幕間【誕生と発見】
6章 幕間【誕生と発見】
誕生編
◆◆◆
1日目は試合、2日目は
パンパン!
と
「ゆうーまくーん!誕生日おめでとー!」
「・・・ぁ?(
「おいおい
目の前には今さっき中身を
そしてそれを持っているのは俺の
そう、今日は俺の誕生日。
夏も終わり、秋がきはじめている月の初め
「あー・・・ありがと」
「
ロキの言うとおり俺はすっかりと今日が何の日だったのかを忘れていた。
「まあ最近バタバタしてたししょうがないと言えばしょうがないわね。私からもおめでとう」
パン!
一つ
最近は事あるごとにありすと行動を共にすることが多い。
それでも心配の種であることには違いない。
「オーディン!おめでと!早く食べようぜ!」
そうはやし立てるのはロキの眷属のフェンリルこと
今回の大会でロキのパートナーとして一緒に戦うはずの
フェンリルは魔術研究会の真ん中にずらりと
そういえばなんとなく魔術研究会が広く感じるのはパーティー用に神の力で広く
「もうオーディン来たんだし食べてもよくね?いっただっきまーす」
「あ!
俺の事なんて興味なさげに料理をつまみ食いしたのはロキの眷属のヨルムンガンドこと那覇。
那覇はどことなくロキに
「こら!葉月!那覇!お
ちなみに椿さんだけ俺達と同学年の二年生で、他のロキ
「いつも騒がしいな、あいつらは。まあ悠真、お前が主役なんだ、とりあえず席つけよ」
「お、おう、ありがとな君丈。・・・って試合とか見に行かなくていいのか?」
「いいんだよ。どうせ今日の試合で勝ちあがったやつはヘルメスに負けるんだから。それともこの俺様が一緒に
「そういうわけじゃないけどよ・・・」
「悠真くーん?1年に1度何だよー?今日くらい神の事とか忘れて楽しもーよー!って事でこれプレゼントね」
「ありがと。これはお守りか?見たことない神社のだな」
縷々から渡された小さな布にはくくりつけられる
まさか手作りのお守りなのか?
「それはそーだよー私とフレイヤで作ったとてもとてもご
「さすがは文芸部時期部長だな。ま、縷々は神様じゃないけど」
「むー!いいのー!私はフレイヤの眷属なんだから神様みたいなもの!それと今日は神様の話し禁止ー!」
言い出したのは縷々の方ではないだろうか。
と、縷々をからかっていると君丈も袋をよこしてきた。
「俺からはこれな」
「おう、ありがと。・・・お、これ新作のゲームじゃん!」
「前からやりたがってたけど買う時間なさそうだったからな」
「ありがと!君丈!」
「・・・なんか私のと
「あ、いや、縷々とフレイヤのお守りもすごく嬉しいぞ?」
「ふーん」
縷々が少しむくれてしまった。
お守りは本当に嬉しいが、ずっと買いたかったゲームの喜びには少し勝てなかったのは事実だ。
「悠真、私からはこれ」
「ありがとな、ありす。・・・
「聞いたのが急だったからそんなものしか用意できなかったけど。よかったら使って」
ありすがずっとふさいでいたのは皆ももちろん知っていた。
きっと今日の事を言うタイミングもなかったのだろう。
そんな中きっとありすは
ありすが街をうんうん唸りながら歩く姿が目に
「・・・」
「
「
「俺様からは
「あー、なんか俺の声じゃない声が聞こえたと言うか・・・」
「そうだろうな。あれは本来のオーディンとしての力を使うためのチップだ。声がしたと言うなら
「そういうもんなのか」
「それとこれはヘルメス達からだ。天界の用事でいけなくてすいません、だとさ」
俺は君丈からヘルメスのプレゼントをもらうと、それは一冊の本のような物だった。
というか
表紙には
中を軽く見てみると
「さ、皆のプレゼントも渡したし、食べますか!
「誕生日って大食いしなきゃいけない日だったか?」
「今日からそういう風に
「さらっとばればれの
君丈の
どれも美味しそうで、実際口に運んでみると今までに無いような美味しさが込み上げてくる。
いっそのこと
ロキの眷属の料理の腕に
誕生編 完
発見編
ロキの準決勝も終わり、残るは東西の決勝、そして真の決勝の3試合となっている。
俺とありすは決勝戦の前日が休息日となっている為、街に一緒に
「そういえばさ」
「ん?なによ」
「なんで神様って皆日本語話してるんだ?明らかに外国人だらけだよな?」
「あー、そっか、そういう基礎知識とか知らないわよね。神様は魔法で自動的に
「そういうことか。
「ちなみに
「やってみるって、ここでやっても日本人しかいないだろ」
「あれ、言わなかった?私日本の生まれじゃないんだけど」
「・・・あー」
それはヘルメス達から
確かにありすはどこかの小さな国の出身だと言っていた
だが、そこら辺の記憶はなかったこととして記憶に
気まずい気持ちになる俺だったが、ありすはもう気にしていないのか、それとも都合のいい所だけを忘れるようにしたのか、
「・・・じゃあ
「翻訳しない事を意識するだけよ。私は勝手にやるから
「意識ねぇ」
翻訳しない。
それだけを意識する。
「・・・こんなんで変わるのか?」
「uin arubn dnw ndi yhanwido?」
「・・・はい?」
「arubu rhbuhi。どう?私の
「・・・
「まあそうなるわよね。多分
「なんだそれ」
「この魔法って意味がちゃんと伝わるように翻訳されるんだけど、たとえばクレープと言う単語を覚えた時、私には母国語で聞こえてるんだとは思うけど、そもそも母国でのクレープの言い方なんて知らないのよ」
「ん?どういうことだ?」
「つまり、元の発音も言い方も知らないのに私はクレープと母国語で発音できてしまうの。でもそれって私は理解はしていても知ってるわけではないのよ。なんなら母国語で喋っているのかも
「なんか
「そもそも考える必要がないのよ」
「
・・・。
俺とありすはちなみにぼーっと街のベンチに座ってるだけである。
最初は前に食べたクレープをまた食べたいという所から始まったのだが、それ
ふと気になって周りを
するといつからそこにいたのか小さな女の子が俺の
「・・・どしたんだい?」
なんとなく声をかけてしまったが、女の子にとっては昼間っからベンチで
俺が数秒目を合わせていると、女の子が
「あそこに
「迷子?」
噴水の方を見てみると、確かに女の子と同い年くらいの男の子が見えた。
おそらく小学生くらいで、親と買い物に来てはぐれてしまったんだろう。
男の子は斜め上くらいに頭をあげて空を見ているようだ。
「あの子かい?・・・っていないし」
女の子は興味がなくなったのか親元に戻ったのかいつの間にか俺の前からは姿を消していた。
子供の気まぐれとは
「
「いや、女の子があそこに迷子がいるって」
「女の子?」
「女の子はどっか行っちゃたよ。それよりあの噴水のとこ」
「・・・確かに迷子に見えなくもないかも」
「俺ちょっと言ってくるわ」
「じゃあ私も行くわ。悠真だけだと泣かれた時絶対あたふたしそうだし」
そんなことは・・・あると思うけど・・・。
俺とありすが男の子の前に
まあ男の子だしさすがに女がいいか。
会話もありすに
「こんな所でどうしたのかな?迷子?」
男の子は再度俺の方を見て、ありすに
なぜ一回こっちを見た。
「・・・わかんない」
「そっか、わかんないか。君、名前は?」
「・・・ゆうき」
「そっかーゆうき君かー」
男の子は首を横に振る。
「ゆうきは上の名前。下の名前はそうた」
男の子はバックなどは持っておらず、代わりにタグのようなペンダントをありすに見せる。
そこには
「そうたくんねー。・・・そう・・・た?」
何か
きっとありすも何かを感じ取ったのだろう。
いや、原因はわかっている。
蒼太。
蒼という漢字だけが共通点のはずなのに。
それだけでも今の俺達には
立ち直ったと言ってもまだ1か月くらいしか
俺はありすが心配になり、ふとありすを見ると―
「お、おい、ありす、何も泣かなくても」
少し目に涙を浮かべるくらいはわかる。
それくらいは
だが、ありすの目にはとめどなく涙があふれ続けている。
また
「違う!違うの!悠真、気づかない?この子の名前」
「そうたの蒼って漢字だろ?それなら俺も―」
「違う!そこだけじゃないの!だってこの子の名前っ―」
ありすの話しをまとめるとこういう事だった。
ゆうき そうた
あおき ゆうと
2つの名前を前後2文字変えるとあまりにも似てい過ぎていると言うのだ。
【そう】(蒼)き 【ゆう】た
確かにそうは蒼という感じからも
下の名前も最後のた行までは一緒だ。
だがそんなのはよくある他人の
と、ありすに言っても聞く耳をもたず、俺達は蒼太君の親を探すついでに俺達の学校の
学校はかなり近い場所だったし、ロキならそういうのを
ありすには悪いが、ロキにはっきりといつもの
・・・と、思ったのだが。
「
「え」
「可能性はあると言ったんだ。この蒼太とか言うガキは前オーディンの生まれ変わりかもしれない」
「いやいや、そんな。ロキもたまには
「俺はそんなくだらない冗談はいわねぇ」
「いや、だってよ?生まれ変わりだとしたら蒼が生きてる間に生まれてることになるんだぞ?」
蒼太の年齢は
1か月どころか10歳くらい
そんな子供が蒼の生まれ変わりであるはずがないのだ。
そもそも蒼は完全に死んだと言ったのはロキではないか。
「
「その
「うわっ!」
ロキが喋っている最中に何もない空間からいきなりヘルメスが現れた。
さすがに
「昨日ぶりですねぇ」
「なんなんだよ急に」
「実はですねぇ、先ほど
「なんだその時空の歪みって」
「言葉の通り
タイムトラベラーはいいとしてもなんだよ、次元の破壊者って。
なんにせよ、この子は
「できるなら天界に連れて行きたいところなんですが・・・なにぶん子供ですし、
「ちょっと待て、話しを進めるなよ。
「あぁ、生まれ変わりかもしれないと言う話ですか?」
「そうだよ」
「そうですねぇ。さっきは登場に驚かせたくてそんな事言いましたけど、私もこれから調査するので
「おい・・・」
「ただ、そこのロキと意見は一緒です。生まれ変わりの可能性は
「は?今なんて言ったくそヘルメス」
「言葉づかいがなっていませんよ、ロキ。もう一度言いますねぇ。ここで―」
「やなこった」
聞こえてるじゃねぇか・・・。
それにしても生まれ変わりだなんて・・・。
そんなことあるのだろうか。
ありすはありすで
立ち直ったと思ったらまた
「ロキ、あなたお忘れではないですよねぇ?今世で
「わかったわかった。預かればいいんだな。ちっ。その
「それは今後の調査次第ですかねぇ」
「ちっ」
かくして、
ありすには可能性はあっても生き返ったわけではない事を
発見編 完
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます