【出会い!!】ホームレスのお仕事!行商人のお仕事!

 ……んあっ!?えっ……!?朝!?

 あっ!皆さんおはようございます!今日も元気な文屋で……ふぁ~~~……。

 あいや!すみません!実は文屋、昨日徹夜をしていたのです!

 え?何でって?勿論!政府の不正を人々に知らせるために新聞を作っていたのですよ!

 いやぁ、しかしあれですね。コピー機が無いと滅茶苦茶きついですねこれ。文屋の手が悲鳴を上げていますよ。

 さて!早速配りに行きましょう!


 とは言ったものの、実は10枚ほどしか作ってないのです。本当はもっと作りたかったのですが、流石に手書きではこれが限界でした。ですので、この宿に泊まっている方の部屋に届けに行きましょう!一人でも読んでくだされば、そこからどんどん人伝に広がっていくはずです!

 ではまず、お隣さんから。ノックしてもしもーし。

「はい?何でしょうか?」

 むっ!金髪のお兄さんが出てきました!ちょっと髪が跳ねていますが寝起きでしょうか?

「どうも!朝方から失礼します!自分、新聞を書いている文屋と言う者です!新聞をお届けに参りました!」

「新聞?はぁ、どうも。えっと……」

「あ!御代は結構です!」

「え、いやいや悪いよ。何かお礼とかしないと……」

「あ!では、もし宜しければお兄さんにインタビューさせてください!」

「インタビュー?まあ、君がそれで良いなら」

「はい!それで良いのです!ただ、今はちょっと忙しいので、後でも宜しいですか!?」

「う、うん。今日の夜なら空いてるよ?」

「分かりました!文屋、しっかり記憶しておきます!それではこれで!」

 何と!まさか新聞を読んでいただけるだけでなく、インタビューの約束までしていただけるとは!文屋感激!!

 いつまでも喜びに酔いしれている訳にもいきません!隣のドアをすぐさまトントン!

 ……おや?返事がありませんね。寝てるのでしょうか?も一つトントン。


 むぅ、どうやら寝てる云々以前に誰もいないみたいですね。一人で無人の部屋のドアを叩く文屋の姿はさぞ滑稽に移ったことでしょう。

 その後も他のドアを叩いてみたのですが、どこも返事がありません。……この宿、経営大丈夫なんですかね?

「おや、文屋クン。起きたのかい?」

 おっ!小父様に声をかけられちゃいました!朝から渋いです!

「おはようございます!今日もバッチリです!」

 そうだ!折角ですから、何枚か小父様に渡しちゃいましょう!そこからお客さんに渡してもらえば手間が省けます!文屋ってば賢いですね!

「小父様!もし宜しければ、こちらをどうぞ!」

「うん?何だいこれ?」

「文屋が真心込めて作った新聞です!滅茶苦茶重要な記事が載ってますから、お客様がいらしたら是非渡してください!それでは、文屋は急ぎますので!」

「えっ、あ、ちょっと……!」

 ええい!文屋を止めようとしても無駄なのです!今の文屋は特急電車なのです!



 やって来ましたシミュナ村ー!と言うわけで、文屋が最初に人と出会った場所に戻ってきました!結構な距離ですが、数々の場所で取材を行ってきた文屋からすれば、この程度赤子の手を捻る様なものです!あっ、実際にそんな事はしませんよ!?文屋は優しいので!

 さて、どこの家に届けましょうか?折角ですから最初に出会ったマイニングさんに渡したいですね。どこにいるんでしょうか?

 ……うん?あそこにいるのは……マイニングさん!?朝から釣りですか!お元気ですね!

「おーーーい!!マイニングさーーーーーん!!!!」

 どんな場所でも響く!これが文屋の声フミヤボイスなのです!!

「おおー!!誰かと思えば!!」

 気付いてくれました!嬉しい限りです!

