第4話

朝起きたら、まだ5時半だった。昨日あれから僕宛にメールが彼から届け

られていた様で、朝の9時半くらいに家に来て、と言うことだった。

僕はそのメールには何も返さず、もう一度目を瞑った。


はっ!何かを感じて目を再び覚ました時にはもう9時を廻っていた。

「あーやらかしたなー」と思いながらもまだ時間は少しあると思い、もうスピードで用意されていた朝ごはんを食べ、薬をのみ、歯を磨き、財布と鍵をショルダーに入れ

あっという間に家を出た。

新村の家迄は徒歩で凡そ15分、早かれ遅かれ、100均で買ったアナログ時計は9時24分と指している。多少遅刻してもいいかと思ったこともあるが、昔から、

時間だけには厳しかった両親のお陰で、僕は遅刻する気になんかなれなかった。



自転車に乗ることさえ医者や両親から許されていない僕は、何時もより少しは

早めに歩いた。普段、高校迄はバスか父の車で通学しているので何分もひたすら歩くのは、久しぶりだった。こんな日に限って両親は新村の家まで歩いて行くことを許可してくれた。何なんだよ。。。


予想通り、いや、それ以前に勿論僕は遅刻した。9時46分、16分も遅れて僕は

新村家に到着した。思ったより時間かかったな、なんて考えながら、表札の下に

設置されている、インターフォンを二回続けて押した。新村の「今行く~」という明らか寝ぼけているような声がしてから、二分くらい待ってようやく彼が出てきた。彼は「遅いぞ~」とやっぱり眠そうな二重の目を擦りながら言った。

彼は身長169cmの至ってふつーの身長の僕とは違い、184cmという長身の持ち主であり、バレー部のエースならしい。

彼は、「まぁ上がって」と言うと、二階にある自室に招待した。

彼の部屋にあるものは筋トレグッズとか、ボールとか、そう言うもの有ったけれど、他は、ふつーの高校生と変わらないようなものばっかだ。

部屋の隅に置いてある大きめの勉強机の上には、彼女(佐野)から貰ったものと思われる、劇の台本が置いてあった。もう出来たのか!と関心していると、新村は、「今日は、ゲストが来る」といって一階に降りていった。僕はゲストじゃないのか、、彼の言うゲストが僕のような親友よりVIPなのなら、もっと気になる。

やっぱVIP!って言い方はおかしいのかな?



彼が一階に降りていってからもう7分くらいたつ、さすがに遅いと思ったが、今のうちに劇の台本も読んでみたいとも思った。

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