第五章 【蒼希優斗】
一幕 【オーディン】
夏休みも
昨日の夢も気になった事もあり、特に用事はないが、
そんな
「おはよー・・・蒼は・・・いないか」
魔術研究会にはいつものように
蒼はいないようだ。
ところで、ロキはいつもいるけど
「元オーディンならいないぞ。というかなぜあいつを
「なんとなく、ここならいるかなって」
「ふんっ。期待はずれだったな。まあそもそもあいつの顔を見ることはもうないんだ。ここに来ても
「それってどういう・・・」
夢の
ここ最近では俺以外にも蒼はもちろんの事、ありすもよく来るのだ。
「ねぇ、ロキ。
優斗、オーディン、蒼、全部
ありすはもともと蒼と
だがオーディンの名前は俺が
そして
それがいつの間にか
「またか。オーディンはここにはもう来ない。顔も見ることもない。わかったら消え失せろ」
自分ではなく、蒼の事ばっかりを気にするもんだからすねているのだろうか。
「また?あ、悠真」
俺がいることを今気づいたようで、ありすと目があう。
「悠真も優斗を探しに来たの?」
「んー、まあそんなとこかな」
なんとなく夢の話しはしないことにした。
その
「まあもしいなくなってもまたひょっこり現れるだろ」
「え?うーん・・・まあそうね。いや、そゆ事じゃないでしょ。あいつがいないと
「ありす、今のオーディンは俺だぞ?」
と言いながらそんな言葉がすんなり出てきたことに自分自身でも
なんせ、俺にはまだオーディンになったと言う
「あ・・・そっか。なんかごめん。んー・・・ならいっか。よくないけど」
つまりは優斗が気になるだけだろう。
ありすの優斗への恋心は知っているし、自分で
それは
俺とありすは魔術研究会を後にすることにしたが、その時ロキが「そのうちわかる事だ」と言い残したのが引っかかっていた。
というより、なんだかロキは何か
その後、夏休みが終わるまで縷々や君丈とも会ったが、どこかぎこちなさを感じたのは俺だけではなかっただろう。
その事が気になって
以前誰かが言っていた気がする。
だからこそ思うのだ。
夏休みが終わったら
5章 1幕【オーディン】
いつもの
夏休みも終わり、休み中には見られなかった登校風景を目にしていた。
なんだかんだ学校には来たりしていたが、教室に来ることは少なかったため、なんだか
それと同時にまた
だが、俺こと
ありす、縷々、君丈も普通に登校し、夏休み中にあっていたせいか、特にこれと言って会話することもなく
約一か月ぶりに担任の顔を見たが、なんだかその顔は
そこで
なんだか聞きたくない。
だが、そんな俺の願いはすぐに無に帰ってしまうのだ。
「おはようございます、皆さん。えっと、
先生の一言で教室内は
蒼希優斗が死んだ。
蒼が・・・死んだ・・・?
いや、待て待て、そんなことあるわけないだろ。
神はそう
はず。
少なくとも交通事故で死んだなんて事にはならないはずだ。
神には
そうして蒼やありすもこの学校にすんなり
という事はこれだって正しい情報とは言えないはずだ。
「皆さんにはお話しするのが
「ま、待って先生!葬儀も終わってるって、優斗はいつ死んだんですか!」
声を
ありすもおそらくは俺と同じ
きっとだからこそ、いつ死んだことになっているのかが気になったんだ。
ありすが思っているのはおそらく、死んだ日が蒼の
「えっと・・・五日前に事故にあわれたらしいわ。さっきも言ったけど、私も聞いたのもさっきだし、
「・・・」
教室からはなんで、とか事故起こしたやつぶっ殺してやるとか
蒼が来てからは一か月とちょっとだし、その間に夏休みも
だが、蒼は気さくでいいやつだったし、クラスメイトとも一日で
それにこれから仲良くなって行こうと思っていた奴もいただろう。
朝方からそんな話をされてしまえば一日授業に身が入らないのも
全校集会でも言われたため、昼休みには学校全体で
俺は縷々や君丈に話しを聞こうとも思っていたが、部活などで
それは俺だけではなく、ありすも同じようで、いつにもまして
そして放課後。
俺とありすは
「ロキ!
「あ?うるせえな。んなもん知っての
ロキは俺達が言いたい事がわかるかのようにそう返してくる。
そこに一足遅く縷々と君丈もやってくる。
「なあ、皆なんか隠してるよな?
