第三章 【桂木悠真】
一幕 【夏休みの始まり】
「いやぁー学生ってのはいいねぇ。夏休み最高!!」
「あんまりはしゃいでると先生に見つかって怒られるぞ」
ジークフリートの一件で病院に寝ていた俺、
その終業式が終わり、今は三人で外に遊びに来ている所だ。
「先生なんか無視無視!俺らは学生を
さっきから無駄にテンションが高いこの男は
俺の
最近まで知る
「きみたけくーん?そーやって遊んでてもいーけどー、今回の宿題は、自分でやるんでしょーねー?」
おっとりとした話し方をする女子、
こいつも俺の幼なじみの一人だ。
なんと、縷々も神様の一人で、フレイヤと言う神様が縷々の中にいる。
君丈は自身が神だが、縷々は違う。
そこは神様の都合なんだろう、特に気にしたことはない。
そんななか、俺は
だが、ほとんど役にはたてていないのが
「あの、ほら。皆で宿題やった方が楽しいじゃん?俺は一人より皆でやりたいんだよ!」
「君丈は寝てるだけじゃねぇか」
そんな事言うなよー。と横で君丈がすがりついてくるがかなり気持ち悪い。
他にも最近仲がいい二人がいたりするのだが、今回は幼なじみの三人で遊びに来た
「とりあえず入るでしょー?ゲーセン」
縷々が指さす方にはいつものゲームセンターがあった。
くだらない話しをしているうちにいつの間にかついたようだ。
俺たち三人が遊ぶと言ったら必ずと言っていいほどゲーセンに来る。
それと言うのも、君丈がいつも行きたがるので、俺も縷々もよらなきゃいけないような気がしてたりもするのだ。
「あれきてるじゃん。ダンスのやつ」
君丈の言う方向を見ると、ちょっと前までは
こっちの方には近々導入されると
「あの人すごいねー。ダンスキレッキレだよー」
そこにいるのは髪をポニーテールにまとめたいかにも運動神経がよさそうな女子だった。
耳にはヘッドホンをしているが、コードが見当たらない。
おそらくゲームに
それにしても見事な動きすぎて、
「すごい、パーフェクトだぜ」
その少女はこちらをちらりと見て、また新しい曲を始めていた。
俺たちもそれを
高校生の夏休みは長い。
3章 1幕【夏休みの始まり】
次の日。
俺は
魔術研究会は、ロキという神様が自分の
ロキは俺が神様の一件に関わることになった
正直、ロキが一番の
縷々や君丈を
だが、手にかけようとしただけで、実際はそんなことないと、蒼がいつだが言っていたような気もする。
でもその言葉を
「で、話って何さ」
早々に本題に入ろうとする俺に、蒼は
「まぁそう
君丈、縷々と同じ天界の所属の神、オーディン。
所属やらはよくはわからないが、ロキは言うならフリーの神様。
そして先日俺を
「大丈夫だ。何もねぇよ」
俺は、蒼に渡されたオーディンのチップを自分のSAにインストールし、
「優斗、
俺と一緒に魔術研究会に入ってきた人物が一人。
蒼の事を
付き合いが短ろうが、蒼は下の名前で呼んでほしいかもしれないが、それは俺の名前と関係している所がある。
俺はゆうま。蒼はゆうと。
一文字違いなのだ。
最初に呼びづらいなら蒼でいいと言った蒼の一言から、ありす以外は全員下の名前では呼ばない。
ちなみにこの姫野川ありすは、蒼、つまるところオーディンの
しかも、ロキ
「それについてはちんぷんかんぷんさっぱりの
意味不明だった。
「まあ何もないならいいんだ。今日呼んだのは二つの話があるからだ」
もったいつけて話をする蒼を横目に、
こっちを見る目はなんでここにいるんだ、と
見えていないだろうが、そもそも気にしていないであろう蒼は、話を続ける。
「一つ目は、悠真とありす。まあ俺もなんだが、お前らはこの魔術研究会の部員となった」
「うわっ!」
俺とありすが
「ちょ、ちょっと待てよ!オーディン!聞いてないぞ!」
「おう、言ってないからな」
ものすごい
何の
魔術研究会とは、つまるところロキ
そこに
「ちっ。くそめんどくせえ。いいか?お前らが俺様の
「まあ
ロキが
それに対してまたロキは抗議を始めるが、蒼はもう聞いちゃいなかった。
ちなみに遼平と言うのは、ロキの人間の時の名前だ。
「監視役って、この前みたいにさらわれたりしないようにって事?」
ありすは当然の疑問を口にする。
ロキは蒼達に力を
「いや、今回は遼平君達が変なことしないようにだな。こいつらはこの前の一件から
「それ私達必要?」
「人手は多い方がいいだろ?」
それは俺も戦力に数えられているということだろうか。
「で、もう一つの話しなんだが。こっちの方が重要だな」
蒼が話し始めようとする中、ロキの方はあきらめたらしく、椅子に座りなおしてから
最初は
「最近の話しなんだが、
喧嘩を鎮圧する謎の少女と聞いて、俺はふとありすの方を見る。
するとありすはそれに気づいたようで―
「私じゃないわよ!」
と叫んだ。
俺とありすの出会いはまさにそんな状況だ。
正確に言うと、その前に学校で
「俺もありすだとは思ってない。あの時のありすは俺を探すためだったしな」
ありすはなにか言おうとしたがやめたようだった。
蒼が言った通り、不良狩りをしていたのは神の力を見せれば蒼がやってくる、もしくはその
その探し人であった蒼は目の前にいるのだから。
「で、それがなしたんだ?ありすじゃないならこの話はこれで終わりなのか?」
「
「俺の名前は桂木悠真だ。いい加減その人間ってのやめろ遼平君」
ロキと目で
「まあ遼平の言った通りだ。どうやら、その
「なんだよそれ。くのいちなのかそいつは」
