帰って良いっすか?
一瞬眩しく、目の前が光ったと思って、眩しさに閉じていた瞼を開けると、目の前には銀髪の少女が座っていた。
何が起こったかわからず周りを見渡す。
あたりは薄暗く湿気でジメジメしており、壁で囲まれている。壁は岩盤であり、松明が炊かれている。美少女に気をとられて気付かなかったが、彼女を守るように6人の男女が取り囲んでいる。
ここはどこだろう?
そう思っていると、一人の赤いローブを来た老人が一歩前に出て口を開いた。
「ようこそ、姫様を守る勇者よ」
「はいぃ?」
俺は思わずマヌケな声を出した。
「私から説明します」
銀髪の少女は口を開いた。
「私はデンブルグの皇女ヘレナです。」
銀髪の少女は軽く自己紹介をした。
俺はその美しさに目を奪われ、立ち尽くしたが、彼女の隣にいる老人の咳払いで俺は慌てて彼女に倣った。
「俺は諸角亮(もろずみりょう)。日本の高校生です。」
「ニホン?コウコウセイ?」
首をかしげた彼女だが、流して話を進める事にしたらしい。
「我が国は現在、隣国で平原の大国であるウェートが和平を破り攻めてきた事で軍隊は壊滅し、残った皇族は私だけ、という状態です。私は西の国セーヴェまで逃げ延び、セーヴェの力を借りて、デンブルグを再興せねばなりません。」
「そこで西の国にお姫様が逃げ延びるのを手伝うために異世界から俺が呼ばれた・・・そういう訳ですね。状況はだいたいわかりました、でもわからない事もあります。いくつか質問しても良いでしょうか?」
俺の質問に姫様と老人が答えてくれるらしい、姫様は軽く頷いた。
「正直、俺が何かの役に立つとは思えないんですが、他に誰かいなかったんですか?何で俺一人なんですか?」
その質問に対し老人が答えた。
「沢山人を呼ぶつもりで集団を対象に魔法をかけたんじゃが・・・何故か一人しか対象者がおらんかったんじゃ」
俺には思いあたる節があった。
「戦争で負けた総大将を逃がすために無関係の土着の武将が自分の馬を総大将に与え、奮戦し、命を落としました。彼は無駄死にでしょうか?」
偶然にもこの質問が異世界召喚の採用試験になってしまったのだ。この採用試験でもある質問に俺一人が「無駄死にではない」と答え合格したのだ。つーか、教師も無駄死にだと思ってたのかよ!ここに来てないって事はそういう事じゃねーか!
・・・まあ良い。俺は気を取り直し次の質問をする事にした。
「帰って良いっすか?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます