二幕 【西・一回戦目「音楽の神」】
光が
ただただ広く見える荒野は、
今まで俺が見た結界はせいぜい
だが今回の結界は現実味にあふれていて、まるで違う星にいるかのような
それは横にいるありすも同じらしく、俺と同じように
「すごいわね・・・本当に結界の中なのかな」
「まあそう説明されてる以上それを信じる他ないだろ」
「まあそうなんだけどさ。ただの
「・・・ない事を
そんな
ここにいるのは俺達と対戦相手の神だけなので、ほぼ
「あれは、私達を
「できれば森の方で身を
音が聞こえてくるのは荒野の
おそらく
初戦からいきなりガチ勝負を
このまま無視し続けることもできるかもしれないが、相手の方が身を隠す技などを使ってきた場合は
ならば誘っている以上こちらも
俺が考えていた第一プラン、隠れながらグングニルを当てる作戦は
「行こう」
「・・・わかった」
俺の思考を読んでくれたのだろう。
そのおかげか、
俺が空を飛び始めるとありすもついてくる。
俺はスピードは抑え目に、様子を
二幕【西・一回戦目「音楽の神」】
「ようやく姿を
「HEY!YO!ノってるかい!」
いわゆる
神らしき方は、ひらひらと天女の服をひらつかせて、手にはすでに剣のような物を持っている。
剣としては少し太めの
だが槍としても
俺が絆力解放した時の槍とも剣とも言えない長さの槍に
とにかく
「ふざけた人もいたものね。フェスでも開きたいなら人間の街でやりなさいよ」
ありすがそう言うのも仕方ない。
DJの方はひたすらかけている音楽に乗っているだけで、特に
一昔前のラッパーのような恰好に、
ちなみに服の配色も黄色がメインで目がちかちかすることこの上ない。
一方神らしき女性の方は、ひらひらした服でどう考えても戦いようの服ではない。
身長がありすと同じくらいな事から、実は同じような学生かもしれない。
DJは明らかに外国人だろう。
その事から女の神の方も外国人だと思われる。
「とにかく
「わかった」
「「
俺とありすは兵装し、俺は学生服から青と白がベースで
ありすも学生服から俺よりもプレートがついているが、こちらも割と軽装な女性の騎士の服になっていく。
ありすは俺と違い、髪の毛がショートから元のロングへ、そして金髪へと変わっていくと、さらっと右手でかきわける。
俺の手にはいつものグングニル、ありすの手にもいつものヴァルハラの槍が
「
俺が飛び出すのと同時にありすの
DJは
初戦から二体一はかなり
だがそう思ったのもつかの間だった。
「
DJが
その音に
「くっ、これは・・・」
「
DJは何もしてこないと思ったが、あいつの
おそらく音に何らかの
敵は
「ありす!」
「だいじょう、ぶ!でも、これ早く何とかしないと・・・!」
「僕のミューズよ!君の声をもっと聞かせておくれ!」
「あなたのミューズとは言っていないんですけどね」
敵の言葉から女の方はミューズと呼ばれている可能性がでてきた。
ということは音楽の神、ミューズだろう。
さっきからミューズは口を動かしていたのはおそらく歌に魔法かかっていて、それを
・・・だがそんな事ができるのだろうか。
確かに増幅だけならば
一刻も早くミューズの歌を止めるか、あのDJブースを
「くっそ!ブルーランス!」
もっと多く発射する予定だったが、こっちの力が制限されているのか、まだ力をコントロールできていないのか、思うようにはいかなかった。
とりあえず狙うのは動き回っているミューズではなく、DJの方だ。
DJ自身に当たらずとも、DJブースに当たれば少しは音も
「甘いね。実に
爆音がまた鳴り響く。
そしてブルーランスは音にかき消されたかのように消えてなくなってしまった。
「なに!そんなのありか!」
「悠真!集中!右前方!」
ブルーランスが使えないとなると、
「くそっ初戦でこれかっ!」
「あなた達は初戦
「ぐっあぁぁぁ!頭がぁ!」
「ゆう・・・ま・・・なんとか音を・・・」
頭が痛い。
直接
音を止めさせなければ
どうする、どうすればいい。
くそ、頭が痛くてまともに考えられないっ!
