三幕 【西・四回戦目「軍神」】
大会四日目。
それは
つまるところ、トーナメント表で左下に
俺とありすはなんとか一回戦目を勝ち進み、その翌日には次の
三日目は観戦することはなかった
観戦席は
だが、
俺とアリスが
「それにしてもやっぱりすごいな」
「ん?何が?」
すでに観戦席に座っている俺とありす。
ありすは外の
というか焼きそばのような物を売っている売店の中で、普通の焼きそばが売っていたので、ありすは
そんな焼きそばを食べながらこちらに
「この、なんて言うのかわからないけど、モニター・・・になるのか?仮想結界を
「まあ
中央のバトルフィールドの上空。
そこには
それぞれの面にはそれぞれのアングルで映された結界内の
それがゆっくりと回転しながら浮いているのだから見た目の
ただ、一つ言うならば少し見づらい上に、ありすが言うように音声までは
おそらく
トーナメント表の名前をあえて最初は
きっと大会中の内容も全てを教えてはつまらないという所だろう。
「ま、そこの
いつのまにか
観戦席は基本的に自由に座る形で、ロキなんかは別の席に行くと思っていたのだが、二回戦の時も横の席で一緒に観戦したもんだ。
「そういやあの結界って誰が
「そんなものはあの
俺達の観戦席から反対側には特別な観戦席がある。
通常の観戦席からさらに上の方に、よくある
コロシアムが広い為にあまり席の中までは見えないが、真ん中には
おそらくあれがゼウスだろう。
全ての神の
あの
「そっか。そういやありがとな」
「あ?
「オーディンシステムだよ」
「はっ!言っただろう。あれは俺様の
「でも昨日・・・」
「んな事はどうでもいい。
ロキの言葉にモニターの方を見てみると、今まで『天界一武闘大会 西・四回戦』としか書かれていなかったモニターにいつのまにか
画面の中ではちょうどヘルメスたちが転送されてきた所で、おそらく反対側の面のモニターには敵の姿も見えているだろう。
「そういやヘルメスがちゃんと戦うのって初めて見るかも」
「まあそんな
「どういう事だ、ロキ」
「見てればわかる」
話してくれる
いや、
どちらにせよ
やはりロキはロキだなと思う
「うっはー!僕も早く戦いてー!なんで僕達一番最後なのかなー」
ロキの横ではフェンリルが
フェンリルは今すぐにでも戦いたいらしく、二回戦を観戦した時もずっとこんな感じだったのだ。
なんにせよ、俺達が次の試合で勝てればその次はヘルメス達と当たる
この試合で少しでも倒す可能性が見つかればいいのだが・・・。
6章 3幕【西・四回戦目「軍神」】
◆◆◆
「ほぉ、今回の場所は完全な森ですかぁ。まあでも空中戦になるでしょうし、あまり
「ヘルメス様、それを言うなら全て
「まあ私もゼウスの考えは読めない時はありますが、これはただの
「
でも最近は
そういう意味で言えば、やはり悠真君はこの時代の
まぁとりあえずは
「では千里、上空に行きましょうかねぇ」
「はい、ヘルメス様」
私と千里は上空にゆっくりとあがっていきました。
するとそこにはすでに対戦者の神がいたのです。
二人とも服は
だがしかし、時代が少し古めな気がしますねぇ。
一人は髪も
おそらくぼさぼさの方が神ですね。
「あなたは確か・・・テュールでしたかねぇ」
「いかにも私はテュールだ」
「落ちぶれているとは聞いていましたが・・・ひどい
「誰が落ちぶれているだと!私は落ちぶれてなんかいない!ふっ、なんでもヘルメス、貴殿は
噂と言うのも、テュールは最近になって昔の事をぐちぐちと言い始め、ロキに
「まぁそうですねぇ。私は現オーディンの世話をしているだけなので、正確にはロキと行動を共にしているわけではないのですが」
「そんな
「
「今更?今更だと?私がロキのせいで昔どんな
これは・・・
テュールと言えばかなり
「そうですねぇ、私が
「覚えているならわかるだろう!この
といっても何千年前何万年前の話しなのですが・・・。
昔の
「あなたには
「それはよいですが・・・一応テュールは元
「昔はそうだったかもしれません。ですがこの時代のテュールはあまり頭の言い方とも思えませんので」
「はっ!
ふむ。
確かに千里一人に任せても大丈夫かもしれませんねぇ。
何かあった時の為に魔法の
・・・まあ初戦ですし。
「わかりました。千里、やってみなさい」
「ありがとうございます」
「どこまでも馬鹿にしおって。ユアン、早々にけりをつけてヘルメスを狩るぞ」
「
眷属の方はユアンと言うのですか。
ずいぶんと
「
千里はいつものように部分兵装ですか。
まあ千里の兵装は
「行きます」
まずは千里の
千里は早いですから早々
「
テュールの
かなり使い勝手もいいですし、正直スピードだけでは
それをどうやって
「自由自在のの鞭・・・でもそれだけでは私は止まらない。
ブレイズシュート、
足に炎を
魔法には魔法。
グレイプニルに
「
テュールとユアンの鞭の
ですが攻撃の
さすがに鞭の量が多いですか。
ユアンは一つ、テュールは五本は出してますし、
千里は眷属としてのスピードはヴァルキュリアの
なので万一にも捕まりはしないとは思いますが・・・。
◆◆◆
このままでは近づけない。
こうなったら
その場合はまずは鞭の数が多いテュールからになるだろう。
倒しやすいのは
「ほらほらどうしたヘルメスの眷属よ!私達を倒すのではなかったのかな!様子を見るに攻撃の隙がないように思えるが、そんなんでは私には勝てるどころか傷一つつけられないぞ!」
・・・決めた。
もう決めた。
テュールを先にぶっ
ここで一つ私の話しをしよう。
別に話すほどの事でもないけれど。
私は周囲の事に
そう見られているかもしれない。
その思い込みは当たらずとも遠からず。
だけど私はこう見えて
自分の感情を
無関心というか自分にしか
一言に行ってしまえばナルシストだろうか。
仕事の事に
そう、この私の感情をこうやっていちいち自分の中で考えることによって
だから
では私らしくなく、もっとも私らしい
「そこまで言うならわかったわ。大会の
「はっ!
「それは高々神
そして
テュールのグレイプニルの
それを高速の蹴りでいなし、テュールに一気に近づいた。
それを守るかのようにユアンの鞭が一つ、私にふりかかるが、それを私は回転しながら右足で
「だから眷属如きと言っているのだ。甘すぎる」
「っ!」
私の左足はテュールの手前で止まっていた。
動かす事の出来ない左足をよくよく見てみると、そこには
炎を
いや、だがしかし、なぜグレイプニルは発動した?
全てをなぎ倒したはずだ。
なのになぜ私の足には鎖が繋がれている。
「なぜ?と言う顔だな。本来はヘルメスようにとっておきたかった所だが、まあヘルメスならそれくらいの事は知っている
「・・・一本目の鞭の
「まあ
「それで?そんな
「別に何も。貴殿の
「話しが長いわね。本来ならその油断はヘルメス様によって
「・・・口の
「了解」
私の
目の前のテュールはいなくなり、私の目には青い空、そして
さながらジェットコースターと言う所だろう。
ジェットコースターよりも何倍も速い速度で私の体は森に
すさまじい
それが私の体と地面から作り出された音とは
「フハハハハ!ヘルメス!お前もお前だ!眷属がやられていると言うのに高みの
「・・・まあそうですね。やられていればの話しですけどねぇ」
「・・・。何を言っている。貴殿の眷属はすでに終わっている。口ではこの試合中と言ったが、良くてもこの大会期間中は眷属として使えないレベルだ。貴殿がそれをわからないわけではあるまい」
「だそうですけど
「貴殿は
「馬鹿はあなたよ、テュール」
私は
だが、怒りの感情を出すまでもない。
ただ目の前の敵を
私は怒りっぽい。
だけど今は試合中。
ここで怒りを表に出すわけにはいかない。
そう、出すわけにはいかないのだ。
これは初戦。
初戦だけに
だからこそヘルメス様も私一人に戦わせてくれたのだ。
殺す。
「
「貴殿、なぜ動ける。ヴァルキュリアの
「だから軍神が聞いてあきれるというのよ。あなたはさっき私にこう言いたかったのでしょう。最初から自分の手の内を全て
私は森からゆっくりと、ゆっくりと上空に上がっていく。
完全な
気に入っていた服がぼろぼろだ。
これは買いなおさないといけない。
「それで?油断したのは私なのかしら」
「貴殿はつまり全力ではなかったと言いたいわけだな?」
「全力ねぇ。もしさっきのがあなたの全力ならば、大したことがない。いいえ、軍神である所のテュール様ならこれが全力と言うわけではないわよね」
「もちろん全力ではない。眷属如きに全力を出すわけないだろう。死んでしまっては大会の
「では次は全力で来ることね。あなたでは
「言ってくれる。では貴殿の実力、あらためて
「ヘルメス様、
「
「ありがとうございます。じゃあ行くわよ。
私の体はぴきぴきと音が
さながら
上半身ができった所でもう一人の私はそれこそ蝶のように飛んで私の中から出て行った。
そして二人がならぶと、テュールは
「・・・なんだその
「「ほんと、軍神が聞いてあきれるわ。きっとあなたの事だから神のデータを集めても眷属のデータは集めていないのでしょうね。参考までに教えといてあげるわ。あなたを動けなくした眼力は
「鬼道だと・・・?そんな昔に
「「あら、誰が二人と言ったかしら。あなたをころ、倒すために私は万全の
二人の私は声を
さすがにこれ以上は
「これは驚いた・・・。
「「「「
四人に別れた時点で私は
四人の私は
ユアンには一人、テュールには三人。
「
テュールのグレイプニルは本気を出したのかその数を五本から十本に変わる。
一人頭、約三本の
これ以上の力を出そうと、私にもこれ以上はある。
でもテュールには
「眷属
テュールの鞭を
テュールはそれをくらってしまい、その身は上に投げられるが、それでもグレイプニルは止まる事をしらない。
だが本人が
私の夜叉分裂
蹴りをまともに喰らってしまった時点でその
そしてグレイプニルを
神や眷属は自動で
それは
つまりは、私が少し蹴ったくらいでは大したダメージにはならないのだ。
地面に勢いよく落ちていくテュールにダメージを負わせるにはさらに
三人目の私は落ちていくテュールに続いて
さっきの私以上の
さらにでかい轟音が
現実のものではないにしろ、はなから
一人の私がそれを
「
「き・・・でん・・・は・・・まさ・・・か、ひ―」
「
私の剛眼力を受け、
その数秒後には、テュール達が私を落としたときよりも
四人目の私が眷属を
『
そこにヘルメス様がゆっくりと近づいてきた。
「お
「いえ、お
「そんな事はないですよぉ。おそらく観戦席は
「
軽く
ヘルメス様の言うとおり、私はもっと
それがヘルメス様の眷属としての
西・四回戦 テュール対ヘルメス
ヘルメス勝利
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