メンヘラ少女に恋をした
ナヅキ 亮
序章
「私、高いところに行きたいわ。高いところって言っても、東京タワーとか、高層ビルの屋上とか、そんなチンケなものじゃなくてね
、歩道橋の上だったり、野暮ったい観覧車とかでいいのよ。そして心から愛する人とただ遠くを見つめていたいわ。
そこにはね、moon riverがかかっているの。」
彼女はそう言って、まるで輝くダイヤが埋め込まれているような大きく綺麗な瞳を閉じ、ゆっくりと鼻歌を紡いだ。
放課後の夕焼けは、僕たちのいる教室を淡く染めていた。そこには僕と彼女だけの世界しか存在していなかった。
僕はただ彼女を見つめた。彼女の長くて艶やかな睫毛から目が離せなかった。
僕はその睫毛を眺めていたいと思った。
メンヘラ少女に恋をした ナヅキ 亮 @kokomero
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