なにか手は!
(ま、すぐ使う事になると思うがな)
なんでこんな時にロキの声が・・・。
いや、一か八かかけてみるしかない。
ロキの言う通りならオーディンの力を引き出して少しはまともに戦えるかもしれない。
俺は
それを右手の二の腕にあるSAのスロットに差し込んだ。
いい方に
「
魔法のチップだからかはわからないが、チップのインストールは
「
SAが
だがこれでオーディンシステムは起動した。
何か変化があるはず・・・。
・・・何か・・・。
「なん・・・で・・・なにも起きないじゃねぇかっ!くそ!ロキの
チップはテストを
という事は
発動しなかったか、もしくは発動しているが、技を使わなければわからないのどっちかだ。
だがもう技を出す力は残っていない。
せめてミューズが近接戦闘を仕掛けてくればグングニルで力を吸い取る事もできたはずなのに。
どうにかあの音を・・・。
『聞かないようにするには』
・・・なんだ今の
俺が今
「そう、か・・・確かに私達は止めることに・・・必死になってた。あの音を・・・聞かなければ・・・いいのよ」
俺の声だと思ったありすが何かに気づく。
だが、俺は今の声が自分の声かもわからない事に
「ありす、どう・・・するんだ!」
「こうするのよ!
すでに兵装しているはずのありすが
そんなものでこれが
いや、防げる。
兵装は魔法の服。
ヘッドホンを作ったならそれも魔法のヘッドホンだ。
兵装で作った服は魔法攻撃を
ならば兵装で作ったヘッドホンには魔法の音を緩和させる力がある!
ここまで考えてふと思う。
今の思考は本当に自分のものだろうか。
まるで誰かが俺の代わりに考えているようなそんな
いや、今はそれどころではない。
「兵装!」
ありすに続き、自分にも魔法のヘッドホンを兵装で出す。
音の魔法は緩和され、なんとか動けるレベルにはなった。
「
「OK!僕のミューズ!」
「私の名前はミューズじゃない!ミュー!」
敵が何かを言っているが聞こえない。
歌うのをやめてこちらに
こっちはそれを
ミューズが全力で歌わなければさらに動けるようになる。
でもこれではありすとの
いや、あるじゃないか、とっておきが。
「「
俺とありすはどちらが言う事もなく、絆力解放を使う。
二人に光が
「絆力!まさか!この間神になったばかりのはずなのに!」
「行くよ!
