第4話異世界から帰って来ました

アプリを押した瞬間、ケータイは光出した。その光に包まれ俺は、元の世界へ戻った。


「帰ってきた……な。なんか長いようで短い異世界だったなぁ。」


まぁ行きたいと思って行ったわけじゃないからいいけど。

あ、気になってる事が一つあった。


「時間ってこっちは進んでんのかな。」


「進んでますよ?神風さんがあっちの世界へ行ったのが昨日の15時38分、現在の日にちは9月19日15時43分ですもの♡」


「そうか、さん……きゅ…う?」


ん!?

声が聞こえた方へ目を向ける。そこには、元はシングルベットだったはずのベットが、キングベット(真っピンク)になっていた。そこに寝転んで、抱きついて♡、と言わんばかりに手を広げ、抱きつかれるのを待っている、女の子がいた。


「Please come to my place.♡(私の所に来て)」


「断る。」


「んなぁ!」


ウルウルとした瞳でこちらを見てくる。

よく見ると凄い可愛いじゃないか。真っ白な白髪に吸い込まれそうな澄んだ瞳。どこをどう見ようと一級品の美少女だ。

この状況を整理し、把握し、結論を出す。

自称神のせい……だと。

自称神のせいと結論付けた俺は今にも泣きそうな彼女を放置して自称神とのトーク画面を開く。


【おまえだな?】


【え、何が(*´・д・)?】


【俺の部屋にいるあの女の子の事だよ。】


【┐( ;;―д―)┌カミチャンシラナイヨ?】


【すっとぼけんじゃねぇ】


【いやほんとに知らない( 'ω' )】


【じゃああの女の子誰。】


【多分あっちの世界の子じゃない。】


【えらくテキトーだな自称様よぉ】


【自称じゃないよぅ( *`ω´)プンスカ、そんなに気になるんだったら自分で聞けばいいじゃないか!】


ピコンッ

自称から舌を出したスタンプが送られてくる。

どーでもいいな。うん。


【そだな、そっちのがはやそうだしそうするわ。じゃーな自称神さん】


【(`・ω・´)ムッキー!自称じゃないって言ってるでしょ!】


既読無視で会話を終わらせる。

自称の言った通り彼女本人に彼女自身のことを教えてもらう。

──その前に……


「勝手に人の部屋へあがったってことで不法侵入としてポリスメン呼んでいいか?」


「ちょまぁ!待ってくださいよぉ!ちゃんとお母様には許可を得ています!得ているのです!」


何故か2回言った。しかも相当なドヤ顔で。


「ほんとだな?聞くぞ?」


「どぅ~ぞごじゆぅにぃい?」


おわぁ~うぜぇ~喋り方が超うぜぇぇえ!?

こんなにも自身に満ちた目をしている。

しょうがないから信じてみよう。


「へっ、そんに自信があるなら信じてやるよ。それより気になるのが……」


「私があっちの世界からやって来たって事ですか──」


そのセリフを聞いて俺は顔を顰める。

まさに今、その事について聞こうとしていたからだ。

しかし聞く手間が省けた。

彼女の言葉に続け俺は言う。


「そうだ。お前は……あの世界の住人なのか?」


「えー、コホン。わかりましたお教えしましょう。ですがその前に──」


「ん?なんだ、何かあるのか?」


「ルミエル=アルン=ティナベル、これが私の名前です。どうぞお見知りおきを。」


「そうか、確かに自己紹介がまだだったな……俺はかすみ──」


「霞原 神風、童貞、17歳、彼女いない歴は年齢と同じ、最近お母様が厨二病になり始めて困っている。ですね。」


「…………こぇぇえよぉ!何でそこまで知ってんだよ!」


「うへ、うぇへへへ、神風様のことはなんでも知ってますよぉ、うへ、うへへぇ。」


よだれを垂らし、目を輝かせながら俺のことを見る。

行き過ぎたのを感じたのか「はっ」となりよだれを拭いた。


「失礼しました。お見苦しい姿を見せて……」


頬を赤く染め照れていた。

こう見るとちゃんと可愛いじゃないか。

そんな姿もつかの間……


「さぁ!神風様!私とここで愛の巣を築きましょう!」


「話がそれていってるぞ。あと俺はここでお前との愛の巣は作らない。」


「えぇぇえぇえ!いいじゃないですかァ!」


子供のように駄々をこね始めるえルミエル。

駄々をこねたって俺の気持ちは変わりっこない。


「いいからお前のこと教えろよ!」


「もう、せっかちですねぇ!神風さま!わかりましたよ!教えればいいんでしょう!しっかり教えますよ!」


何故か逆ギレされた。

しかし結果的にはルミエルの事を知ることが出来るからまぁいいとする。


「私がこの世界へ来たのは。三ヶ月ほど前のことになります───」


そう言ってルミエルはここへ来た理由を答え始めた。

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