縷々も君丈も言葉を
それどころかうつむいている。
ただいなくなっただけのはずなのになぜそんな
俺の
気にはなっていた。
なっていたさ。
そう、夢の話しだ。
あの日、きっと蒼と俺は
でも、それをなかった事にされた。
もしくは夢でそう
「なぁ、蒼にはもう会えないのか?」
なんとなくだが縷々の
ロキは
「
「夢で出てきたんだ・・・五日前、蒼と会ってそしてもう会えなくなるような事を言って去って行く夢・・・」
「なにそれ・・・え、待ってよ、優斗はどっかいっただけだよね?ねぇ・・・なんで皆何も言わないの・・・?」
それほど長くはなかったはずだが、その沈黙はやたらと長く重く感じられた。
目に
そして、
「ねぇ・・・どういうこと・・・教えてよ・・・教えてよ!オーディンは、優斗はどこ!」
声を
だが、その言葉は
「だから死んだ。元オーディン、いや、蒼希優斗はこの世からいなくなったんだ」
一切表情を変えずに言葉を発するロキには、
「・・・なんで」
「そんなこともまだわからねぇのか。
「私達の・・・?」
だんだんと
今まで考えないようにしていたことが当たっていたんだ。
そんな
「だって・・・優斗は神で・・・オーディンから
「あいつの言葉をそのまま信じるてめえらが
「
もう言葉が出てこなくなったのか、ありすは前を
ショックなんてものではないだろう。
自分たちのせい、いや、
でも蒼は俺のせいではないと言った。
それは
それで
でも、せめて伝えてほしかった。
俺達に起こった事、そしてそれによって生まれるすべての
「ロキ、もうちょっといい言い方はねぇのか」
教室の
「じゃあきさまが説明すればいいだろ。俺様は間違ったことは言ってねぇ」
「言い方ってのがあるだろ・・・」
「こいつらがどう思うが俺様の知った事ではないな」
きつい言葉をかけてくるロキだが、これも
少なからず
「なぁ、ちゃんと説明してくれよ。俺とありすのせいだって言うならなんでそうなったのか、きちんと聞いておきたい」
「・・・ふん。いいだろう。貴様も何もわからず
「まず、貴様ら二人が
「あぁ」
「
「それが蒼が死んだ
「まあそうだな。話してやったのはいいが、死んだ理由はわかっても
「先延ばし?蒼が自分の
「それくらい
「口止め・・・?なんで」
「俺様が知るか。オーディンとして自力で
「・・・じゃあいつまで
「それは俺様にもわからん。明日かもしれないし、貴様が死ぬまで何もないかもしれん。まあだが俺様が
「一年・・・」
蒼が命をかけて保障できたのが一年・・・
あまりにも
「
「心配するなって言ってもよ、せっかく蒼が
「いーんだよ、あいつは。ただでさえ
「う・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
ロキが
ロキの言葉に泣いたわけではないだろうが、
「泣きわめくんじゃねぇ!俺様から言えることは言った!こいつ
縷々がありすを連れて
俺と
◆◆◆
「ちっ。
「
俺様の
魔術研究会にヘルの力で開けてある
続いて
「
「俺様にとって
葉月のツンデレ発言は
元オーディンの
「俺様は
「ロキの力でもわからないんだねー」
「フェンリル、
「協力って?」
「どうせ
葉月の
「あー、あれか」
「え、あれってなに?」
一人わかっていない那覇は置いておくとして、俺様の力を
それもこの
「せいぜい
「そういうのいいから。・・・ねぇ、
こいつら最近、俺様のことを
「蒼希優斗は完全に死んだ。
「そっか・・・ロキは
「そもそも神は
「
「わかってないなー那覇は。遼平はツンデレだから素直になれないんだよ」
「なーるー」
葉月はどうしても俺様をツンデレとして
「なんにせよ、今はあいつがオーディンだ。
それぞれが
◆◆◆
「まああんま考えるなよ。
本当ならついていきたかったが、縷々が私に任せてと言うので、俺と
「そうは言ってもよ・・・
「あー、それは
(俺の
夢で蒼はそんな事を言っていた。
あの言葉は今の君丈のいう事が本当なら、
「まあそこも
「調べるって何をどうすりゃいいんだよ・・・」
「俺達が蒼から口止めされてるのは主に
「固定概念って
「天界、ひいては神ってとこかな。今、天界も色々とバタバタしてる
「君丈って蒼と会ったのつい一か月前くらいなんだよな?その感じだと
「知ってるんだよ。神は
あははと
蒼は
でもそれを伝えてもきっと
だからこそ自分の目で見てほしい。
「なぁ、俺って天界に行けるのか?」
「ん?まあもちろん神になったわけだからな。でもどうせ
「なんだよ、近々って」
「それを教えるのは俺の役目じゃないかなー。まあすぐ教えに来るさ」
教えに来る?誰が?
と思ったが、あえて言わないことにした。
君丈がそういうならだれか天界の
この言い方だと
「ゼウスにもオーディンになりましたって
「ゼウス?やっぱそれって一番
「そうなるな。まあでもそんな
「でも報告とかするならすぐ行った方がいいんじゃ」
「大丈夫大丈夫。神ってのは
「そ、そうなのか・・・」
蒼が何百年生きているという話からも
そのあたりも調べてみた方がいいのかもしれない。
「ま、とりあえず蒼の事は気にするな。こっちの世界に
「なんか
「人間が死んだのと話が
またもや笑い飛ばす君丈。
この
同じ神としての
俺は成長して蒼に自分の命をかけてもよかったと思われるような存在にならないといけない。
(今からそんな顔してるとこの先もたないぜー?大変なのはこれからなんだ)
蒼はそう言った。
ありすもきっとすぐには立ち上がれないだろう。
なら、俺は先に蒼の
「ありがとよ・・・いつも
「なに
「お前らが俺を頼るような困った時があるのかわかんないけど、俺も俺なりに全力で
「恩とかなんか
「わかった。その時が来たら友情パワー
「その
君丈に
その後、蒼の事を考えたりもしたけれど、それより今はありすの方が気になった。
ありすの泣き顔はこれで三回目だろうか。
最初はしっかりしている女の子と思っていたが、今のありすを見ていると
男として、
そんな事を思いながら、俺の
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