第2話

 雨が降り注ぎ石を穿うがつ音と俺の鼓動と、どちらが早いだろうか……

 俺の顔の近く、もう少し近付けば唇が触れそうな距離。シヲリは静かに目を閉じている。だが俺にそれをする資格はなかった。

 起き上がると、暫くして寂しそうな表情のシヲリも身体を起こす。

「……この雨の日によくシテくれたのに……いじわるね」

 シヲリはそのまま庭に飛び出した。雨足はさっきよりも叩き付けるように降っている。

 見る見るうちにシヲリの服はびしょ濡れになり、頂きにある小さな隆起が露わになる。この世のものと思えない儚さと妖艶さに刹那、心を奪われた。

「トウヤさん……またシテよ。雨の中で私と繋がって」

 縁側にいる俺を誘って手を伸ばすシヲリ。いつも手にしたいと夢にまでみていた人が俺を呼んでいる。

 俺は吸い寄せられるように庭に出た。雨に濡れて身体は冷えるばかりなのに、芯は滾るように熱い。

 硬くシヲリの腰を引き寄せ抱擁する。

 シヲリの声が耳たぶを擽る。心地よい甘美な響きだった。だが、シヲリはうなされたように同じ言葉を口にした。

「トウヤさん……雨に包まれて私をいんして」

 

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