第六章 【天界一武闘大会】
一幕 【開幕】
「
なんとか
最初こそできなかったものの、元々使えて当たり前のオーディンの
・・・と思う。
目の前にいるのはずっと修行に付き合ってくれていた神、ヘルメスだ。
どうやら
その
「
「まあ大会中はゼウスの目があるから命に
いつもの、つまりは俺の
二人はトールとフレイヤなわけだが、今回の大会には出ないらしい。
縷々に関しては神としての
まあ二人と戦う事はないのだからそれはそれで安心だけど。
「私達もすぐ
「ってゆうか二人とも一緒に行けばいいんじゃないのか?」
「別にそれでもいいんだけどよ、俺と縷々はちょっと違うとこ
「ふーん。そっか」
「では悠真君、そろそろ行きますよぉー」
「わかった。・・・って、天界ってどうやっていくんだ?」
俺は天界に行く姿を一度だけ見た事がある。
それはロキ戦の後、
その時は手をかざしただけで天界への
それこそゼウスの
「そうですねぇ、では今回は悠真君に天界への門を開いてもらう事にしましょうか」
「俺でもできるのか?」
「天界
心の中で念じるだけ・・・。
俺はヘルメスに言われた通りに心の中で天界の門が開くように念じ、蒼がやっていた時のように右手を目の前に出してみた。
ブウウウン。
扉と言ってもなんとなく扉と感じるだけで、そこにあるのは2メートルほどの光の
俺が見た天界への扉と一緒だという事は、きちんと成功したのだろう。
「おぉー、できた」
「さすがにこれくらいはできてもらわないと
「しょ、しょうがねぇだろ。知らないことの方が多いんだし」
「ちゃんとオーディンとして眷属の私をフォローしてよね」
「お、おう」
ありすはインドラジットの戦いの後からいつもの
今日は大会初日という事もあって少しピリピリしているご
なんにせよ、蒼の事からふっきれたようだった。
おそらく俺とありすはお互いがお互いを蒼の為に守らないといけないと思っている。
ピリピリしているのはそのせいだろう。
ありすなりに考えてくれているのだ。
「さ、行くわよ」
光の扉の中に消えていくありす。
俺もその後に続いた。
思わぬ戦いはあったが、ここから俺、
今回の戦いで最後まで勝ち残れるとは思ってはいないが、なんとか他の神の目を引き、協力してくれる神を増やさなければいけない。
不安しかないが、それでもやらなければいけないのだ。
蒼の
6章 1幕【開幕】
まばゆい光を
パッと見は
だが、周りでは日本の
そして通る人は人ではない。
「ここが天界・・・」
「なんか天界って言う割には人と同じような生活感があるのは気のせいかしら」
「・・・ん?ありすも天界は初めてなのか?」
「
それにしては
いや、ビビる方がおかしいのか?
「まあ神と言っても、私達は人と生活を共にしてきましたからねぇ。むしろ天界から流れてきた文化などもあるのですよぉ?天界の事は今度じっくり
俺とありすはヘルメスについていき、コロシアムの中に入って行く。
中も特に変わっている事はなかった。
と言っても、俺自身がコロシアムを見た事があるわけではないので、漫画とかに出てきそうって感じだが。
大きな入口を抜け、かなり広いロビー的な物があった。
もちろん入口も小さいビル
そんな広いロビーを進んでいくと、コロシアムの大きさには
その手前には
台座自体は茶色い
古風なのか最新なのか時代も国も
ゆえに異世界だと感じるわけだが。
というか天界って異世界なのか?
「
そこで待っていたのはヘルメスの
いつものように
「千里、ここにいたのか」
「ヘルメス様に
「では皆そろった所でエントリーしてしまいましょうかねぇ」
「ロキ達がいないぞ?」
「あのいけ
ロキらしい・・・。
というかロキは
「では
俺は言われた通りに台座に手をかざし―
「エントリー」
と言うと、画面にオーディンと名前が表示された。
そのまま
「・・・え、これキーボードの
「もちろんそのキーボードも使えますよぉ。でも使う必要はありませんねぇ」
「
ありすに同じく。
「
先ほどいなくなったと言うロキだ。
「あれ、ロキはエントリー終わってるんだろ?」
「貴様に
「はっへ、ほいひほうはっはひ」
何かをもぐもぐと食べながら
あまり
「
「わたしは食べる気にはなれないけど、なかなか売ってない物だし後で買ってみたら。
千里と同じく食べたい感じではない。
だが、味よりもそもそもどうやってソーセージ的な肉が一本の
「まあ、それは置いといて、渡したいものって?」
「これだ」
ロキは俺の方に小さい何かを投げてくる。
手でキャッチすると、それは俺がもう必要ないだろうと思っていたものだった。
「これって・・・
「そうだ。貴様
体の一部をサイボーク化し、外からでは普通に見えるが、チップをインストールしてSAを
俺は
だが、オーディンとなった今の俺には
今の俺にはSAの
それにSAは俺がオーディンとして力を
正直言ってもう忘れようとしていた。
それをロキがなぜ?
