2章 転生者、出会う。

第15話 魔術の王の記憶


初めは誰かの為に自分の持てる力を振るった。


願いを聞き、弱者を虐げる者を屠り、悪しき心を滅した。


願いを聞き届けた筈なのに、いつしか願った者たちは私を奇異の目で見るようになり、怖れているようにも取れた。


何故私をそんな目で見るの


そんな私を周りは魔の王と呼ぶようになり、


私の周りには何もなく、あるのは滅んだ大地と大量の死体だけ。


―――私はいつから間違えてしまったのだろう。


あの時、持てる力の全てを貸した誰かの名前すら覚えていないことに気付いた。




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