「おはようございます!マイニングさん!新聞が完成したのでお届けにあがりました!!」

「おお!ついに出来たのか!じゃあ一つ貰うよ?」

「はい!それと、その新聞にはすっごーーーーく重要な事が書いてあります……!心して見て下さいね?」

「お、おう。随分と真剣なんだな」

「はい!とても重要な事なので!文屋も真剣になりました……!」

「分かった。心して見るよ。それと、お礼と言っちゃ何だが、これやろう」

 ん?んんっ!?これって釣竿じゃないですか!!

「え!?良いんですか!?こんなもの貰っちゃって!?」

「おう!ちょっと買いすぎちまってな。場所取っちまいそうだし、一本ぐらいならやるよ」

 やりました!まさかの収穫です!これがあればもう食料には困りませんね!

「ありがとうございます!大事に使わせていただきます!では、文屋はお仕事終わりましたので帰ります!」

「おお、飯は食ってかなくて大丈夫か?」

「はいっ!少ない食料でフル稼働!ブンヤの基本ですから!それではっ!」

 文屋は急いで戻る事にしました!これ以上いては気を使わせてしまうかもしれないと思ったからです!



 ふぅーー、何とか街に戻ってきました。走った事もあって調度お腹も空きましたね。どうしましょうか。

 なーーんてね。文屋どうするかはもう決めてます!向かう先は勿論!リオンさん達がいたバーです!あそこでリオンさん達に今回の仕事を報告すれば……。


『……という訳です!』

『凄い!よく頑張ったわね!』

『本当に凄いですね!尊敬します!』

『ささ、ここは私が奢るわ。食べて食べて!』

『私のもどうぞ!さあさあ!』

『そうですか?じゃあお言葉に甘えて!』


 なーーんて事があるかもしれません!くふふふ……笑いが止まりませんねぇ……!早速、向かいましょう!



 あれ~~~……?おかしいぞ~~~~……?リオンさんもレレイさんもいませんね~~~~……?

 ………………んあーーーーっ!!くそぅ!くそぅ!奢ってもらう想定でいたから、もう体がそういう感じになっちゃってますよ!何でよりによってこういうタイミングでいないんですかっ!

 ふぅ……ふぅ……少し、落ち着きましょう……慌てても何にもなりません。釣りで、釣りで何とかしましょう……。

 まずは、そう川。川を探さなくては……。どこか近くにあるはずです。これだけの店がある街です。こういう街には大抵、川がありますよ……。


 あ、あぁ……ありました……やっと、見つけました……。よし……餌は途中で捕まえたミミズにしましょう……。空腹のあまり食べてしまいそうになったりもしましたが、我慢して良かったです……。

「よいしょっと……」

 針が飛んでいきます……あっ、水面に浮かびました……よし、後は待つだけです……。


 ……んっ、掛かりましたか……んんっ!手強い、ですねっ……!ふん!!

 あっ……!釣れました!釣れました!異世界での初めての釣り!はははっ!やった!見ましたか!文屋一人で釣ったんです!一人でっ!ははははっ!一人で出来るもん!!

 はぁ……少し変なテンションになってしまいましたね……。さて、この魚どうやって食べましょうか?流石に生で食べるのは危ないでしょうし……ていうか、何なんでしょうこの魚?初めて見ますねぇ……?

 ふーむ……見た感じ、変わった所はありませんが……見た事無いのは怖いですね……。ちょっと鉛筆で突付いてみますか。

 えいっ。よっ。ほっ。……反応無いですね。流石に死んでますか。ちょっと鰭も見ときますか。毒針とかあったら嫌なんで。胸鰭、問題なーし。腹鰭、問題なーし。臀鰭、問題なーし。背鰭、問題なー……っ!?なっ!?問題ありました!この背鰭……収納出来るっ……!

 こ、この感じ見た事あります!確か……そう確かカジキ!カジキがこんな感じでした!……はっ!と、ということは、この魚……回遊魚!?まさか川の中を止まらずに回遊し続けていると言うのですか!?むっ、ぐぐぐ……興味深いっ!是非標本を採りたい……っ!で、ですが食べなくては文屋の方がもちませんし……骨格標本にしようにも、あれは素手で出来るものではありませんし……。


 はぁ…………諦めましょう。大人しく食べましょう。とりあえず、写真を撮っておいて、後から色々と考えるとしましょうか……。

「お嬢ちゃん。それ、食べるのかい?」

 うん?誰ですか?今から食べようというのに……。

「止めときなよ。それ……毒あるぜ?」

 ……は?嘘ですよね?折角、頑張って……頑張って獲ったのに……食べれない……?冗談にしてはえぐくないですか?

「な?止めときなって」

 ぐぐぐ……!何なんですかこの人は!そんな捻れた唇から文屋を騙す言葉を出しても、意味無いですよ……!もうっ!もう食べますっ!

「おっとっと、駄目だって」

「あ!何をするのですか!!返して!文屋の!文屋のなんです!!それ!文屋が獲った!文屋が!」

「まあまあ落ち着きなって。別にこれ食わなくても近くに食う所があるんだ。そこで食えばいい、な?」

 ……何なんですかこの人は。見たところ浮浪者?の方みたいですが……。

「ほら、付いて来なよ。腹減ってんだろ?」

 怪しさ満点ですが行くしかありませんね……。今にもお腹と背中が引っ付いて、そのまま突き抜けちゃいそうですし……。



「まだですか……?言っときますけど、変なことしたら文屋のペンが酷い事しますよ……?それに私の知り合いも黙ってないです……!」

「警戒しすぎだろ。俺の顔がこんなだからか?」

「それは関係ないです……。顔で人を判断するのは良くないですから……」

「……良い教育受けてるんだな。ほら、見えてきたぞ」

 んんっ!!文屋の鼻フミヤノーズがおいしい匂いを嗅ぎ付けました!!すぐそこ!すぐそこです!今向かいます!待っててください!ご飯達!!

「……急に元気になったな」


 匂いのもとには鍋がありました!周りには他にも浮浪者の方々がいます!なるほど!炊き出しですね!!

「ほら、そこ座りな。今からよそってやるから」

「はい!」

「お嬢ちゃん、どこから来たんだ?こんな若いのに住む場所が無ぇとは、不憫だねぇ……」

「全く、政府は何やってるんだろうな?俺達もほったらかし、挙句の果てにはこんな子まで……」

「……大方、何もやっちゃいないんだろ……。じゃなきゃ、ここまで酷くはならんよ」

「ほら、熱いから気を付けろよ?」

「はい!いただきます!」

 やっと!食事にありつけました!うぅ……おいしい……!空腹が最高の調味料ってこの事なんですね……!!




 はふ~……もうお腹いっぱいです。他の皆さんも食べてましたが、結構量足りるものですね。

「どうだ?満足したか?」

「はい!もう大満足です!」

「そりゃ良かった。もし良ければ、名前聞かせてくれないか?」

「文屋!文屋千尋です!」

「フミヤか。俺はこの辺でホームレスやってる、ヒュー・ブーンって言うんだ。宜しくな?」

「ヒューさんですね!よろしくお願いします!」

「で、こっちの奴らが……」

「ヒュー、いいよ。俺達に名乗る名前なんて無ぇ」

「だな。まあ名前とか無い方が気楽っちゃ気楽だしな」

「……そうだな。最早、ワシらにとって名前は意味を成さない存在だ」

 どういうことでしょうか……?

「ああ、すまん。辛気臭くなっちまったな。ここら辺に住んでるホームレスは昔、あの大通りに店を持ってた奴がほとんどなんだよ。それが、政府から圧力かかってな……。全員追い出されて、今じゃこのザマよ」

「何があったんですか……?」

「俺らにも分からない。別に違法な売買をしてた訳でもないし、ちゃんと営業許可も取っていた。だが、急に追い出され、こうなった」

 何ということですか……。この国の政府はどこまで自分勝手なのですか!温厚で通っている文屋もこれは許せません!こうなったら……!

「……お嬢ちゃん。何か企んでないか?」

 んあっ!?ば、ばれた!?

