⦿


 リオンははなはだ疑問だった。


 打ち身、傷痕はほとんどふさがった。


 だというのに、この体たらく。


 そういえば昔、特にやんちゃと言われる時期に、よく少女と間違われたものだ。


 なぜか? そんなことは知らない。


 浅黒く肌は焼け、腕も手も足まで棒のようだったというのに、なぜなのか?


 おまけに髪は短かったし、男も女もないという幼いころ。なぜ彼がその後にわたってたびたび女性と間違われてきたのかが、本人にもわかってないのだ。


 ただ一度だけ、親切に教えてくれた人があった。


『目よ』


 その女性は言った。


『目が惹きつけるもの。そんな男の子っていないわ、普通はね。そしてもっと無作法』


 自分は女性的な目をしているというのか? そんなものがあるとすればだが、それとも母に似た目の色がそうなのか。それ以外でいうなら、女性的な目つきをしているとでも?


 今一番見たくないもの、それは自分の姿だ。幸運なのは目覚める前まで。あわれなことだった。

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