物語の扉を静かに閉じるのは難しい

夜半の枕語りも猫のしっぽも、長ければ良いというものではない。
短編は難しい。
描ききらなかったカメラロールを、全て読み手に明け渡して筆を置くのだから。世界は切り取られ、エッセンスに蒸留され、カスクに詰めて出荷され、ボトルからショットグラスへ注がれ、天使と悪魔の攻防を経たのち、なんらかの芳香を燻らせながら味わわれる。
喉を鳴らして酒精に酔うもよし、2軒目に向かうもよし。
(つぎは「ご冗談でしょう、ファインマンさん」を読むことにします)