「その驚いた顔……やっぱりな。止めとけよ。ガキが首突っ込む事じゃないぜ?」

「そうそう。こういうのは大人に任せとけばいいんだよ」

「ですが……!」

「なぁ、君。俺らが何の当ても無くこんな風に余裕ぶっこいてると思ってんのかい?」

「ワシらを支援してくれている者達がいる。支援してもらう代わりに、ワシらも彼女らを手伝う様にしている」

 支援?確かに、この量の炊き出しは誰かが支援してないととても……。

「誰が、支援してるんですか?」

「えっと確か……レレイと……リオン?とか言ったかな?」

 何と!!あのお二人はこんな事もやっていたのですか!ますます尊敬しちゃいます!

「その顔……知ってる顔って感じだな。まあとにかく、俺らはこうやって面倒見てもらってる。代わりに街で情報収集して、あの二人に渡す。そういう取引をしてる」

「大丈夫なんですか?怪しまれたり……」

「おや、フミヤ知らないのか?ホームレスの方が割りと違和感無く街に溶け込めるんだぜ?」

「そうそう。俺が路地裏で寝てても誰も気にも留めねぇ」

「俺が橋の下でボーっとしてても怪しまれない」

「ワシが道端に座っていても、乞食にしか見られない」

「まっ、そういう事だ。俺らには俺らなりのやり方がある。フミヤが気にする事はないんだぜ?」

 む、むむむ……い、言い返せません!確かに、この方達が道端にいても文屋も気にしないかもしれないです……!

「さて、どうする?泊まるとこが無いなら用意するけど」

「あ!いえ、実はとある宿で面倒見てもらってて」

「ん、そうか。なら早く帰んな?俺らみたいなのと一緒にいるとこ見られたら変な噂が立つぜ?」

「わ、分かりました!では帰ります!あの、リオンさん達によろしく伝えておいてください!」

「おう、分かったよ。じゃあな」

 帰りましょう。今日は思わぬ収穫でした。まさか、この街にホームレスの方達がいたとは……。華やかさの裏ではあんな事になっていたのですね……。これは記事にするのは止めておきましょう。あの新聞だけで文屋が目を付けられた可能性もゼロではありません。この件はリオンさん達に任せましょう。しかし、何か忘れているような……。

「おーーーい!!フミヤ!竿!釣竿---!!」

 あっ!そうでした!!

「今戻りまーーーーすっ!!!」




 文屋としたことがうっかりしてました……。さて、一旦宿に戻りましょうか。たまにはゆっくり休みましょう。夜にはインタビューも控えていますしね。ちゃんと休むのもブンヤの基本です!




 ふぅ、宿に着きました。しかし、戻る途中にじろじろ見られていたのは何ででしょうか……?まあとりあえず、中に入りましょうか。

「ただいま戻りましたー」

「ああフミヤクン!戻ったか!」

 うん?小父様、何を慌てているのでしょうか?

「君!これ、本当なのか!?」

「ああ、その記事の事ですか?それでしたら本当ですよ。信用できる方からの情報です」

「そ、そうなのか……」

 あれ?どうしたのでしょう……?もしかして小父様、結構政府の事信じてたんでしょうか?

「ま、まあ分かった。それと……」

「何ですか?」

「釣竿背中に背負うのは止めた方がいいぞ?針がぶら下がっててかなり危ない……」

 あーー……じろじろ見られてたのはこういう事でしたか……。完全に気付きませんでした。以後、気をつけましょう……。


 よし、部屋に着きました。とりあえず釣竿は端の方に置いといて、少し休みますか。ベッドにコローン。

 はぁ、走り回ったからか疲れました。ちょっとだけ、ちょっとだけ仮眠を……。







 はうあっ!?ななな、何の音ですか!?機械音!?

 ん?文屋が持ち歩いてる肩提げ鞄から?音がする物カメラ以外にありましたっけ?

 あー!完全に忘れてました!これ、無線機です!そういえば、最初に化生さんから渡されてました!どうせ異世界だから通じないだろうと思って鞄の奥に詰めてたんでした!

 おっとっと、うるさいですね。このボタンかな?ポチっとな。

 うおう!?化生さんの顔が!まさかの映像付きですか!流石科学部!

