古い小屋の先は、緑豊かな世界でした。大学のサークルでアルトサックスを担当する主人公は、その世界で不思議な少女に出会います。サックスと歌を楽しんで手応えを感じた主人公。読んでいるこちらも嬉しくなります。途中で登場する謎の敵は、秩序を重んじて楽しむ心を不要とする存在。それに立ち向かう主人公が格好良いです。時と場合によって、楽しむ心を表に出してはいけないこともあります。しかし、表に出さなくても、忘れてはいけない。この作品を読んでそう思いました。
文章、構成、なんと美しい一作なんでしょう。音楽って楽しいよね、そんな単純なお話かと思ったらとんでもなかったです。クライマックスでは手に汗握って刮目でした。主人公は演奏者ですが、これってすべての事に言えることだと思います。満足するな。情熱を忘れるな。上へ、上へ、上へ! 何より、楽しく、気持ちよく! とても素敵なお話でした。