とのトーク画面を開くのが怖くてできなかっただけらしい。
そこまで聞いた俺は、頭の中で理解する。
――結局、誰のせいでもなくて。
――同時に、誰のせいでもある。
まだ涙声のままで
「ひっ。
――そうか。
――お金は、全てを解決してくれる訳じゃない。
――お金があることで生まれる苦しみってのも、確かにあるんだ。
そんなことを思った俺は、
「別にいいよ、
俺がそこまで言うと、
「クラスの
そんな
「ひっぐ、ひっぐ。ありがとう、ありがとう、
すると、暗がりの中からどこからともなく現れた、赤っぽいシャギーの髪を後ろで縛ったセキュリティーサービスのモデル体型黒服女性である
「お
暗がりなのにサングラスをかけていた
「ああ、アリガト。ヒカルっち」
その言葉を受け取った
そして、ハンカチを
「メグ、今はいくらでも泣いていいよ。
その言葉に、
そして
「……うん、
その
そして、立ち上がって
「うん、よく言えたね。
その
その姿はまるで、巣から
そんな姿を見て心の底から感心した俺は、
「それにしてもハナさん、本当に面倒見いいよな」
すると、
「そー? わりとフツーじゃない?」
俺は感謝の念をもって言葉を渡す。
「いや、すごいよ。大人になったら事業をしなきゃいけないって言ってたけど、きっと立派な経営者になれるよ。ただのクラスメイトである俺たちに、こんなに良くしてくれるなんて」
その言葉に、
そして、俺たちに伝える。
「……え? もしかしてだけど、アンタたち
その
「……何がだ?」
手を離された
「……何が?」
その言葉に、
「……っぷ。あははは……あははははは!! ナーニ? もしかして
暗がりの公園で心底おかしそうに笑う、上半身にスポーティーウェアを着て短いスカートの下にスパッツを
そして、笑いすぎて若干目に涙をためていた
「ノブルっちー、パスお願い」
「
その声は、あの
それと同時に、暗闇から
「よっと」
そのサッカーボールをその大きな胸でトラップして受け止めてから、両手で掴んだ
「じゃ、今から
一回。
二回。
三回。
足でポンポンと蹴られたサッカーボールは、地面に落ちていかない。
それは、華麗なまでのリフティングであった。
「よっ、よっ、よっ、よっと。へへっ、
俺も、おそらくは
「よっと」
十回以上リフティングを繰り返したところで
そして微笑んで俺たちに喋りかける。
「どう? これで思い出した?」
俺の
――同じクラスの
――
そして、この公園で俺がその男友達に名前を尋ねて、返してきた最初の言葉。
――そーいやさー、おまえ、
――オレか!? レンだ!!
その受け答えを思い出した俺は、そのヘタレな
「……れ、レン? レンなのか!?」
その
少し涙目になっている
「ヨーヤク
その目に
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