1章 俺とあいつはギャルゲーマー!? ①
「ふぁ〜...眠い...」
俺の名前は
「おにぃおっはよ〜!」
「ぐはっ!ったく朝っぱらから背中叩くなよ葵」
えへへ〜って言ってるこいつは俺の2つ下の妹の
「なにこっち見てニヤニヤしてんの?キモいよ?」
「べつに〜、今日も葵は可愛いなぁ〜って思ってな」
「なっ!いきなりそんな事言うなバカおにぃ!」
その後もぶつぶつ言っていたが、俺は適当にあしらいながら支度を終えて学校へと向かっていった。
「おっはよ〜神崎〜!」
「ぐはっ!お前までして背中叩くんじゃねぇって!」
「お前までしてってことは...ははぁん、さてはお前また妹とイチャイチャしてたなぁ〜!この羨ましいやつめ!今すぐ爆発して消えてしまえ!」
「ひでぇ言われようだな...」
こいつはボッチな俺の唯一のリア友でありオタ友の
「お前って本当妹好きだよなぁ」
「あったりまえよ!!妹ほど萌える事なんてあるわけが無い!!だって妹だよ?妹なんだよ?最高じゃん!!妹は世界を救うんだ!!世の中みんな妹好きになれば何事も万事解決だ!!」
「あはは...また名言生まれたなw」
「おうよ!妹サイコーーー!!!」
俺も実のことを言うと妹は嫌いじゃない。俺のプレイするギャルゲーの中にも妹を攻略する作品もあるのだが、実際に妹が居ることもあって、妹は恋愛対象というより保護対象って感じだ。
「みんなおはよ〜!」
俺が脳内で妹について考察していると教室前方から明るく特徴的な声が聞こえてきた。その声に続けてクラスのみんなは次々に挨拶を返していく。
「相変わらず委員長の人気っぷりは凄いねぇ〜...」
そう言いながら真人はなにか閃いたように手をポンッとする。
「そうだ神崎、委員長に告ってきなよw」
「そうだなぁ〜...って、はぁ!?なにいきなり言い出すんだよ!!絶対無理に決まってるじゃん!!あんな神オプ持ちの女子攻略出来るわけないじゃん!!」
いや、でも待てよ...これがギャルゲーなら一見、高嶺の花のように見えて実は人に言えない趣味を持っていてそこを受け入れて気軽に接してあげれば...って何考えてんだ俺は!そんな事万に一つどころか億に一つすらありえないって!!
彼女の名前は
-そう、あの光景を見るまでは-
-放課後
キーンコーンカーンコーン
「よっしゃぁ授業終わったぁ〜」
俺は今日も1日耐え抜いた疲れからあくび交じりに伸びをしていた。
「なぁ神崎〜、折り入って頼みがあるんだけどさぁ...」
「やだ、なに?」
「いきなり否定から入んなよ!!俺ショックで泣いちゃうぞ!?」
「どうぞご勝手に。」
「ひでぇな!?...って、そうそう、今日って例のアレの発売日だろ?」
「例のアレ?...あ!そうだった!!こんな事してる場合じゃねぇ!!急いで買いに行かねぇと!!んじゃ行ってくるわ!!」
「ちょ、ちょ、ちょっと待てや!!まだ俺の頼み終わってねーよ!!」
俺がカバンを持って教室を急いで出ようとしてる所で真人に腕を捕まれ勢いのあまり転びそうになった。
「なんだよ!!今はそれどころじゃねぇって!!なにか要件があるなら早くしてくれ!!」
「わかった!わかったからちょっと落ち着け!その頼みってのは、今日俺バイトで買いに行けないから代わりに買ってきてくれ!!ほい!これ!」
これと言って真人は財布からお金を取り出して俺に渡した。
「手間賃としてアイス1つ買ってもいいなら引き受けてもいいぞ」
そうすると真人は「くっ...、これも例のアレのためだ...、致し方ない、よかろう。」と言い契約は成立したのであった。
例のアレとは本日発売のギャルゲーで1作目の頃から大好きだった「俺、ずっとお前の事が好きだったんだ」シリーズ(通称 俺好き)の
「にしても毎度の事ながら、よくこんな神設定思いつくよなぁ...さすがグランファンタジアだわ」
グランファンタジアはギャルゲーを初め、MMOや音ゲー、さらにはアナログゲームといったありとあらゆるゲームを生み出しては世に解き放っているゲーム会社で、なんでも世界中から凄腕のゲームクリエイターを集めてるらしい。デバッカーにも力を入れているのかグランファンタジア作品でバグはおろかチーターも見つかったことが無いのである。
俺は改めてグランファンタジアのすごさを改めて実感しながら先ほど買ったアイスをコンビニ袋から取り出した。
「うーん...勢い半分で買ってしまったが初恋の練乳味ってどうよ...」
しかも、買う時気が付かなかったが「男気たっぷり詰めました!!」って書いてあるし...ええい!考えてても仕方ねぇ!当たってくじけろだっ!!
「う、うまっ!!何これ...こんなにうまいアイス今まで食ったことないぞ!?」
俺はその衝撃的うまさに我を忘れて一気に平らげてしまった。
そうして歩いてるうちに目的のゲームショップまで目の前まで来た所で中から意外な人物が出てきた。
「あ...。」
「あ...。」
その瞬間抑えきれない驚きと、見覚えのあるその容姿に、俺は釘付けになってしまった。
続く
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