「文屋さん!無事!?」

「どーもー化生さーん!お久しぶりでーす!」

「あ……良かった……」

「あはは、化生さん慌てすぎですよー。文屋が生きていけない場所なんて、無いんですよ!地上だけですけど!」

「ず、随分と平気そうだね……」

「ええ。見た事の無い場所ですけど、意外と悪くない場所ですよ?」

「何ていう場所なの?」

 あ…………そういえば、この街何て名前なんでしょう……?来た日からテンション上がりまくりですっかり調べるの忘れてました……。

「えっと、その……この場所の名前は知らないんですけどー……シミュナ村って所がありました」

「シミュナ村……?聞いたこと無い所……」

「あ、化生さん。ここ多分、そちらの世界とは違う所だと思います」

「え……?」

「俗に言う異世界ってやつですかね?何個かそっちの世界と似通ってるところもあるんですけど」

「……」

 あれ?電波が悪いのかな?

「もしもし?化生さん?」

「どうしよ……どうしよ……私のせい……私のせいだ……」

「あの、化生さん?」

「うぐぅっ……!」

「ちょ!?化生さん!?どうしたんですか!?」

「ちょ、ちょっと待ってて……!」




「あの、大丈夫ですか?」

「う、うん……ごめん。ちょっと、胃がね……」

「あ、あまり気にしないで下さいね?文屋は大丈夫ですから!」

「ご、ごめん。私も大丈夫だから……。えっとね、文屋さん。なるべく、動かない様にしてくれる?今からこっちに戻せないか試してみるから」

「え!?いやいや!それは困りますよ!文屋はまだまだこっちの世界を探索しきれてないんです!まだまだ問題山積みなんですよ!」

「そ、そんな我が儘言われても困るよ……!お、親御さんだって心配するだろうし……」

「あ、文屋一人暮らしなんで大丈夫ですよ?」

「…………え?」

「文屋、お爺ちゃんに育てられたんですけど、今はもう亡くなっちゃったんですよ。お父さんもお母さんも会ったことないし。だから大丈夫ですよ?」

「ご、ごめんっ……!嫌な事聞いちゃって……」

「え?いや別に大丈夫ですよ?文屋にはこれが普通なんで」

「で、でもね?そっちに送っちゃった身としては、やっぱり帰る方法を見つけないといけないし……」

「いやぁ、でもですよ?文屋としてはこんなチャンス中々無いわけですよ?この世界の事、色々調べたいわけですよ?なんで、もうしばらくこの世界にいさせてもらえませんかね?」

「……多分、駄目って言っても聞かないよね?」

「そうですね。聞きません!」

「はぁ…………うぅ、分かったよ。じゃあ、せめてお願い。昼と夜の12時には必ずこれで連絡すること。いい?」

「夜はもうちょっと早く出来ません?その時間寝てるんですが」

「え……そ、そうなの……?じゃ、じゃあ20時は?」

「まあそれなら大丈夫です。化生さん早く寝ないと駄目ですよ?体に悪いですよ?」

「う、うん。以後、気をつけるよ……。あの、この後予定ある?」

「ありますね。宿のお隣さんにインタビューすることになってます」

「そっか……じゃあ私は一旦切っといた方がいいかな?」

「そうして下さると助かります」

「分かった。じゃあね?」

 ふぅ……まさか化生さんからとは思いもしませんでしたよ!でも、見知った顔を見ると安心しますね!

 ん!?もうこんな時間ですか!?こうしちゃいられません!急ぎましょう!




 よし、インタビューの準備は出来ています!それでは……コンコンッ!

「はい。フミヤさん?」

「はい!文屋です!インタビューに参りました!」

「あ、どうぞどうぞ入って」

「それではお邪魔します!」

 ふぁ~~、部屋中荷物だらけです!もしかしてこれ全部持って旅してらっしゃるんでしょうか?

「えっと、では宜しいですか?」

「うん。あっ、ベッド空いてるから座っていいよ?」

「はい!ではお言葉に甘えて……。それでは早速ですが、お名前とご職業をどうぞ!」

「僕はゴードン。職業は行商人かな」

 何と行商人!これはいろんな話が聞けそうです!

