第6話ただいま異世界

今のこの状況を整理してみよう。

まず、家帰る、ケータイある、異世界いく……ゴホン、戻りすぎた。

異世界から帰り部屋にはルミエル=アルン=ティナベルという少女がいた。

なんとそいつはここ(異世界)出身らしく、一体のモンスターからドロップしたアイテム(ケータイ)を使い俺の世界へやってきた。

そして今、24時間経ってからしか機能しない『異世界転生』のアプリが起動し、再び俺は24時間経たないうちにこの地へ戻ってきた。

降りた場所は……そう、”モルテ高原”かつてここはジャ〇イもどきと相対した場所だ。

ちなみにジャ〇イもどきを倒したのは俺ではないさらに付け加えればジャ〇イもどきの名前は”ガルバス”らしい

それはどうでもいいとして、隣にいるこの恐ろしく機嫌の悪い子をどうしようか。


「おーい、ルミエルさ~ん?」


「はい!何でございましょう神風様ぁ!」


さっきとはまるで一変、満面の笑みになった。


「えーと、凄い機嫌悪そうだけど大丈夫?」


「はい、全く問題ありませんわ!ただ、久しぶりにこの血なまぐさい世界に来てしまったせいで吐きそうですわ♥」


「それは大丈夫なのかい?」


俺が言ったあとルミエルは「どちらかというと問題あり……」と付け加え草原のど真ん中で体育座りをしてしょげていた。

ここってガルバスさん大量発生するんだよねぇ~?早く街行きたいなぁ~起きてくれないかなぁ~

そろそろ出てくるんじゃないかなぁ~?

嫌な殺気を感じ後ろを向く……


「ギャオッ」


現れた。現れてしまった。

しかも、以前出くわしたガルバスより一回り大きく、もはやジャ〇イではなく、ドスジャ〇イではないか──

だがしかし──俺には今、『創造』という能力がある。それを使って殺ってまおうじゃないか。


「へっ、その説はどうも、今回は前と違うぜ、創造!剣!」


右手に剣が現れる。

突進してくるドスガルバスさん、俺はそれをさらりと──よけれず腹におもっきり頭突きが入った。


「がふぁう!」


綺麗にみぞおちに入ったドスガルさんの頭。

俺は転げ回る。苦しくて、痛くて、やっぱりこんな世界は来るもんじゃないな。


「ギャォォォォォオ!!!」


勝ったと言う雄叫びだろうか、ドスガルさんは高原一帯に響く声を出す。

うるさい、とでもうるさい。だが、みぞおちが苦しくて耳を抑えられない。

あぁ、またこいつにやられるのかよぉ

ただ一つ、俺は忘れていた。ここにもう一人、いることに。


「うるぅっさぁい!」


バァン!

───これもまた高原に響く音だった。ドスガルさんが破裂する音……

一体何が起こったのかうるさいと叫んだ方を見る。

そこには、返り血を浴びたルミエルがいた。

どうやらドスガルさんを破裂させたのはルミエルらしい……


「ル、ルルル、ルミエルさぁん?」


「はぁい♥なんでございましょぉう♥」


「これをやったのは君かい?」


破裂し、無残に粉々になったドスガルさんを指さす。

あらァ内臓まで粉々に……こわぁ


「はい!私でございます!」


「ZA☆N☆KO☆KU☆SU☆ZI☆」


「そうゆう能力なんでしょうがないじゃないですか」


「あ、お前の能力って何なの?」


「えーと、かなり危険なのであまり使ってはいないんですけどぉ……『破壊』です♥」


「へぇ~、俺は『創造』だ。」


『破壊』か……確かに危険だな、ん?てことはこいつもティナベル同様何かしら武器を持ってんのな。

そんなことより重大な事を思い出した。


「ルミエル、魔力の方は大丈夫なのか?」


「そうですね、私の魔力は無限に作られるという不思議な構造になっているのでどれだけ能力、魔法を使っても死にません♥」


「魔力無限増殖個体とか最強すぎるだろ」


「えぇ、私この世界では最強ですよ」


ルミエルは当たり前でしょう?と言わんばかりにこちらを見つめる。

自分の事を最強と言うルミエルを見て悲しげな顔をする神風はルミエルの肩に手を乗せ、大きく相槌をうった。

──大丈夫、お前がどれだけ危ない人でも俺は……友達でいてやる。──

そう思いながら……


「え、何ですかその顔、ちょ、辞めてくださいよ…この子危なぁいみたいな顔!」


それを聞いて神風は、うんうん、と頷く。

お前は間違っていない。そんな能力を持っていてしかも、魔力無限増殖個体と来た……これを最強、完全無欠、パーフェクトヒューマンと言わずしてなんと呼ぶ。

最強と言う言葉しかないのだ。

だが、その力に頼られ、いつの日かモンスターを全滅させてくれると期待を募らせる街人のプレッシャーに押し潰されそうだった。

そんな時、出会った──あの世界に。


「うん、よく分かった。ルミエル、君は最強ナンダナ」


「なんで最後カタコト!?」


「いや待てよ……俺が前ここに来た時にいたティナベルは…どうなんだ?」


──カラン


なにか鉄のようなものが地面に落ちる音がした。

音の方へ目を向けると、そこには見たことのある──

”鎌”が落ちていた

目線を上げ、そこに立つ人物を見る。

アンリシア=ティナベルである


「お、お前は……人に説明を求めて消えたやつ…ん?」


「あ」


「お前……ルミエル、か?」


なにやら知り合いらしい雰囲気を醸し出し、刻はすすみ、夜へと変わり始める。


とりあえず異世界に帰ってきたということでこの言葉を捧げよう。


──ただいま異世界──

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