第20話 予想外の出来事
この腐れ幼女愛好家は存在してるだけでギルティだ。幼女とみれば見境なく求婚しやがって。昔、俺っちたちがどんなに苦労したことか。魔王軍が嫌いな理由の一つは、こいつが居るからなんだよな。
しかし、ドロシーとはまだ会って無いだろうな。アレフィだから膝蹴りで済ませてやったが、ドロシーにまで求婚してたら息の根を止めてやる。
「相変わらずの腐れっぷりだな」
「いたたた。相変わらず無茶をするなぁ。それに、僕は純愛だよ? 腐れてるとか失礼な」
「お前ぇ、レオノール譲と結婚したんじゃなかったのか」
そう、コイツは100年ほど前に結婚したはずなんだよな。大地の小人族の女性と。『永遠の幼女と添い遂げられる~』みたいなことを言っていたはずだが。大地の小人族、俗にいうドワーフ族の寿命は200~300年ほど。まだ死に別れるほどじゃないはずだが。
「レオノール・・・・・・そう、愛し合った彼女とはもう終わったのさ」
「あれほどに愛し合ってたのにか?」
隣の夫婦みたいに仲が良かったはずなんだが。むかつくんで、物理的に何度も地に沈めてやったのは良い思い出だ。
「あれだよ。レオノールの目尻に小じわが・・・・・・」
「相変わらずサイッテーだなお前! 純愛は何処に行ったんだよ! 純愛は!」
その程度で別れるとか・・・・・・。まぁ、そんなやつなんだよなコイツは。幼女は年が若いから幼女であって、その幼女もいつかは成長し大きくなる。成長すると、こいつは平気で乗り換えるからな。マジでクズ野郎だぜ。
そこそこ強いから物理的排除も難しいしな。強くはないがあの回復力は厄介だ。コイツが魔王軍所属じゃなくフリーだったら、俺っちが責任を持って処分してやれるのだが、先代へ借りがあるからなぁ。一応は、魔王軍と表立っての抗争は避けなきゃなんねぇ。
そしてコイツは無駄にイケメンな分、更に始末が悪ぃ。それだけ女の子が引っかかる率が高いからな。寿命の比較的長い大地の小人族とくっ付いたから、コイツの毒牙にかかる女の子が減ったと皆が喜んだものだが・・・・・・100年くらいの平和だったなぁ。
「お前ぇ、そのうち刺されるぞ」
「もう40回くらい刺されたよ。でも、僕は優秀な治療師だから問題ないね」
刺されても反省しないとか、もう手遅れだな。主に頭の中身が。
俺っちがそこそこ本気で攻撃しても、すぐに回復するくらいには優秀なんだよな。面倒なことに。
「刺されて即死んでりゃ世のため人のためだったのにな」
「僕は簡単には死ぬわけにはいかないんだよ。女の子を幸せにする責務があるからね」
女の子っても幼女限定だがな。だが、目尻の小じわくらいで相手を変えんなよな。こいつに何人の子が泣かされてきたことか。
「今度刺されそうな状況になったら言えよ。致死性の猛毒をその相手に渡しに行ってくるからよ」
「はははは、相変わらず冗談きついよね」
「冗談? なにがだ? 仕事がら、解毒剤も解毒魔法も効かねぇ良い毒を知ってるんだよな」
「はは、はははは・・・・・・」
こいつは闇に葬った方が、世のためになると確信できるぜ。
「そんな事よりそこのお嬢さんだよ! 可愛らしいお嬢さん。僕と一緒に行けばたくさん甘やかしてあげるよ」
「相変わらず口説き文句もサイッテーだな」
「え? 可愛らしいお嬢さんには働かせられないじゃないか」
お前が幼女しか狙わないからだろうが。幼女が労働とかそんな鬼畜な・・・・・・あれ?
うちは、ほら、アレフィは『盟約者』だから。児童就労じゃなくお家のお手伝いみたいなものだから!
俺っちは現実を誤魔化すために、目の前のクズの足先から金串を抜き、事務所の外へ蹴りだしてやった。
クズを放りだした後、俺っちも外へ出てアレフィを呼んだ。
「アレフィ。外へ出て元に戻ってみろ」
この駄龍の本性を見たら、このロリクズでもさすがに諦めるだろう。
「アレフィちゃんって言うんだね? 実に素敵な名前だ」
正式な名前じゃねぇけどな。正式の名前は・・・・・・なんだったっけか?
「ちょっとまってねぇ」
「アレフィに勝ったら連れて行っても良いんじゃねぇの? アレフィに勝ったらな」
「僕が彼女と戦う? 戦うのであれば、保護者っぽい君じゃないのかぃ?」
「いや、アレフィで良い。あいつはああ見えても結構強いからな」
「男なら二言は無いね? 今の僕の魔王軍での序列は7位。こう見えて結構強いんだよ? 君の家に居るってことは剣聖の弟子で、年の割には強いのかもしれないけど、大丈夫、ケガはさせないよ。僕は優しいからね」
連れていくのは構わんが、たとえ勝ったとしてもアレフィが納得しないと連れていくのは無理だわな。しっかし、あのヒョロイロリコンが、いつの間にか7位とはね。実力的にはまったく脅威に思わないんだが? 魔王軍も先代が辞めてから全体的な実力が落ちてるんじゃねぇ~の? もしくは俺っちが、あの頃に比べて強くなったか・・・・・・だな。
それに、アレフィはタダの幼女じゃねぇから、そうそう負けるとは思わんし。精神が幼女でも一応は龍種族だしな。一応は。
実力はそこそこの回復特化が勝てるほど、龍種って存在は甘くはないよな。まぁ、俺っちならアレフィ程度には瞬殺できるだろうけども。
「いっくよ~」
アレフィは外へ出てくると、服を脱ぎ散らかすと元の龍種への変化をし始める。
「ななななななんだってぇっ!」
マヌエルは、イケメンフェイスを大きく崩し、間抜け面をさらしていた。
「準備できたよ~。マスター、狩ったらご褒美くれる? 最近は狩るのは得意だしねぇ~」
「ちょっと待ってくれよ! これはないんじゃないかぃ!?」
アレフィとの狩猟任務は、多いからな。最近はある程度の手加減を覚えたのか、潰すことなく捕獲できるようになってきた。ますます俺っちが楽をできて良い事だ。
マヌエルが何かほざいてるが、承諾したのはお前ぇだ。聞く理由はないな。
「アレフィ、GO!」
「あいさ~」
「あぎゃあぁぁぁぁぁっ!」
魔王軍の中では上位に位置するとはいえ、対するアレフィは一応は龍種。そして、龍種は魔法抵抗が馬鹿みたいに高い。そんな相手に、ただの魔法系魔族が勝てる訳もない。龍種を狩るには前衛系じゃないとな。
マヌエルは、なすすべもなく蹂躙されて、ボロボロにされていったのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます