第2話 ライブと涙と鼻水と
アイドル消失。2部
【ライブと泣き顔と鼻水と。】(1話Bパート)
【アイドル】それは今まで、ディスプレイ越しに応援するだけの存在だと思っていた。画面を挟んで憧れを抱く存在。そんな関係性が私には丁度いい彼女達との距離感だった。
自分は今も、これさらもこの場から声援を贈る側なんだと思っていた。
だけど今、目の前に広がる光景は、アイドルの勇姿。ではなくて視界一杯に広がる人。人。人の群れだった。
飛び交う奇声に野太い歓声、ひしめく男性客...
すごいな。色々と。本当はこんなはずではなかったと圧倒され、これは夢か幻か!と絶句し、にその光景に圧倒される。
そもそもこうなるはずではなかった。
今まさに自分が熱烈な視線を贈る側ではなくその彼女達と共にライブステージに立たされていた。本当ならこの場に立つことなど一生叶わなかったはずなのにとしみじみとそう思い、隣に立つメンバーを見て思う。
*
控え室に通されるや否やそこからはあっとゆう間だった。自分の立場を説明する隙など与えられぬまま着替えさせられメイクを
『私、意外とイケるじゃん!』つい声に出てしまう!?
「ちょっと人が感傷に《かんしょう》に浸ってるところを勝手に声当てしないで!!」後ろから撫子ちゃんに茶々を入れてきたのにツッコミを入れる。「どうかした?!友希!自分の姿なんてじっと見て、
「いや、なんでもないよ...うん。」自分の変わり果てた姿を見て嬉しくも悲しくもある。だから!「いや、実はね撫子ちゃん。実は私、」そこで言葉が留まる。今、言わなければ後戻りは出来ないだから言わないと!!と言葉を
『なんだ!やっぱり
撫子ちゃんがバシッと肩を叩き笑い飛ばしてくれて少し気持ちが楽になったのだった。
やっぱり自分の正体を明かさない。この姿でステージに立ちたいっ!!その気持ちが勝ってしまって何も言えなかった
*
そして、ライブが始まった。
隣に並ぶ撫子ちゃんと顔をあわせてやってやろうとなんとかなる!とゆう気持ちになる。
バッグミュージックが流れ、始めのうちのダンスや全体パートの歌唱はなんとか身振り手振りと口パクで乗り切れた。
だけど、恐れたいた事態は訪れた。
それは、ソロパート。
正直、こればかりはどうにも出来ない。
だって私の推しメンじゃなかったのだから。
正直、各メンバーのソロまでは把握していなかったのだから。
カメラ目線を貰うも何もできづに固まってしまった。。。
ここまでか。
ついさっきまでどうにかなるでしょ。と
浅はかなことを考えていた自分が恨めしい。
辺りに嫌に静けな間が流れるカメラが向き、お客さんの視線が一点に集まる。
っとそこで、ここでダンスが入る流れではなかったはずのところで、周囲のメンバーが目の前でダンスに入ってくれてカメラとお客さんの注意を反らしてくれた??
だけどその間も長くはもたずここが限界かとばかりに左右にとはけてしまう。
ここまでか...と全てを諦めかけその時、救いの手は差し伸ばされた。
自分が歌うはずのパートを代わりに唄って
くれている人がいる??
誰だろう。
それは、さっきから隣で様子を伺っていた
王道アイドルにして我が道を進む邪道アイドル山田野絵こと なで ちゃんだった。
いつもはどうしようもなく人としてもアイドルとしても心配な子だけど、やる時はやる子なのだとこの時は正直、神降臨か!?と天を仰ぎ見る心境で助かった。
そんなこんなで度重なるミスをカバーされぱなっしで無事にライブを終えることができた!
『お疲れー』「お疲れー」ライブを終えたメンバーはお疲れコールをハイタッチ混じりに交わしていく。
『友希ーお疲れー。ウェーイww』と只一人だけ豪快なハイタッチを求めてくるメンバーの声が聞こえてきた。
「なんだ、撫子ちゃんかー。お疲れー。」
あえて、平常心で返す。
「今日は楽しかった??」とライブの感想を求められる。私が撫子ちゃんは私がミスしたことになど一切触れてづに気さくに
「うん。楽しかったよ!凄く。」それは本心からの言葉で、今まで夢中になっていたどんなSNSよりも熱くて面白くてそれは比べることのほうが可笑しいかのような別世界でそんな厚くて熱い体験だった。何かの手違いだったにしろ最後に良い夢を見させて貰った。
楽しい時間はあっとゆう間に過ぎていって
しまった。時間をしみじみと思い返す。。。
はぁー楽しかったなぁー と。
『うん!楽しかったよ。』ここ数年で一番の笑顔を返すのだった。
*
やっとのことで長かった1日が終えての帰り道。全てをやりきった達成感とネト充には、
ちょっとキツい疲労感で重たい帰り道でのこと。その出会いは突然だった。
帰路へ向かうアイメイトが建ち並ぶ東大通りで夕陽を背に自分の向かい側から走ってくる
人影。
『御披露目ライブがーライブがーっ』と泣きじゃくりながら顔を涙と鼻水でぐちゃぐちゃにして
。それはどこかで見たことがある光景だった。でも、その泣き顔には見ていてどこか切なく守ってあげたくなるキュートなものだった。
「どうしたの、えっ?!ライブ??」事態が良く飲み込めないままでもこのままなら確実にマズイことがあった。それは目の前で女の子にわんわんと泣かれるこの光景は、まるで自分が泣かせてしまっているみたいでどうにも忍びない。
「わかった。わかったからここで泣かないでー!?」なだめる。
なんとか一目を避ける為に脇道の路地に入りほどなくして【珈琲倶楽部】と表示されたコーヒーチェーン店を見つけたので中へとひとまず避難することにした。
「どう、少し落ち着いたかな。」
慌てて喫茶店に雪崩れ込みコーヒーとチョコレートケーキを頼んであげて、一呼吸ついているおかっぱの女の子にを眺めてひとまず
「すいません、さっきはいきなり取り乱したところを見せてしまって。」とケーキを食べる手を止めて謝られる。
「うん。それは、いいんだけどさ。何がどうしたのかなんて気になってさ。」と出会った直後からずっと気になっていたことを突っ込んで訊いてみた。
「あぁ、すみません。実は、私、アイドルをやっていて、今日がその御披露目ライブだったんですよ。」と照れながら言ってくる。
「そうなんだー。ってあれ??」どこかで身に覚えごあるような。。。なんて思っているとついさっきまでのライブのことご頭を
「えっっ、もし、よかったら、そのアイドルの名前なんかを教えて貰ってもいいかな。」と恐る恐る訊いてみた。
「えっ。。。はい、NGT48のチームⅢの
とご丁寧に名前とチーム名までも教えて貰い開いた口が塞がらなかった。
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