第4話ガード下の殺人

 ウォンウォンとサイレンが鳴り響いている。今夜は月が光々と照っていた。佐々木警部はパトカーで現場へと駆け着けた。

「やはり例の連続殺人事件と同一犯ですね」

被害者を調べている検死官の許から谷口が走り寄ってきた。

「そうか」

被害者は二十歳前後の青年三人だった。場所はガードの下で、午前零時頃の犯行と思われる。三人はそれぞれ凶器を持っていたらしく、近くには曲がったナイフやバラバラになったチェーンが散らばっていた。被害者は皆右手を蹴られた形跡があり、やはり致命傷は首の骨の骨折だった。

「それにしても…」

「何ですか?」

「いくら世間知らずでいきがってるガキどもだったとしても、連続事件がこの辺りで起こっているというのに」

「ああ、そうですね。強そうな奴がいたらまっしぐらに逃げますよね」

佐々木と谷口は被害者が担架に乗せられていくのを眺めながら首を捻った。

「つまり、いかにも弱そうな、いや、少しいきがってて、チンピラや不良が絡みたくなるような奴…」

「子供とか?」

佐々木ははっと顔を上げた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る