くのいち。女忍者。神の次は忍者か。いや、女神の次は、と言った方がいいだろうか。
ちらりとありすの方を見ると、噂の女神さまは真剣に考え込んでいるようだった。
「とりあえずそいつを探し出すのが今回のミッションだ」
「じゃあどっから探す?人手も多いんだし、皆で探せばすぐ見つかんだろ」
頭の中で
「いや、今回は悠真とありすの二人が
「「はぁ!?」」
俺とありすの声が
「待てよ、俺は何もできないぞ?」
さっきも思ったが、俺が戦力に数えられている。
確かにこれまで、俺は自分でついていきたい、戦力になりたいとは思っていたが、
期待には答えられないと思うのだが。
「悠真にはオーディンチップがあるだろ?」
「ちょ、ちょっと待て・・・あれは暴走したんだろ?また暴走したらどうするん―」
「暴走したらありすがまた止めてくれるさ」
なぜかにやけ顔になる蒼。
そんなお
「私にもう一回あんなことしろっての!?」
あんなことってなにしたんだ。
俺の暴走はありすが止めてくれたらしいが、何をしたのかは
「まあもし暴走してもそん時は俺もすぐ飛んでいくさ」
「蒼は探さないのか?」
先ほどのロキのように、
オーディンチップの不安はあるが、蒼が大丈夫と言うなら大丈夫なんだろう。
「俺も探すけど、やらなきゃいけないことがあってな」
「君丈と縷々は部活か?」
「部活しながら情報を集めてくれるってよ」
俺とありすで
期待にこたえられるかはわからないが、信用にはこたえたい。
「遼平君、ちなみに君は手伝ってくれたりしないのかい?命の
「俺様は助けてくれなんて言ってない。俺様は俺様で勝手に動かせてもらうぞ」
その言葉を最後に、椅子の背もたれを反対に
そんなこんなで俺とありすの二人で調査することになった。
翌日に街で待ち合わせをすることとなった。
だがどこに行くと言うわけでもなく、ただひたすらにぶらぶらと歩くことになったのは言うまでもない。
「あー疲れたぁ。・・・クレープ食べない?」
「そうだな。
「私キャラメルナッツ食べよー」
お互いにクレープを買い、そこら
夏休みだから関係はないかもしれないが、日曜日と言う事もあって人通りが多い。
天気がいいからとみんな外に出ているのだろうか。
去年は君丈と縷々との三人で海にも行ったっけ。
「そういやありすはこっちくるまで何してたんだ?学校とか行ってたのか?」
と、聞き終わった後に
蒼と一緒にいたと言うからもしかしたら学校にも行ってないのかとも思ったりしたもんだが、ありすは
学校に行ってないはずがない。
「行ってなかったよ」
クレープを
一秒前に考えていた事とは正反対の事を言われて
「まあ優斗と一緒だったからねぇ。一緒に
「え、じゃあ勉強はどうやって」
「自分でやったのもあるけど、ある意味これも神の力の
神の力恐るべし。
いや、
「前に蒼が親代わりとか言ってたよな??」
「あー・・・言ったっけ。・・・気になるの??」
そこまで聞いておいてなんだか聞いてはいけないような気がした。
プライベートな事だし、俺が
「まあ気になるけど、別に言いたくないなら無理に聞く気はないよ」
だからこそ、そんな
「まあ
つい話に
見てみるとクレープに入っているアイスが溶けてきて、俺の手にかかりそうなところまできている。
俺はまだまだありすや蒼の事を知らない。
いや、君丈や縷々のことだって何も知らないんだ。
わかったつもりになっていただけ。
それでもありすや蒼にとっても心許せる存在になっていたらいいなと思った。
ずっと考えながらクレープを食べているとある事実に気づく。
周りがカップルだらけなのだ。
あれ、これってもしかしなくても俺とありすもカップルに見られてるのでは?と思って横を見てみると相変わらず楽しそうにクレープを頬張っていた。
気づいてないのか、そもそも気にしていないのか。
そもそもありすは蒼の事が好きなのだ。
俺といたところで気にもしていないんだろう。
男としてはさみしい所ではあるかもしれない。
「
食べ終わるのと同時に立ち上がるありす。
「調査再開と行きますか」と言う彼女にたいして、俺は
ありすはまだ蒼の事が好きなのだろうか。
そんな事を歩きながら考えたりもしてみたが、そもそも俺には関係のない事だと最終的には考えるのをやめてしまった。
考えたところで俺がありすを好きなわけでもないんだ。
調査もほどほどに、夕方になった頃。
そろそろ帰ろうと言ったのは俺の方だった。
「悠真、止まって」
ふいにありすの表情が
ありすが見つめる先、道の向こうには、すこし夕日に照らされながら歩いてくる一人の人物がいた。
その
身長はありすと同じくらいだろうか。
近づくにつれて見覚えのある見た目に
その少女は昨日君丈と縷々とで行った、ゲームセンターで新しいリズムゲームをやっていた女の子だ。
その姿が
「あの子がなしたんだ?」
「あの子、神の
「それって・・・」
「まさか君だったなんて。
「私はあなたを探していたんだけど、その様子からするとあなたも探していたのかしらね」
「・・・そうなる・・・かな」
ピリピリと
「あなた達二人を
戦う
それにしても拘束するとはどういうことだろうか。
「悠真、拘束される気は?」
「まあないな」
ありすに続き、俺も身構えると、相手の少女は
「そう。では、
少女の目はその言葉を口火に、
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