第6杯 マキの姉御は強い!
「よし!まずここやな!」
マキが立ち寄ったのは黒塗りの看板が印象的な店喜多方ラーメン「ここだっちゃ」
喜多方ラーメンとは福島県喜多方市周辺で発症とされるラーメンであり、とんこつ清湯スープをベースにした醤油ラーメンで、平打麺を使用している。
基本的あっさりしている為、朝ラーとしても提供されている。
「ハシゴラーメンの心得!まずはあっさりしたものからや!」
「そうだなここからにすっか」
「俺はどこでもいいけどな」
「パクも食べたーい」
「パクちゃんの分はこのお兄さんが払ってくれるからなぁーいっぱいたべー」
キラキラとした目で飛び跳ねているパクに対し、マキがメンマを指さして言った。
「ちょ!俺今月金欠で……」
何か言うよりも先にマキに胸ぐらを掴まれた。
マキの指さす方向を見るとコンビニがあった。
「はい。行ってきます……」
メンマはコンビニのATMに走ったのだった。
扉を開け店内に入るとラーメン屋独特のあの匂いが広がり、威勢のいい店主とスタッフが「いっしゃいませー3名様でいいですか?」と声をかけてくる。
「あっ4名で!もう一人すぐくるんで!」
「かしこまりましたーテーブル席の方でお待ちくださーい」
木目調のテーブルのある席にマキとルイが座り、店員さんに子供用の高さ調整座布団を持ってきて貰いパクはそこに座った。
「せやなーどれにしようかなぁーいやー肉増しもええな……嫌でも背脂ありもいいなぁ」
「優柔不断だな……早く決めろよ」
「うるさいわアホ!んじゃうちは普通の喜多方ラーメンにネギトッピングにするわ」
「俺は肉背油マシに肉ネギ丼セットだな」
「パクちゃんは何にするん?」
「えっとねーじゃあこれ!」
パクが指さしたのは喜多方ラーメンチャーハンセット。
「そんなに食べれるんか?」
「大丈夫!」
「せやったら店員さん呼ぶで!」
「あれ?メンマお兄ちゃんは?」
「ああいいんいいんあいつはいっつもおすすめって注文する他力本願野郎だから」
「ふーん」
ベルで店員を呼び注文を済ませた。
注文したと同時にメンマが入ってきた。
「くそーATM混んでて時間かかった……注文してくれた?」
「ああいつも通りのおすすめだろ?」
「そうそうわかってんじゃーん」
「な?うち当たってたやろ?」
「うん!ふふふ」
「ん?何が?」
「「なんでもなーーい」」
ルイの顔を見るもスマホを取り出しゲームをしてるのか教えてくれない。
4人は喜多方ラーメンを堪能し店を出た。
「次どこ行く?パクちゃんはもう食べれへんな?」
「ううん!まだまだいけるよー!!」
「よう食べはるんやなぁ!食う女はモテるんやで!なっ!」
目をそらすルイとメンマ。
「おい」
嫌な汗が出るルイとメンマ。
「いやーーー次どこ行こうかーーー!」
話を切り替えるように話し出したメンマ。
「清湯とんこつと来たら次はあそこじゃないか?」
ルイが素早く話に乗る。
「おっまえら……覚えとけよ」
そんなかんやで訪れたのは博多ラーメン風禅分店である。
喜多方ラーメンとは対照的にスープは乳白色をしており、麺は超細麺を使用している。
熊本ラーメンや久留米ラーメンなどと並べて九州ラーメンの有名ラーメンである。
スープは少し濃いめとなっているが紅しょうがやゴマなどを加えることで味にアクセントをくらえることができ、常連は自身の味を卓上調味料で作ることを楽しみにしているものをいる。
「いつか本場のヤツ食べてみたいよなぁ」
「そうだな。本場は違うというしな」
「せやうちら今度の長期休暇で全国ラーメンの旅せぇへん?」
「お!それいいじゃん!」
「それパクも行きたい!」
「せやなパクちゃんもいこなー」
そんな話をしながら店内に入る。
店内は本場をイメージしているのか卓テーブルに何人かで座るタイプであった。
食券制であるために食券を購入するがこだわっている店のため基本の博多ラーメンにトッピングとして色々アレンジする方式をとっている。
マキは葉ネギ、角煮。
ルイはキクラゲ、煮卵。
メンマは明太子ご飯、煮卵。
パクはおにぎり(明太子)、おにぎり(高菜)、葉ネギ、キクラゲ、岩海苔、煮卵、角煮。
メンマはトランプの手札のように食券を広げてご満悦のパクと財布の中を見て泣いていた。
「食った食ったー!」
「はーやっぱりパクちゃんぎょーさん食べるなぁ」
「おにぎり好きなのか?」
「うん!!好きーー!!この世界ではじめに食べたのがおにぎりだったの!!」
「「この世界?」」
マキとルイが不思議そうな顔をした。
「なあメンマもしかしてこの子異世界から来たとか言わへんよな?」
「何!それは少し興味あるぞ!」
興味津々を具現化させた様なマキと中二病を少し煩わせているルイが食いついた。
「そんな分けないだろー……子供の妄想だよ」
「違うもん!パクかみさまにここにつれてきてもらったんだもん!」
「最初にあった時から言ってるよね?どういう事なの?」
「だから!パクはずっと1人で!死んじゃうところだったのをかみさまに助けてもらって!この世界でいっぱい美味しいものを食べて!メンマお兄ちゃんのラーメンをかみさまとの約束で異世界に広めようと……」
ここまで話した時パクはボロボロと涙を流した。。
「あっえっとご馳走様でしたー!」
迷惑になってはならんとマキがパクを抱えて、メンマとルイも店を出た。
「えっとごめんな……別に泣かせるつもりじゃなかったんだ……」
「ひっぐっ……ひっく」
マキの胸に顔をうずめたままメンマの方を見ない。
「あーーもう!メンマが何かやらかしたんはよう分かったわ!今日の麺活は終了!メンマは代わりにパクちゃんと家に帰ってゆっくり真剣に話を聞いてあげな!」
そう言ってマキはパクを引きはがすと無理やりメンマとパクの手を繋がせた。
「パクちゃん!またメンマに泣かされたらお姉ちゃんにいい!今次はボコボコにしてやるからな!」
パクは小さく頷いた。
「よし!ええ子や!泣く女はモテへんからないつでも笑うようにするんやで!それでもつらなったら爆発してもいいんや!大爆発してすっきりさせることも必要やからな!」
(そう言えばこいつ……何回か俺とルイにブチ切れたことあるよな……あの時は手がつけれなかったっけ)
「よし!じゃあ今回は解散や!メンマ今度パクちゃん泣かせたら許さへんで!」
指をパキパキ鳴らされながら言われるとすごく怖い。
「おら!ルイ!はよ行くで!!」
「はっはい!マキさん今行きます!」
言い忘れていたがマキとルイは家同士が仲が良く幼なじみである。
噂では婚約もしているらしいが定かではない。
普段は無口でクールなルイも暴走マキの前では従順な犬ようになってしまうのだ。
「パクちゃん……いやパクごめんね……」
「……………………ううん。パクもごめんなさい」
「パクはもう家族だ!さっきの話も真面目に聞くから帰ったら話してもらってもいいかな?」
「うん!」
気付けば太陽が沈むほどの時間になっていた。
2人は手を繋いだまま仲のいい兄妹のように夕日に向かって家路についたのだった。
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