第2話異世界転生しちゃいました

ピコンッ


通知が来た。

自称神からだった。


【(」・ω・)オッス早速アプリ使ったみたいだね。】


【よし、ここがどこか簡単に教えてもらおうか。】


まじでどこ。ここどこ。もう1度言おう……ここどこ!……


【ん?ここがどこかって?決まってるだろ?リアルに飽き飽きした人が憧れる異世界!そう異世界!分かるかい?異世界だよ!うっひょぅ!】


通知を見る限り自称神はここへ来たのを相当喜んでいるらしい。どんだけ異世界好きなんだよ……


【うん異世界だね。名前通り異世界転生しちゃったね。ところで私は元の世界に帰れるのですか?】


【帰れるよ( •̀ω•́ )و】


だよな、普通に帰れたら異世界転生した意……

ん?

今帰れると言ったか?言ったよな。確実に言った。いやまて、ほんとに言ったのか?

あ、履歴見れば分かるわ。

言ってた。


【帰…れるのか?それって異世界転生する意味あるのか?】


ないだろ確実に。だって普通異世界行くなら帰れないじゃん。だから帰るために色々と手を尽くすんだろぅ?

なのに帰れる。

へぁ?よし、念のためもつかい言っとこう

へぁ?よし。


【そりゃ帰れるでしょ。帰れないとお母さん心配するじゃん。馬鹿なの?親御さんに迷惑かけたいの?】


【よしお前は今から異世界ファンタジー書いてるラノベ作家たちに土下座してこい。】


【☆K★O☆T★O☆W★A☆R★U☆】


…………神とはこうも腹立たしいものだったのだろうか。世界を創造した神は…世界の創造主はこうも人をイラつかせる者だったのか。

俺は思う。これでは世界の創造主ではなく苛立ちの創造主なのではないかと。


【お、イライラしてるねぇ~ちなみに僕は世界を創造したわけでも無ければ苛立ちを創造してる訳でもないよぉ~( ´^o^` )】


【じゃあお前はただの自称神だな。じゃあ自称神、聞かせてもらおうか、この世界から変える方法を!】


【あぁ教えよう!さぁ教えよう!この世界から変える方法を!】


【おう!バッチコイや!】


【その世界で24時間待て!】


「ふぁっ」


予想以上に簡単で変な声が出てしまった。たった24時間この世界にいるだけで戻れるのか、だとしたらすまねぇな!さっさと異世界から抜け出したいと思っているラノベ主人公!どうやら俺は異世界転生はしたけど主人公ではないらしいぜ!


【まぁこの世界で生き延びられたらの話だけどね(*^^*)】


え?どゆこと


【どぅーゆーこーと?】


【そのまんま♡】


【え、何なんかいるのこの世界】


【え、逆になんかいないとでも思ったの?いっぱいいるよ?ほらそこら辺にジャ〇イみたいなのいるでしょ?】


ふっ、何を言っているんだ。見渡す限りの大高原。何にもない、静かで、いい場所に、ジャ〇イみたいなのがいるは……ず…………。


「ギャオ」


首を小さく傾げこちらを見てくる。そう、牙の生えた、見るからに肉食の恐竜もどき。


「ギャー!」


「ギャー!!!!!!♯♡☆&#@$¥$」


声にならない声が俺の口から発せられる。

これが異世界か……厳しいな。

恐竜もどきは爪を振りかざし、思い切り俺めがけて振り下ろした。

──ザシュッ──

高原に響き渡ったその音は、俺が切られた音では無かった。


「あなた、大丈夫?」


目の前には大きな鎌を持った自分と同い歳くらいの少女が立っていた。


「あ、あぁ、大丈夫です。助けてくれてありがどう。」


「全く、武器も持たないで”モルテ高原”に来るなんて……あなたもなかなかチャレンジャーですね。死にたかったんですか?そうだったら悪い事をしたと思います。お詫びに私があなたの首をはねましょう。」


「いやまて話が進みすぎてる。俺は死にに来たんじゃないぞ?」


構える鎌をおろし残念そうに「はぁ~」とため息を吐く。

えー、はねたかったのぉ?じゃあ助けなくてよかったんじゃないかなぁ?

色々思いつつもう一度しっかり礼を言う。


「首はねるの否定したらため息ついたの解せないが助けてくれてありがとよ、俺は霞原 神風。よろしく。」


「私はアンリシア=ティナベルです。どうぞアンリとでもティナとでも呼んでください。」


「じゃあ宜しくな、アンリ。」


「は?気安くアンリとか呼ばないでくれます?首切り落としますよ?」


あっれぇ~おかしいな聞き間違いかな今さっきアンリかティナで呼べって言わなかったっけぇ~?

鎌を首元に持ってこられ怖かったのでティナベルさんと呼ぶことにした。


「はぁ、ずっとこんな所にいちゃ危ないですよ、特に夜は、さっきの数倍のガルバスに食い殺されます。」


ガルバスとはさっきの恐竜もどきの事だろう。

食い殺されるとかえげつないなぁ…早く24時間経ってよ……。


「危ないって言っても俺行くとこないし……。」


「あんたほんとどこから来たんですか。」


「んー、ここから見たらあっちの世界は異世界になるのかなぁ。」


「はぁ?何ぶつぶつ言ってんすかもっとはっきり言ってください。」


「こことはまた別の世界だな。」


「そうですかふざけてるんだったら死んでください。」


「断じてふざけてなどいない。」


「はぁ、もういいです。」


え、もういいって俺はここに置いていかれるのかい?

しょうがない、歩いて街でも探すか。


「行きますよ。」


「ん?どこに?」


「街ですよ。あなたが頭おかしい人でも見殺しには出来ませんからね。」


「お、おう。頭おかしくはないが優しいなありがとう。」


これで今日は生き延びれるぜ!

向こうの世界だと自分が生き延びるためにきっと見捨てていくだろう。と言うかまず助けてすらいないだろう。向こうの世界に比べてこっちの世界は、暖かいのかもしれない。

もしくは彼女が優しいだけ……か。


こうして俺等は街へと歩き始めた。


「ちょっともう少し離れて歩いてくれます?あと3キロくらい。」


「それ限りなく街に連れてく気ねぇだろぉ!」


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