五幕 【西・準決勝一回戦目「戦の神」】
◆◆◆
「
「あぁ、今回ばかしは
西一回戦を
相手の情報は試合を見ればわかる
だが相手の情報がわかった
さらに言えば俺達には特にだろう。
アレスは身長を2メートルは超えるだろうという高身長で、おそらくヘルメスよりも高いだろう。
だがその体はヘルメスよりも
それを
言うなれば
アレスの横にいるとさらに身長は小さく見える。
色はもちろんピンクで、それに合わせて服も着ているかと思えば、下はジーンズに上も二枚くらいの
季節感の
ある意味個性的だろう。
だがあのケープは
ヴァルハラの
あのフードについているウサギの耳は拳になるのだ。
加えて、二試合目を見る
言うなれば腕が二つさらについているようなものだ。
もちろん相手には遠距離の攻撃などなく、ならば距離を
「会いたかったぞ!オーディン!
「ちょっとアレス、さっきも言ったけどオーディン達は当たれば
「なに!そんなのは
「あぁー、もう、めんどくさい。ほんと
「いや、
どうやら
二回戦目も各個別々に戦っていた
「
「大丈夫そうだ。まずは
「
こうして俺達の第二試合が始まった。
6章 5幕【西・準決勝一回戦目「戦の神」】
「ゆくぞ!オーディン!」
「あぁーもうどうにでもなれ!」
アレスは一直線に俺を。
アレスの眷属、ミミと呼ばれた少女はそれを見てありすに
まずは
「ブルーランス!」
それ以外はアレスの
「そんなものは・・・きかーん!」
「な、なに!」
アレスに
だが、アレスはそれに
まさか
いや、体が神器級なら効き目が弱すぎるんだろう。
もはやブルーランスは死んだも
だがここまではほぼわかっていた。
ならば
「まずはー!一発!」
どでかい声で
アレスがいかに強大な相手でも、救われている事があった。
動きが
さらに言えばその拳を
もちろんアレスが自分の力の全てを
「見える!行くぞ、風力!」
俺は一発目を避け、風力で
ブルーランスならともかく、グングニルなら当てさえすればそれで終わりだ。
「おおっと!やるな、オーディンよ!
俺とアレスの
アレスの攻撃を避けるが、なにせ体もでかければ一撃も重い。
一発一発の拳には強力な風をまとっている程だ。
ダウンしないにしても一発でもかすらない方がいいだろう。
十分な
避けてしまえばアレスはまた一発撃ち込むだけ。
変わらない
ありすの方は大丈夫だろうか?
「はぁ!」
「ちょこまかちょこまかと!あんたうざい!」
うまくやっているようだ。
ありすのスピードに
あの耳は攻撃がおそらく
ありすの攻撃が当たるときには必ず耳を使って
おそらくそれ
さらに言えばあの耳にグングニルを当ててもフードつきのケープが使えなくなるだけ。
眷属の方もアレスには
「ありす!
「わかったわ!」
「「
俺の
こちらの
「アレス!絆力を使ってきた!全力で
「なはははははは!燃えてきた!」
「なに!」
アレスのスピードがあがる。
先ほどとは比べものにならない程に。
絆力を使えば俺も多少速さが
なのにむしろおされている。
「ありす、まずい、
「
引こうとする俺とありす。
だが、アレス達がそれを
「そんな
「逃がさないんだから!」
さらに攻撃の手は増える。
速さが増し、二本のグングニルでいなすだけで
このままではいずれ当たってしまう。
なんとしてでも―
「っ!まずい!」
「一発もらったぞ!」
ガチンという金属と金属がぶつかる音。
俺のグングニルをクロスさせてなんとかアレスの一撃を防いだ。
「
「大丈夫だ!」
大丈夫なわけがなかった。
アレスの力はさらに増していき、とどまる事を知らない。
このまま押し切られてしまえば地面にぶつかるまで飛ばされるのは見えている。
なればなんとしてもこの一撃を
言うなればこれはチャンスだ。
弾いてしまえばどうしても隙が生まれるだろう。
一瞬、一瞬でいいんだ。
その一瞬にグングニルを当てれば・・・勝てる!
「うおおおおおお!
俺はアレスの腕めがけて200のブルーランスを
この近距離だ、
俺の体の周りには多数の
そして俺の体からも直接放たれる青い
「いけえええええええ!」
「お?おお?なんだか腕が
「アレス!今すぐ引いて!その攻撃を避けなさい!」
アレスの眷属の声が飛ぶ。
だが遅い。
俺はブルーランスに合わせて
こちらから加速をつければ腕一本くらいならなんとか弾き返せる!
「風力、全開!」
「おおお!まさに!これは!楽しいぞ!オーディン!お前の力を俺にもっと見せてくれ!」
「アレス!引きなさい!」
ついに弾かれる。
アレスの腕は後方に弾かれ、アレスは
「今だ!」
俺はグングニルを高速で
そして俺の二本のグングニルは見事にアレスの体に命中し―
キン。
「な・・・」
確かにアレスの体に命中した。
二本の槍は見事に
だが進まない。
グングニルはそれ以上進まない。
わずか一センチも食い込んだかどうかの所から。
アレスの体が金属でできているわけではない。
その体は小さな
その体を突き抜けるのためには
そう
そして同時に俺の体は止まってしまった。
これは
あらがいようもない相手を目の当たりにした時に感じる恐怖。
俺達では勝てない。
そんな
今までの敵とはまるで違いすぎる。
「「化け物・・・」」
言葉が重なって聞こえる。
発したのは俺ではない。
視界の
「おっとっと、いやはや、なかなかやるもんだなぁ。む?なんだか腹の方がかゆいが、なにかしたか?」
ほんとうに気づいていないのだ。
アレスは俺の全力で刺したのがグングニルだとは。
きっと蚊が刺した程度なのだろう。
グングニルには
だがその防御が神器で
この通り、刺さりもしないのだ。
おそらく中までは刺さっていればアレスを封じることはできた。
だが、それも
「さて、何かされる前にまずは一発だ!」
何か?何かとはなんだ。
これ以上の事を今の俺達に何かできるのだろうか。
全力だった。
これ以上ない全力だ。
「
「っ!」
ありすの言葉でぎりぎり現実に戻る。
俺を
「くっ、
「っ!わかった!」
おそらく俺の
だが、とりあえずは前進しなくてはならない。
そのためにはまず眷属だ。
「あ、こら、待ちなさい!」
全速力でこちらに向かってくるありす。
それを追っかけてくるアレスの眷属。
俺とアレスは最初と変わらない攻防を続けている。
わずか数秒でありすはこちらに
だがあくまで
ありすとのタイミングを
「今だ!」
「「
ありすは
そして俺とありすは全力の風力をアレスに
「お?」
「え?」
ありすを追っていたアレスの眷属は、アレスの手前で止まる。
だが、攻撃最中のアレスの
本来なら後ろにいる自分の眷属を攻撃するわけもないのだが、それを俺とありすの風力で
アレスは後ろを向き、そのまま拳を
当然眷属の方もそんなのは
最初の作戦通り、眷属をアレスの攻撃で
「っ!」
一つ目はアレスが自分の眷属に拳を当てた
何かが
一発くらいなら当たっても平気だと思っていたが、あれは当たるだけでも相当な物だろう。
「ん?なんだ?何が起こった。今目の前にミミがいた気がするが」
「そうだ。お前は自分の眷属に拳を当てたんだよ」
「なに?そんな事があるわけがない。なぁ、ミミ?・・・ミミ?」
返事はない。
アレスの眷属は地面でおそらく
だが問題はこれからだ。
アレスの眷属を封じたからと言っても俺とありすでどうにかできる相手ではない。
俺達にはあの体を
「ミミ!返事をしろ!ミミ!」
「
「うっさい!聞こえとるわボケナス!」
「おー!生きていたか!どこにいたんだ、こんな戦いの最中に」
「あぁ?生きていたかだと?てめえが吹き飛ばしたんだろうが。まんまと敵の
ゆっくりと上空に登ってくる眷属は、多少の
だが、フードの耳が少し
「・・・ありす」
「えぇ、打つ手なしね」
これ以上の作戦はない。
いや、むしろグングニルが効かないとわかった時点で他の作戦は全て意味を
俺達の最終目標はアレスにグングニルを当てる。
そのための作戦だ。
もうなにも手がない。
戦いようがない。
「ミミよ、なんだかボロボロになっていないか?」
「だーかーらー!てめえがやったんだよ!てめえが私を吹き飛ばしたの!少しくらい頭使えよこの筋肉ダルマ!」
「なに?俺がそんなことするわけがないだろう」
「したんだよ!したからこうなってんだよ!てめえ死にてえのか!」
「ぬ!なんだその言葉遣いは!俺は
「あぁ、いいよ、
なぜかアレス達は
「・・・ゆ、
「・・・わからん」
なにがなんだかわからんが、とりあえず見守る事にした。
いや、手出しをすることができないのだ。
それほどまでに二人の
見えないほどの拳の
拳と拳がぶつかり合い、片方がいなせば片方もいなす。
力は
「言葉を
「あぁん?それはこっちのセリフだ脳筋!私がいつもいつも作戦考えてもふいにしやがって!
「なんだと!もう一度言ってみろ!」
「何度でも言ってやらあ!クソ脳筋!クソ神!クソアレス!」
「いくらミミと言えど許さん!もう絶対に許さん!」
「それで
眷属だけがなぜか絆力を解放し、その身にオーラを
すると見た目でもわかるレベルで力が増し、アレスは押されていく。
「おおおお!またその力か!なぜミミ、お前だけがその力を!」
「知るか!お前に使える頭がないだけだろうが!」
「・・・ねぇ、なにこれ」
「・・・わからん」
眷属が
俺達は最初に眷属を倒す予定ではいたが、この光景を見るとその考えはいささか
それに加えてさっきまでの戦いで二人とも本気など欠片も出していなかったことがわかる。
それほどまでに
見続ける事数分、ついにその決着はついた。
「うおおおお!」
「クソクソクソクソクソクソクソクソクソ!クソアレスがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
先ほどの倍以上の
アレスが
そしてただ土煙が起こるだけでは済まされず、
さらにそれは数百、数千メートルに
これが本物の地球であったなら大きな国が一つか二つは
それくらいの強力な一撃。
「ふう。やっと死んだか。あー、すっきりした。・・・ってあれ、なんでこんなことになったんだっけ?」
プスッ。
という情けない音に聞こえるくらいの音。
「・・・あ、あれ?」
眷属のお腹には見事に一本の
もちろん刺したのは俺だ。
「・・・なんかすまん」
「・・・あ、そっか、これ・・・試合中・・・だ、・・・た」
そのままくてりと槍の上で力を
勝つにはこの一瞬しかなかった。
もしかしたらアレスのようにグングニルが通らないかもしれないとも思ったが、眷属の体は強化はされてもそれまでらしい。
決着がついてから数秒間で俺とありすは
どうしても勝ちたかったわけではない。
俺達も
よくわからない
よくわからないけど一応やっとかないといけないだろうか。
そんななぁなぁな感じで刺してみた。
きっと
俺達に残ったのは
『
すぐにファンファーレが
アレスもあの一撃でさすがに
俺とありすは
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