「ゴードンさんですね!ではゴードンさん。ズバリ!今一番売れてる商品は何ですか!?」

「今かぁ……う~ん、そうだね。今売れてるのは、ル・サンチェ島で採れる砂かな?」

 む!聞いたこと無い名前が出ましたね!

「ル・サンチェ島とはどのような所なんですか?」

「あれ?フミヤさん知らないの?皆知ってると思ってたんだけど……。まあいいか。ル・サンチェ島はこの街から南東に下った先にある島でね。観光名所として有名なんだ。そこの砂浜ではそこでしか採れないキラキラ光る砂があってね。お守りとか、観賞用に買いたいって人が多いんだよ」

 光る砂!ふむむ、確かに女性とかに人気が出そうですね!

「もし宜しければ見せていただくことは可能ですか?」

「砂を?いいよ。ちょっと待ってね」

 見せてもらえるようです!わくわく!どきどき!わくどき!どきわく!

「これだよ。光って見えるでしょ?」

 皆さん!凄いですよこれは!ホントに瓶に入ってる砂自体がキラキラ光っています!これは人気なのも納得です!ちょっと写真撮っときましょう!

「お、写真撮るの?珍しいカメラだね?後で見せてね」

「はい!では少し失礼して……!」

 正面!横!持ち上げて下から!斜め!真上!よしよし、撮れました!

「ありがとうございます!では次に、そのお仕事をしてて大変な事ってなんですか?」

「そうだね。やっぱり、品物を壊さないように運ぶ事かな?折角高価な商品を仕入れても、壊れちゃったら意味ないからね」

「そうですね!文屋も写真が無くならない様に気を付けているので、その気持ち分かります!」

 やはり、どのお仕事も商品が第一ということですね!

「では、遅くなってはいけないのでこれで最後の質問です。ゴードンさんがオススメする国や場所はどこですか?」

「僕のオススメかぁ~……難しいなぁ。どこもそれぞれ良さがあるからねぇ……。でも、まあ強いて言うならさっきも言ったル・サンチェ島かな?」

「その理由は?」

「やっぱり観光名所という事もあって賑やかだし、食べ物も美味しいんだよね。後、あの砂浜は一度生で見た方がいいよ。凄く感動するから」

 ふぅむむ、こんなに推されたら行きたくなりますねぇ……!ちょっと考えておきますか……!

「なるほど、ありがとうございました!これでインタビューを終了させていただきます!御協力ありがとうございました!」

「僕なんかで良ければいつでも歓迎だよ。ところで、そのカメラなんだけど……」

「あ、これですね?どうぞ!」

「ありがとう。……ふーむ、変わった見た目だね。凄くコンパクトだ。これ、どこで売ってたの?」

 あっ!し、しまった……これ、どう言えばいいんでしょう……?流石にホントの事言っても信じてもらえないでしょうし……。

「あー、えっと、それ、祖父が作った物なんですよ?なので、文屋にもちょっと構造が分からなくてぇ……」

 こ、これでいけるか……!?

「なるほど。君のお爺さんが……。これ凄く良く出来てるね。特にこの撮った写真を画面に写す構造。これ、再現できたら大発明だよ」

「あ、ははは!そうですか!天国の祖父も喜びますよーー!ははっ……!」

 な、何とかいけました……!ば、ばれませんよね?

「よし、ありがとう。返すよ。凄いね君のお爺さん。他にも何か作ってたりする?」

 ししし、しまったーーっ!商人魂に火が点いてしまった!根掘り葉掘り聞かれる!やめて!お花が咲かなくなっちゃう!!

「あーーーー!すみません!もう文屋寝る時間です!!すーみません!明日も早いのでーーっ!」

「あ、そうなんだ?ごめんごめん。僕も明日早いからもう寝るよ。ごめんね?時間とる様な事して」

「いえいえいえいえ!とーんでもない!それではグッナイ良い夢をー!」






 ふぅ……な、何とか誤魔化せました……。危なかったです……。

 き、今日はもう寝ましょう。明日はル・サンチェ島に行く手段でも探しましょうか……。

 それでは皆さんお休みなさい。グッナイ良い夢をー……。

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