第8話

その翌日、俺は大学をサボってまた散歩に出掛けていた。何もする事が無かったけど、家で昨日からのあの空気感に耐え続けるよりはましだった。


さすがに手持ち無沙汰になってきて、そろそろ帰ろうかと思って家に向かった。


「ただいま。」

「………。」返事がない。

喧嘩してるからかと1人で納得して、リビングに入った時、俺は信じられない光景を目にした。



「るみ、大丈夫か!…返事がない、今すぐ救急車呼ぶからな!」

るみはリビングで倒れていた。


俺は急いで救急車を呼び、一緒に病院までついていった。



病院に着いたら緊急手術が行われ、俺はずっと待ち続けた。時間にして2時間半くらいだったろうか、しかし俺にはその時間はもっともっと長く感じた。


やっと手術室から医者が出てきた。

「先生、るみは大丈夫なんですか!」

「今は麻酔で眠っていますが、大丈夫です。原因は心臓の疾患です。しかし、かなり重度なので、余命は1ヶ月程かと…」

その言葉を聞いた瞬間、俺はその場に崩れ落ちた。

「も、もうるみは助からないんですか。」

「厳しい事を言うようですが、もう助からないかと。」


俺は体中の水分が全て無くなるほど泣いた。

医者の言葉を信じられなかった、信じたくなかった。るみにどんな顔をして会えばいいのか分からなかった。

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