第4話 VRⅡ
「こ、これは……?!」
祐正は、水晶のVRを外した。いや、正確には、水晶のVRの方から外れたといったほうが正確だ。吸盤が剥がれるように祐正の顔から剥がれたのである。それと同時に、今まで、見ていた映像も暗転した。のめり込んでいると見えた両手もあった。
座っている男を見る。男は、ジッと祐正を見つめかえす。
「如何でした?」
「いかがもなにも、いったいこれは何ですか?妙にリアルだし、いや、リアルなんてもんじゃないですよ。ほとんど生きてるって言ったっていいレベルですよ。それが、こう……」
「何かと戦ってましたか?」
「ええ。よくわからなかったですが、半透明なモノが出てきて……」
「出てきて?」
「それが、サムライたちと戦ってたんだけど、その半透明なモノが自分と繋がっているみたいな感じがして」
祐正の言葉に、男は大きく頷いた。
「そうです。それでいいのですよ。その半透明なモノは、あなたの意識でできあがったキャラクターなのです」
「俺の意識でできあがったキャラクター?」
祐正は驚いた。意識がゲームに反映されることなんてあるのか。
「そうです。紛れもなくあなたの意識をくみ取って反映されたモノなのですよ」
男の言葉を理解するのにしばし時間がかかった。
「……凄い」
それだけしか言えなかった。
「もう一度、プレイ出来ますか?」
男は肩をすくめて、答えた。何遍でも、と。
祐正は、再び水晶のVRに向き合った。手のひらに羽虫が這うような感覚がしたかと思うと、両手が水晶の中へ入っていった。今度は、祐正自身が水晶のVRに向かって手を動かした。
祐正の眼前に先ほどの光景が広がった。
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