【吉報!!】身分違いの紳士と淑女、結ばれる!輝かしい未来へ!!

「こら、起きなさい」

 んむ……!?何ですか!?一体誰の声ですか!?

「君、こんなとこで寝ちゃ駄目だろ?」

 おやおやこれは!何とダンディーな小父様でありましょうか!お髭がダンディーです!オゥッ、ダンディー!

「帰るところないのかい?」

 ン!これは、いかがわしい事でもする気ですかな!?止めて!乱暴する気でしょう!エロ同人みたいに!エロ同人みたいに!……ちょっと今のは寒かったですね。

「えっと、はい。実はお金が無くてですね」

「はぁー……うち宿屋だけど、泊まるかい……?」

 おお!何という巡り合わせ!これも文屋が普段からいい子にしてるからですね!折角なので、お言葉に甘えちゃいましょう!

「いやぁすみませんね。どーもどーも、それじゃあお言葉に甘えさせていただきますよ?」

 新たなスクープの予感!感じちゃいますっ!ビクンビクン!


「さ、ここだよ。二階の奥の部屋は開いてるから」

 何とも風情のある宿屋です!ちょっと汚れた感じが隠れた名宿屋って感じです!

 では早速!お部屋に一直線!

 夜ーの宿屋ーでガオー!おお何と!部屋もそこそこの広さがあって満足出来ます!新聞も書き放題ですねぇ!!

「君、あんまり騒がないようにね……?」

 注意されちゃいました……!これは不覚……!気をつけなければいけません……!


 ベッドでゴロゴロ!皆さん!ベッドでゴロゴロでございます!何たるふかふか!心地よい感触よ!!

 …………おや?今隣の部屋から声が聞こえました。何でしょう?ちょっと耳を壁に当ててみましょう。

「……本当にお別れなのでしょうか?」

「ええ……父さんが決めた事ですから……」

「そんな……」

 むむ!何やら重い雰囲気!文屋こういうのは苦手です!

「……やっぱり、父さんにもう一度話してみます。今回の見合いの事」

「ですが、それではあなたが……!」

 ……なるほど。親によって引き離されそうになっている男女ですか。

 んんむ……聞いた手前、放っておくのも……。

「いいんです。それじゃあ、今日はこれで」

 ドアが閉まる音です。男性の方は出て行ったみたいですね。

「どうして……こんな……」

 ……ええいっ!何を迷う事があろうか!文屋はブンヤ!スクープの匂いがするならば!例え火の中水の中溶岩の中!突き進むのみ!

 文屋は部屋を飛び出します!今の文屋はジェット機よりも速いのです!

 そして、部屋のドアをコンコン!

「はい……どちら様でしょうか?」

「こんばんはご婦人!自分、文屋という者です!大変不躾ながら、話を聞いてしまいました!」

「あっ……!お願いします!この事は誰にも言わないでください!彼の家に迷惑が!」

「ご安心ください!その様な真似は致しません!この祖父から貰った万年筆に賭けて!」

 ご婦人は信用してくださったようで、文屋を部屋に入れてくれました。

 あっ、ここはオフレコです。信用問題ですから。



 さて、聞いた話をざっくり纏めますと、あのご婦人と話していた男性は貴族の方らしく、お見合いの話が来ており、あのご婦人と別れなければならないようです。まあ、所謂政略結婚ですな。

 どうしたものでしょうか……。お見合いは明後日あるようです。場所はあの貴族の方の家。うかつには、近づけませんねぇ……。

 ん!?文屋いい事を思いついちゃいました!これはいけるかもしれません!

 そうと決まれば隣の部屋へゴーです!


「あの、どうされたのですか?」

「いい方法を思い浮かんだのです!」

「ほ、本当ですか!?」

「はい!ですが、あなたにも相応の覚悟が必要になります」

「……大丈夫です。あの人のためなら」

「では説明します。まずは当日、あなたと文屋があの方のお屋敷を朝から見張ります。次に、お見合い相手の方が来たら、文屋がその周りで新聞を配りますから、その混乱に乗じて、あの方を連れて逃げてください」

「あの……そんなに上手くいきますでしょうか?」

「自信があります!ただ、一応あの方にも伝えておいて下さい。まだ、一日猶予はありますから」

「分かりました。明日、お話します」

 納得されたようで安心しました!我ながら無理のある作戦だと思っていましたが、自信が湧いてきました!そうと決まれば、早速作業に取り掛からねば!それでは一日、作業に集中させていただきます!




 どうも皆さん!朝です!いよいよ作戦決行の瞬間が迫っております!側にはあのご婦人もいます!いい匂いがします!

 むっ!馬車が来たようです!人通りも十分!では行って参ります!

「とくほーーーーう!特報だよーーーーーーっ!!何と!あの有名な貴族が!平民の私達にお金を恵んでくれると発表したよーーーーーーーっ!!!」

 ふふふ!集まってきました!押すな押すなのてんやわんやです!これなら、行けますね!後が怖いですが、まあ仕方ありません!

 あっ!今ご婦人があの方と出てくるのが見えました!やりました!!幸い気付かれてはいないようです!文屋もそろそろ切り上げましょう!

「押さないでー!無料だから!全部持ってけドロボーーー!!」

 よし!ばら撒いた隙に逃げます!皆さんすみません!ブンヤでありながら嘘をついてしまうとは……深く反省いたします!



 お屋敷から離れたところで文屋はあの二人と再会しました。手を繋いでおります!仲良しカップルです!

「本当に、何とお礼を言えば……」

「あなたが手助けしてくれたのですね。本当にありがとうございます」

「いいんですよ!文屋に出来る事をしたまでです!ささっ!早く馬車へ!なるべく遠くへ行くんですよ!」

「はい!ありがとうございます!」

「あの、せめてお名前だけでも教えていただけませんか?」

 こんな定番な台詞言われるとは思いもしませんでした。文屋驚き!

「文屋です!ブンヤ一筋、文屋千尋!」

「フミヤさん!それでは本当に!ありがとうございました!」

 お二人の側に馬車が来ました。お別れですか。短い付き合いでしたが、少し寂しいものですね。

 おやおや、お二人とも馬車に乗るなりキスなんて……ああっと!!いけません!!ここからはオフレコですオフレコ!!文屋の新聞は無粋なものカットします!!



 ふぅ、いい仕事しました。あの二人なら大丈夫でしょう!シャワーでも浴びて寝ますかね!


 なんですか!これは!何でお湯が出ないんですか!!水も滴るいい女とでも言いたいんですか!?褒めたって一面記事位にしかしませんよ!あの小父様に文句言いに行きましょう!

 ……ん?「シャワーは水しか出ません」?……書いてあったのですか。ならまあ、文句は言えませんね……。仕方ありません。冷水シャワーで我慢しましょう。

 ううっ……海外に取材行った時以来ですよ……。さむさむっ……!


 うっ……ももも、もう寝ましょう。流石に冷水はきつすぎます……。

 それでは皆さん、おおお、おやすみなさい……。つつつ、次は皆さん興味ありそうなモンスターでも取材しますかね……!へへへ……!

 今度こそ本当におやすみなさいです!




 へくしっ


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