「まあ貴様の考えている事はほぼわかる。とりあえずその中身から説明すると、それはオーディンシステムというチップだ」
「オーディンシステム?前に
「主に違うのは力の大きさと作り方だ。貴様の持っているオーディンチップと、俺様に
「よくわからないが、これはオーディンでSAを持っている俺だから使えるチップなのか?」
「そういう事だ。プログラムの中に一般人ではわからない神の言語を入れてある。他の神でなく、オーディンの
「ちょっと待って、それってつまりオーディンの力を使えるってだけよね?オーディンである
「これはいわゆるテストだ。貴様がSAの力を
つまり大会で少しでも
ロキってやっぱり
「
なんだかんだ口で言ってもロキは俺達の事を考えてくれている。
自分の
今回の
だが、SAとなると話が別だ。
俺が次暴走してしまえば俺もありすも命がないかもしれない。
「ありがとよ。これは受け取っとく。でも多分これを使う機会は先になりそうだ」
「もう一つだけ言っておく。元オーディンは
「俺がロキの作ったチップを?だって俺の持ってるチップって・・・」
ザ・パワー、フレイムアロー、オーディンチップの三種類。
その内、フレイムアローとオーディンチップはフレイヤと蒼からもらったものだ。
まあフレイヤは
残るチップはザ・パワー。
でもこれは蒼達と会う前に知り合いにもらったチップ。
・・・?
「あれ、ザ・パワーって
知り合い。
そもそもチップを持っている知り合いを知らない。
なぜなら俺がSAの事を話しているのは
SAを持っている事は知っている人もいるだろうが、だからと言ってチップをもらうほど
では、知り合いとはだれか?
「まあ貴様には記憶はないだろう。俺様が魔法で記憶を消したからな」
「消したって・・・なんで」
「そもそも俺様はSAがどんなものか気になってザ・パワーを作った。でも俺様には
そんな
だとしたら俺はロキの作ったチップをもう何回も使っていることになる。
というか俺には蒼が作ったチップと何が違うのかさっぱりだが。
「・・・ロキも必然とか運命とかそういうの信じるんだな」
なんとなく言葉に出たのがその言葉だった。
そもそも神様は
確かに運命や必然性と言うのはあるのかもしれない。
ロキからそんな言葉が出たのがなんとなく
「ふん。俺様は信じてはいない。俺様は俺様の道を
「皆さん。
ヘルメスの言葉に俺は
エントリー用のテレビのようなモニターより遥かにでかいモニターがロビーの頭上にはあるのだ。
そこに
だが、後はそのまま
「今回は東西に分かれての16チームですかぁ。意外と少なかったですねぇ」
「意外とって言うか俺の想像より遥かに少ないんだが」
「
確かに俺達の名前だけ出ているのは嫌がらせにも
そんな俺とありすの
「嫌がらせではないですよぉ。私には私達の名前しか見えない。と言ったら
「なるほど、相手の
「その通りですねぇ。それと、地区予選などではなく、これで全員ですよぉ。これは一種の
「ねぇ、もしかして私達、一回戦目?」
「みたいだな」
ありすが言うように、俺達は西のトーナメントの一番左上に名前がある。
普通通りなら俺達は西トーナメントの一回戦目と言うわけだ。
左が西、右が東。
中央に向かって東西のトーナメントは
「悠真君たちは左上ですかぁ。ちなみに私達は左下にいますので、当たるのは西の決勝という事になりますねぇ」
「たかだか二回勝てばいいだけなら、あなた達と戦う事もありそうね」
まあでもそこで負けてしまうのね、
という
まあ正直な所、ヘルメス達と当たって勝てる見込みはないが。
千里の戦い方は何度か見ているが、ヘルメスの戦い方はまるでわからない。
俺は一度戦っているらしいが、記憶がないから参考にはならない。
逆に言えばヘルメス達はこちらの事を
「ロキ達はどこなんだ?」
「右下ー」
いつの間にか虹色竜の尻尾焼きから焼きそばのような物に食べる物を変えたいたフェンリルが答える。
右下という事は東の一番最後の試合だ。
ロキ達とは合っても東西の最終決勝。
・・・これも必然性なのだろうか。
いや、それよりまずは第一試合だ。
これに勝たなければその先はない。
二回勝つことがとりあえずの目標だな。
「試合は一日一回ですし、私達は観客席で悠真君達の
「これってどこいけばいいんだ?試合はすぐ始まるんだろ?」
「心配しなくても勝手に
ヘルメス達とロキ達はのんびりとどこかに行ってしまった。
おそらく
「悠真、大丈夫?」
「大丈夫って何が?」
「いや、なんとなく」
「心配するなよありす。なんにせよ勝たないと話は始まらないんだ。オーディンになってから初めての
「そうね。悠真、勝つわよ」
「おう」
『
アナウンスが流れてほどなくして、俺とありすの足元には
そして
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