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彼は明らかにやせ細り、今にも壊れそうな色香を発していた。
しかし本人は気がつかない。通りで珍しいものでも見るように、人が集まってきていたのにも、ぼんやりとしていた。
「おねーちゃん、これ、あげる」
いつのまにか近づいてきた幼女が言った。
ちいさなてのひらに、緑色のゼリー状のものが乗っていた。それをよこすという。
(おね……いや、それはそれで正しい認識力だが)
リオンはよく見渡してみたが、幼女の瞳はどうも自分を見つめている。後ずさりながらも、おそるおそる緑色の物体をつまんでみると、丸い目を見開いて幼女は嬉しそうにした。
リオンは無理して微笑む。気の遠くなるような精神力と忍耐が必要なものだと思った。
「ア……ありが」
言いかけて言葉をのみこむ。なんといっても変声期は過ぎている。だが幼女は心配そうに見上げてきたのだ。
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