第11話どこまでもマイペースな人達です。
現在俺、霞原 神風は今までにない最強の敵と相対していた。習った剣も能力も魔法すらも通らない。これは、人類最強の敵と言っていいだろう。いや、言う他ない。
俺以外にもこいつと相対した人は沢山いるだろう……そして敗れた。どれだけ逃げようが、逃げれない。標的にした物は、必ず仕留めるまで逃さない……。
そう、『睡魔』という悪魔である。
昨晩飲みまくって酔ったティナベルに剣を教えられた。
その行為に関しては有難いと思う。俺も戦力外から少しは戦線に出られるくらいにはなったらしいしな。
だがしかし、寝ないでずっと剣の練習って辛くない?酔ってたら普通寝てくと思うんだけど……
そしてそのまま時は過ぎ『異世界転生』のアプリは自動インストールされてました。
こうして俺は無睡のままあちらの世界へ戻ることになる。つらぁいよ、かえりたぁいよぉ……あ、今から帰るのか…。
「じゃあー行こーか……」
「眠たそうだな、どうしたんだ?」
「うん君が飲み過ぎて酔って俺に一晩中剣を教えてくれていたんだよ?朝ノルマ達成して君の方見たら寝てたのでその顔ぶった斬ってやろうと思ったよ」
そう、あろう事かティナベルは「お前に剣を教える」と抜かしておきながら彼女は寝ていたのである。
その時は殺意が湧いたよ……あぁ、これが殺意というのか…。
「そうか……まぁ結果的に戦力になったんだから良くない?使えない君を使えるようにしたんだ、褒めて欲しいくらいだよ」
よし斬ってや……
ピコンッ!
この音は、奴か、久しぶりすぎて忘れてた。あれなんだっけ、誰だったけ。まぁいいか、未読でもきっと許してくれるだろう。神だもんうん神だもん。自称だけど。
ピコンッ!
ピコンッ!
ピコンッ!
ピコンッ!
え?いやうるさ。うるさいよ自称神さん……
しょうがないから見てやろう……5通…
【早くアプリ使いなよ!】
【ちなみにケータイ無くてもティーちゃんも行けるよ!】
【ねぇ未読無視?】
【( ´・ω・`)】
【ヾ(`ε´)ノヾ(`ε´)ノヾ(`ε´)ノヾ(`ε´)ノ ぶーぶーぶーぶー!!】
ピッ
よし、帰るとするか!
ピコンッ!
「ちっ」
【え?ちょ、無視?既読無視?久しぶりに登場したのに出てこられるの一瞬だけ?】
めんどくさいな……てか久しぶりに登場て、お前が勝手に出なかったのに…。
【ん、おっけ。じゃーばいばい】
よし、ティーちゃんとはティナベルの事だろう!
一つのケータイで2人くらい行けるのかな……便利だな。
という訳でしゅっ……
ピコンッ!
ピコンッ!
ピコンッ!
ピコンッ!
【(゚Д゚)≡゚д゚)、カァー ペッ!!】
【(゚Д゚)≡゚д゚)、カァー ペッ!!】
【せっかく教えてあげたのにお礼もなしかよ!全く近頃の若もんはぁ!】
【親の顔が見てみたいよ!ヽ(`Д´)ノ】
こいつめんどくさいな……
とりあえず
【ありがとうございました自称神様】
よし、次こそ行こう。さぁ行こうピコンッ!とかもう無視して行こう!
「ルミエル!アプリインストールされてるか?」
ん?
アレ?ルミエルハ?ドコイッタノカナ?
キョロキョロしてるとティナベルもそれを察したのだろう、自分たちが寝ていた部屋を指さした。
「ルミエルならあそこだよ~♪」
「まだ寝てる……のか?」
女の子の部屋ということでそーっと覗いて見る。
ベットには1人の少女が「すぅ~」と、可愛い寝息をたてながら幸せそうな顔で寝ていた。
「ん~、神風様ぁ~」
寝言だろうか、自分の名前を呼ばれドキッとする。
しばらくの間ルミエルの寝顔を見つめていた。それほどまでに惹かれる、何かがあった。
が、そんなの知ったことではない!人が最強最悪の悪魔睡魔と戦っているというのにこいつは幸せそうな顔ですやすやすやすや!許せん!起こそう!
「おーい、ルミエルさぁ~ん朝ですよォ~♥起きないと睡魔への怒りを全てあなたにぶつけますよォ~♪」
「ん?むにゃむにゃ…ふぇ、かず…き様?」
「やぁ、おはようルミエル君いい朝だね!人が一晩中剣を叩き込まれてる間すやすや寝ていたみたいだけどきもちよかったすきつまきりした安眠できたぁ~?」
「ふぇ、か、神風様……そ、その…準備するので少し部屋から出てもらって宜しいでしょうか?」
「ええい!うるせー!さっさとそのふかふかで暖かそうな布団からでろぉ!」
「あ、ちょ!ま、まって!」
何やら頬を赤くして必死に止めていたが気にせず布団を引っペがした。
「ひゃっ!」
「ひゃっ、じゃねーよ、さっさとい…く……ぞ」
ルミエルは両手を胸の前に持っていき、顔を真っ赤にしていた。それもそうだろう、俺が思い切り布団を引っペがし、あらわになったルミエルの姿は、下着だけだったのだから……
終わった……
その瞬間俺は人生の終わりを感じました。
前には白く綺麗な肌をした美少女ルミエル、後ろに殺意に満ちた目をしているティナベル。
いっそ殺されるくらいならば、最後に美少女の下着姿でも目に焼き付け用じゃないか…あぁ、母さん、いつも迷惑かけてごめんよ……ん?待てよ迷惑かけられたのは俺の方か、訳分からん発言毎回聞かされたし……
とかひとりで思いながらまじまじとルミエルを見つめている俺である。
「や、あの、神風様、そんなに見られると恥ずかしというかなんというか……」
「あぁ、すまない。こんな状況は人生で最初で最後だから目に焼き付けようと思って」
「おい、神風」
後ろからティナベルの殺意に満ちた声が聞こえてくる。
俺は震えながらも「はい」と返事をした。
そして鎌を取り出しこう言い放った。
「言い残すことはないか?」
俺は恐れず、もうどうにでもなれという気持ちで、本心をルミエル、そしてティナベルに聞こえるように言った。
「ご馳走様でした♥」
「お粗末さまでした♥」
お前じゃないだろと心の中でツッコミを入れ、俺は思いっきり右の方をティナベルの、拳で殴られた。
やっと寝られる……永遠に…だけどね。
俺が気絶してから何時間経っただろうか。いや、何時間もたっていないかもしれない。右脇腹に何度も振動が来る。
「おい、起きろ変態、ルミエルも起きたしお前の世界に行くんじゃないのか」
「ぁ……は、はいそうです。行きま、しょう」
ティナベルはルミエルの肩に手を乗せ、『異世界転生』を押したルミエルとお先に俺がいた世界に飛んだ。
「俺もとぶか……」
ピッ
画面が光り出す。あまりの眩しさに目を瞑る。そして眩い光にのまれ、俺は元の世界へと帰ってきた。
目を開け、俺が立っていた場所は、自分の部屋だった。
まぁ、何だ、ただいま。俺のユートピア
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