四幕 【神々の意志】
あまりにも
探そうと決めた次の日にオーディン
「ゆ、優斗!なんで!」
大声をあげるありす。
それに対して
「なんとなく」
1章 4幕【神々の意志】
その場は先生に
その後も転校してきた生徒にいつものようにクラスメイトが
俺はそれをとりあえず追っかけることに。
「で?何なのこれは」
「何って?転校してきただけだろ?」
「そういう事じゃなくて!」
今まで見たことの無いような表情でありすが
この
そもそもありすが育ての親などと言うから普通の大人を想像していたのだ。
逆に言えば育てられたとはどういう意味なのだろう?
二人は恋人で
いや、だとしたら育てられたって言うのもおかしな話になる。
「ありす。そいつは?」
「ん?なに!今そんなのどうでもいいでしょ!」
ありすはこれまでも口調が変わったり忙しいやつだったが、おそらくこれが本当の
それほどまでに感情がむき出しなのだ。
「俺は
「おう、よろしくー」
「のんきに自己紹介してる場合じゃない!」
ありすが
だが、さすがに
「はぁ・・・はぁ・・・神の事なら悠真は知ってるから」
「ほう、もう名前で呼び合う
「注目するところはそこじゃない!」
またもやありすが叫ぶ。
ありすは自分の髪をかき
「まあ神の事を知ってるのは大体
「はぁ!?」
次は
だが、今の発言には俺も
事と次第によっては今までの事が全部オーディンのせいと言う事もあり得る事になる。
俺は
「見てたんなら
「無理。
「はぁー!?」
蒼希優斗が何のことを言っているのかはさっぱりだったが、ありすの
それほどにありすは乱れていた。
「まあ詳しい話はフレイヤを見てからにしよう」
「誰よその女!」
もうしっちゃかめっちゃかだ。
「ありすも知ってるんじゃないか?そこの桂木悠真君のお友達だよ」
どうやら【フレイヤ】と呼ばれた人物は
そして放課後、俺とありすと蒼希優斗の三人は縷々の病室に来ていた。
蒼希優斗は、縷々の前に立つとしばらく様子を見て―
「見事な結界だな。まあすぐ壊せるけど」
そう言ってと縷々に手のひらをかざす。
すると
「ん・・・」
「縷々!大丈夫か!」
俺は縷々にかけより、起きるのを手伝う。
縷々は手で目をこすりながら
「んー?悠真君おはよう」
まあだがいつもの
「体は大丈夫か?」
「ん?何が?・・・あぁここどこ?病院?なんか人多いね。イベント?」
まだ寝ぼけてるのか、わけのわから無い事を言い出しす縷々。
病院でイベントって
「とりあえず一件落着だな」
「何も落着じゃない!早く説明して!」
またもや蒼希優斗とありすのコントが始まる。
二人が言い争っている姿を俺と縷々は二人で
「なんか悠真君の周りにぎやかになったね」
「・・・おかげさまでな」
縷々のマイペースのせいで俺は一人なごんでしまう。
だが本題は違う所にあるのだ。
「で、だ。えっと、
「縷々でいいよー」
誰と話しても縷々のマイペースは
すっかり調子を取り戻したと見える。
「早速で悪いが、フレイヤを出してくれないか」
そして数秒たったのち、誰に話しかけるでもなく「わかった」とつぶやいた。
次の瞬間、縷々のまとっていた空気が変わる。
それは神と
「お前は誰だ」
強く、
そんなイメージ。
縷々とはあまりにもかけ離れている。
それが俺にも、いや、俺だからこそ縷々ではないとわかった
「俺は蒼希優斗。またの名をオーディン、って言えばわかるだろ?」
「・・・
オーディンと昔あった事があるような口ぶりだった。
まさか神話の話しは
いや、二人が本当に神様だと言うのならそれもあり得る事なのだろう。
少しずつ俺の中では神と言う
「まあ名前は好きに呼んでくれ。優斗でも、オーディンでも」
「ふむ。優斗か。悠真に似ているな。ややこしいからオーディンと優斗をかけあわせて【おうと】などはどうだろうか」
「できたらそれ以外で」
「ふむ」
喋り方の
それにしてもまさか本当に縷々が神様だったなんて・・・
ありすの言っていたことは本当だったという事になる。
さすがに
「悠真、すまないな。今まで隠していて」
そんな言葉をフレイヤから投げかけられる。
だが、俺には
「いや・・・なんていうか。別にいいよ」
そしてそんな
正直な所、縷々に隠し事をされるのは
だが、事が事なのだ。
ちょっとした隠し事でもなく、だからと言って
「それでオーディン。私を呼んだのは
「その事なんだが・・・フレイヤ、
「ふむ。・・・なるほど、そういうことか。おおよそオーディンの思っている通りで間違いないだろう。私は今現在、神器【スキーズブラズニル】を所有していない」
「やっぱりか」
俺とありすをそっちのけで会話を進める二人。
じんきと言うのは朝、蒼希優斗からも聞いた言葉だった。
「何が起こってるのか私達にもわかるように説明してくれる」
ありすが率先して話を聞き始める。
すると、
「ありすは少し気づいているだろうが、この街にはおそらくロキが
「ラグナロクと言う言葉を聞いたことはないか?」
蒼希優斗に代わり、フレイヤに言葉を投げかけられる。
ラグナロク、確か神話に出てくる戦争だったか。
「神話の話しでいいなら戦争的な話しじゃなかったか?」
「あたらずとも遠からず。ラグナロクとは終末の日の事を
フレイヤによって説明されたラグナロクの話しをすんなりと受け止めることはできない。
そもそもこの
説明もあえて
「ロキの目的はわからん。ラグナロクをいまさら起こした所で意味があるとも思えんしな。」
「優・・・おー・・・蒼希くん」
蒼希優斗をなんて呼んだらいいかわからず言葉につまる。
「あー名前か。
「わかった・・・で、蒼的にはどうするって話なんだ?俺には神様の難しい話はわからん。俺は縷々にちょっかいかけたやつをやっつけられればなんでもいい」
「シンプルでいい考えだ。俺もロキを探さなくてはならんと思う。だがそれと平行してトールを探したいんだ」
また新しい名前がでてきた。
オーディン、フレイヤ、ロキ、その次はトールか。
「誰なんだそれ」
「トール。俺、オーディンとフレイヤに並ぶ神の一人だ。そいつの持っている神器がロキの手にあるかどうかで事情はかなり変わる。フレイヤ、心当たりは?」
「・・・いや、私もトールについてはわからないな」
「そうか・・・近くに入ると思うだけどなぁ」
よくわからないがトールと言う神様を探さなくてはいけないらしい。
いるかもわからない、
「まあとりあえずはこんなもんか。当面の目標はトールの
蒼がその場を
だが、そこに
「待って。ロキがなんかやろうとしてる事も、トールを探さないといけないのもわかった。でも私が聞きたいのはそんな事じゃない。・・・優斗、なんでいきなりいなくなったの」
ありすはこの街にオーディンである蒼を探しに来たのだ。
それが最大の理由であり、他の事など後回しの話しなのだろう。
「俺はなくなった神器を探しに行っただけだ。むしろすぐ戻るつもりが、戻ったらありすの方がいなかったんだぞ?」
朝と同じように口をぱくぱくさせるありす。
「すぐ!?今、すぐって言った!?私は一か月も待ってたのよ!?」
「ん?そんなた
「すまんじゃないわよ!」
オーディンと言う神様はすごく適当な存在だった。
ありすが怒るのも無理はない。
「まあなんだ。お前がこの街に来たおかげで神器の手掛かりがようやっと見つかったんだ。ほめてやろう」
ありすの頭をぽんぽんとする蒼。
それをありすは払いのけた。
「そんな事はどうでもいいのよ!いや、神器がとられたのはどうでもよくないけど!」
「なあ、なんでありすは蒼の事がわからなかったのに蒼はありすがこの街にいたってわかったんだ?」
俺はそんな
ありすが蒼の事を
「ん?まあありすは俺の
その言葉にありすは少し顔を赤くしていた。
力を使ったというのは不良狩りの時だろう。
「じゃあなんで学校に転校してきたのさ」
「あの学校には何かがある。そう思ったからだ。ありす、お前もそう思ったから転入したんだろ?」
その場はそこでお開きとなった。
蒼が言うにはうちの高校に神の
それがトールのものなのか、ロキのものなのか。
はたまたそれ以外のものなのか。
詳しい事はわからないらしい。
だが、そうなると俺は知らずに神様と(縷々はとりあえず置いといても)学園生活を送っていたことになるわけだ。
次の日からトールとロキの情報を集めることになった。
学校が休みの間は学校の外を。
学校の日は学校の内部を
だが、当てのない物を探すのは一苦労どころではなく、何の情報も得られずに日にちはす
ロキからの
それから約一週間もたたないある日。
昼休みにいつものように俺と
縷々はまだ退院していないが、明日には退院できると言う話の最中だ。
「よかったな、
君丈は売店で買ったパンを食べながらそう言う。
だが
「まあな」
君丈に神様の話しをしたらどんな反応をするだろう。
そう思わないでもない。
だが、変に巻き込むのもいけないとも思ったのだ。
おそらく話せばなにかしらの協力はしてくれるかもしれないが。
「だから言っただろ?すぐ目覚ますって。
「まあな」
「・・・
「まあな」
色々考えながら君丈の言葉を聞いていると適当な返事ばっかりしている自分がいた。
神様の事を考えていた手前、
「なんかあるなら話してみろよ」
「・・・別に。まあいつか話すよ。お前こそサッカー部の大会近いんだろ。俺にかまってる
「俺は大丈夫だ。なんてったって天才だからな!」
自分の事はやはりそっちのけで俺の事が気になるのだろう。
やっぱこいつホモなのか?
「ちなみにあれから姫野川と
「うぐっ・・・ごほっ・・・なんでありすがでてくるんだよ」
「ほら、そうやって下の名前で呼び合ってるから付き合ったりしたのかなってよ」
特に気にしていなかったが、確かに最初に色々あったのに、下の名前で呼び合っているのは君丈からしたら不自然だろう。
とりあえずのどに
「・・・一回
「悠真、それは男の
「ありすはそれが通るやつなんだよ。多分」
「あんなかわいい子を男と一緒にするとはなぁ!お前もやるやつになったもんだ!」
「うるせえ。
いつもの日常に戻った気がした。
そうさせてくれるのは君丈の
こいつと縷々だけは
それは俺も変わらない。
でも、縷々が隠し事をしていた事はちょっとショックというか
この数日の中で縷々と何度か話している時にいつから神様だったのか聞いたことがある。
縷々が言うにはフレイヤは
最初は
この街は神様が集まるという
ちなみにフレイヤと会ったのは小さい頃で、俺とも会う前からだったと縷々は言った。
放課後、縷々の病室に集まり、ここ数日
だが、結果は昨日までと同じ。
誰も情報は持ってこれなかったのだ。
やはりいるかもわからない人物を探すのは
「なあ、トールもロキもいないんじゃないか?」
そう切り出したのは俺だ。
正直
「トールに
と蒼は答えた。
だがしかし、俺もこう続けるのだ。
「その時だって誰かに呼ばれて
「あー、それに関しては俺のせいだ。お前らの戦い見てたって言ったろ?その時に俺がいることがばれたみたいでな。そのフェンリルは俺の事を
オーディンを見つけたから
だとしたらありすの時と同じで
「だとしたら
邪魔をされたくないなら
だけどあれから襲撃は一切ない。
俺はそこに
少なくとも俺ならそうするだろう。
「私は悠真君やありすちゃんが襲われないならー、その方がいいけどなー」
縷々は相変わらずのんきな事を言う。
それは俺のセリフだと言うのに。
「あれあれー?縷々ちゃんは俺の事は襲われてもいいのかな?」
「蒼君はオーディンでしょー?それにフレイヤも自分の身くらい自分で守れって言ってるよー?」
縷々もフレイヤも何故か蒼には厳しかった。
二人的には神様なんだから大丈夫と言う
「俺も
そんな話をしていると、
入ってきたのは君丈だ。
お
手にはコンビニで買ったであろうお
「お?なんか
「悠真の
蒼が君丈みたいなことを言い始める。
案外この二人は気が合うのかもしれない。
「ふーん。まあいいや。縷々、明日は学校にこれそうなのか?」
「さすがに朝からってわけにはいかないけどー、三時間目くらいには学校にいけそうだよー」
「そうかそうか。ならよかった」
そこにはやはり日常があった。
俺が思っていたような非日常は
そんな事を最近思うようになった。
というか三時間目からならいっそのこと学校休めばいいのに。
「さて、お
そう言って蒼とありすはその場を立ち去ろうとする。
「悠真、お前は
いきなり君丈が小さい声でそんな事を言い始めた。
「どしたんだよいきなり。後悔って言うなら縷々がこんな目にあったのに後悔しないわけはないぞ」
「
「まあ命に
「・・・わかった」
君丈は
「まあ待てよ転校生。そんな気を使わなくていい。なんてったって俺達は
空気が変わった。
一瞬で
そして俺はその言葉を
なぜ君丈は二人の事を知っている?
「悠真は
俺の日常は、最初から非日常だったのかもしれない。
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