第5話 閑話1 完全に土木の話。土工とは。用語解説。

 土工の話を少しだけしたい。

 土木工事の基本は土工だ、と僕は思っている。

 建築は専門外なのでビルを建てたりとかは、やったことがないけど、例えば道路に橋を架けたり港の防波堤を作ったりといった工事にはほとんど土工が発生しないんだけど、そういうのは特殊で、そういう工事を専門にしている人でも無い限りは土木の人は土工に対する基礎知識が当然ある。

 僕にしたって、当初は単語さえしらなかった言葉をすでに常識として捉え、使っている。

 でも、やはり土木の人以外には通じていない可能性もあるのであらかじめ概要だけ説明させてほしい。

 そもそも土工とは、土をいじる作業の事だ。

 土工には大別すると切土、盛土、運搬の三つがあり、それぞれが更に細かく作業内容ごとに別れていくのだけど、この切土、盛土という最初の単語でさえ実は専門用語なんだったな、って土木の人はなかなか思い至らない。当然僕も。

 キリド、モリドと読むので湯桶読み的な単語である。

 法面(ノリメン)なんかもあって、土木用語には湯桶読みが頻出するので、知らないと混乱しやすい。

 盛土については一時、ニュースでよく聞いたので覚えている人はいるだろう。

さて、切土とはつまり土を掘削する……掘削って言うのは掘ったり削ったりって、説明が二重になっちゃうね。まあいいや。

 現場で、地形を変化させるために穴を掘ったり、山を削ったりする事を総じて『切土』と表現し、地形を変化させるためにどこかから土を持ってきて積んだり、穴を埋めたりする事を総じて『盛土』と表現する。

 切土で出た土を現場外に搬出するとか、盛土に必要な土を現場外から持ってくる、あるいは土を現場内で動かす事を『運搬』という。

 そんなわけで、僕が「山を切る」と言えば山を削ることだし「盛土に現場内流用」と言えば、その切った土を低地に敷き詰めて均す事を意味するのだ。

 ちなみに、現地が土でなく岩であっても、切土と表現する。

 さらに、細かくなるが『岩』と書いてある場合、土木では大抵の場合において『ガン』と読む。人名か地名などの固有名詞でもない限りは土木ではとにかく『ガン』なのだ。

 この辺も、土木では基本である。土木以外では知らんけど。

 なんでこんな話をわざわざするのかというと『丘に平地を作る作業』と言うのは言い換えれば基準線から上の部分を切って、発生した土を低地側に盛る作業なのである。

 しかも、どうやら今回は少し掘ると岩盤が出そう。

 僕の見積は主にこの『土工』が占め、その他の例えば法面の処理をどうするかとか、排水処理とか、舗装するかとか、土留にどんな構造物を置くかとかはその後のことなのだ。


 時々こうやって言葉の解説を交えた方が話しやすいね。

 それとも、こんな説明なくても皆、読み取ってくれるもんだろうか。


 ついでに言えば、土木の人は地震や台風が来た後はいつもよりずっと忙しいぞ。

18号め!

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