第5話彼はもう一度異世界へ行くことになるそうです。
ルミエルがこの世界へやって来た理由
ルミエルがこの地に留まる理由
ルミエルが俺にこだわる理由
この三つが俺の中で悩みに悩み渦をまいている。
「まずですが、私がこの世界へ来た理由、簡単です。上位モンスターを破壊したらなんかドロップしたからです。」
わぁ~ほんとに簡単だなぁ~♥
まぁ俺に関しては郵便で届いたからそれより簡単なんだけどな……
「次に、この地に留まる理由、こちらも非常に簡単です。あちらでは学べない文字、歴史──あちらには無いものばかりあります。こんなにも幸せなことはありません!向こうでは寝ても覚めてもモンスターとの戦いばかり。知識を得ることが出来ず悩んでましたからねぇ……」
「そんに戦いばっかなのか?」
「そうですね、街付近にモンスターが発生するとすぐに通達が来て前線に出されましたから……」
大変だったんだな…
やりたいことも出来ずただひたすらに戦いをしいたげられていた。
この世界では──いや、この国ではそんな事は昔昔に無くなった。
「そうゆうこと、か。それじゃあ向こうに帰るのも嫌になるな。ここは──楽しいか?」
優しく微笑みかける。
だが、彼女は暗い顔をする。
「例え、モンスターがいないとしてもこの世界は、争いが起きます。領土争い、食料争い、宗教による対立。誰もが自身を強いと信じ、自身が一番だと自重する。」
確かにそうだ。
ルミエルのその言葉に、ぐぅの音もでない。
人は争いたがる種族なのだ。闘いに飢えているのだ。自分が……自分自身が最強だと信じ、コマ(人)を使い戦争と言うゲームをする。
「少し、暗い話になってしまいましたね……。明るく行くとしましょう──次は私ことルミエル=アルン=ティナベル!神風様の事を思う理由!でございますね!」
暗い空気を明るくしようと必死の作り笑顔をする。
俺も暗いのは苦手だ。
だから───
「お、おうそうだな!まず聞こう!俺の事をどこで知ったァ!ありとあらゆることを知っていて怖いんだよぉ!」
「ふっふっふそれはですねぇ。先程言いましたこのアイテム!このアイテムの中にあるとーくあぷりとか言うものにいる神様があなたの事を教えて下さるんですよぉ!」
「ケェェェエタイじゃねぇぇぇえかぁ!」
まさかとは思ったがやはりか!やはりお前なのか自称神ぃ!
いきなり大声を出したせいでルミエルは驚いて──るわけではなかった。
──ゴトンッ
したから鈍い音が聞こえる。
「どーしたー母さーん」
「いきなり大声を出したら私の腕に封印されし古龍が解き放たれるでしょ!静かにしなさい!」
目の前にいるルミエルはたいして驚いていないのに下にいる母さんが驚いていた。訳の分からないセリフを吐きながら……
──果たして俺の母さんは大丈夫なのだろうか……。
「えーと、もう大丈夫ですか?」
首を小さくかしげキョトンとした顔で聞いてくる。
俺は大丈夫だが、母さんは末期だろうな…末期ならばしょうがない──放置しよう。
「あ、あぁ悪いな。」
「いえ、のーぷろぶれむというやつですよ。愉快なお母様で楽しそうです。」
覚えたばかりであろう新しい言葉を言う。
それはさておき愉快なお母様で楽しそうです?
大きな間違いである。42歳にも関わらず厨二病的発言を何度も言い、一人楽しんでいる。愉快なんで通り越してもはやただの馬鹿である。
親をこんな風に言うのは悪いと分かっている。
だが、この言葉以外に今の母を表す言葉はない。
というか話がずれていっている。もういい母さん(馬鹿)の話はお開きにしよう。
「おっほぉん!話を戻すとしよう。さっき言ってた『ケータイ』だが、お前が倒したモンスターからドロップしたのはこんなやつじゃないか?」
ポケットに入っているケータイを見せる。
ルミエルは近ずき、俺のケータイをまじまじと見つめる。
「おぉ、神風様と同じ物を所持していると!なんとも嬉しい事ですねぇ♪」
「もってるんだな。」
「もってます。」
これこれと差し出してきたのは俺が使っているケータイと全く同じものだった。
二つのケータイをちかずけた途端、二つのケータイの画面に、
『接続完了』
との文字が出てきた。
すると、まだ24時間経っていないのに、画面に触ってもいないのに──アプリは起動し、俺とルミエルを包み込む光を放った。
目を開けるとそこには、
凄く、ほんとに凄い顔したルミエルが立っていた。
そしてまたしても俺は異世界へ来てしまった。
自称が言っていたことと違うからケータイを開き、自称にこう言い放った。
【矛盾神と新しい名前が付いたことを報告しに来たぞ。】
既読はつかず、完全なスルーをされた。
こうして俺はご機嫌斜めのルミエルと異世界の地へと降り立った。
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