「了解!」
ありすの素早さにはミューズもついて来れず、一瞬で
ミューズは必死に攻撃をしようとするが、かする様子はない。
ありすはあえて攻撃をあてず、ミューズの
その間に俺が
「待っ!やめっ!」
DJが
そこでDJが音楽を止めた事に気づき、俺とありすはヘッドホンを首まで下げる。
「お前たちの負けだ。
「・・・」
返事はない。
ただただ
神がやられて
・・・何かがおかしい気がする。
そしてさっきオーディンシステムを起動したときにも何かを感じた気がした。
正確には俺の中の声が何かを教えようと・・・
考えようとした
「ワッハッハッハッハッハ!ここまで見事に引っかかるとはな!」
「・・・どういうこと?」
「まさか・・・オーディンシステム、起動!」
俺は絆力解放を
するとオーディンシステムは答えてくれたのだ。
いや、正確に言えばオーディンとして記憶にあるはずの神の情報を引き出した。
あの女の子はミューズなんて神ではない。
「まあミューがやられてしまったのは確かに
「まさか!じゃあさっきのは
「あいつの言うとおりだ。アポロンの神器は
「じゃああのDJブースが神の音ってわけ?」
「現代用に見た目を変えているんだろ。さっきの眷属は神の音をヴァルキュリアの声に変えてどっちも最大威力で
「でも近接戦闘で勝ったんだし、遠距離しか
「いや、
俺達の中で言うならトールが近い。
遠距離のフレイヤ、
オーディンの力をフルで
近距離戦でこちらが上回るとは思えないし、遠距離はそもそも攻撃とまで呼べるような物はない。
「ありす、とにかく矢に注意しろ。アポロンの矢は
「それって一応条件ではこっちと一緒って事よね?」
「数を考えなければな。オーディンの力が100%引き出せたならこっちの方が
「ま、今までと一緒ね」
「話し合いは終わったかな?さあかかってくるといい。君たちの
「「
俺とありすは再び絆力解放し、一気にアポロンに
おれより早いありすが
ならばと俺が2本の槍で
「
「ぐあぁぁぁ!」
アポロンの神の音を使った声で
ありすが
「はぁぁぁぁぁ!」
「ブルーランス!」
オーディンシステムでどこまで力を引き出せるのかはわからないが、絆力解放時のブルーランスのコントロールできる安定数は現在100にも
俺の背中から100本のブルーランスが、ありすと
「甘いわ!
ありすをまたもや
「ちっ・・・これじゃ意味がねぇ」
俺とありすはアポロンを
なんとか一回でもブルーランスを当てれれば・・・。
「もう終わりかな?それではこちらから行こう。出でよ、
アポロンが手を左右に開くと、そこには元からあったように矢がずらりと並ぶ。
そして矢は俺とありすの方をそれぞれに
「さあ
「ありす!全力で
「わかってる!くっ、
俺はブルーランスで矢を撃ち落としていき、ありすは風力で矢の
二人とも飛び回り、真ん中でアポロンが踊りながら矢を出しては撃ち続ける。
だが、速さはブルーランスより速く、多少なら軌道
「このままじゃ
「・・・なら、私に
「何する気だ!ありす!」
絆力解放の力で素早くなっているありすは、風力の力を重ねてさらにスピードをあげる。
ありすは突っ込んで
だがそんな事をすれば
一回きりの
「くそ!ブルーランス!全開!」
出せる
コントロールさえ考えなければ200近くは出すことができるだろう。
アポロンは黄金の矢をブルーランスに集中させ、一本の矢で数本のブルーランスを
そしてありすがほぼ見えない位置からの超スピードで
「
アポロンはついでといわんばかりにありすの方に黄金の矢を飛ばす。
ありすは
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
だがそこで終わらなかった。
ありすは黄金の矢を
「なんとっ!」
アポロンは体制をくずし、その隙を狙って俺はグングニルを一本飛ばした。
「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
グングニルはそのままアポロンの体へと―
「ふんぬ!」
だがこちらも終わりではない。
「もう一本だ!」
見事な裏拳ではあったが、一本目のグングニルを弾くのがギリギリで手は2本目に届かない。
ならばとアポロンは神の音を声にのせ、弾き返そうとする。
「
俺は横からアポロンに向かって風力を使う。
すると先ほど別ルートでアポロンに向かっていた数本のブルーランスがアポロンに
「!?」
アポロンが気づいてももうすでに時は
アポロンはなんとか音を当てようと
「
ブルーランスはアポロンの左足に直撃。
いくら
「ワハハハハ!
「グ・・・そうか」
手元を
『
アナウンスが流れ、ワー!と言う
俺とアポロンはそれぞれの
「やったわね、
「
「どういたしまして」
「ちょっ!
「まあまあいいじゃないか。
アポロンが言うのと同時に来た時と同じように光に
初戦からなかなか
今後が
俺達はこのまま勝ち進めるだろうか。
「
「・・・そうだな」
西・一回戦 オーディン対アポロン
オーディン勝利
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